3日目 ルールの追加
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朝、友人たちと挨拶を交わしながら教室に向かう。何気ない1日の始まりが教室に入ると少しズレた。
「あっ、おはよう、高波女史、今日もかわいいね」
いや、盛大にズレている。霧島君が胸の中心よりやや左より、心臓の上あたりに握り拳を当て、やたらいい姿勢で可笑しな事を宣っている。
なまじイケメンな霧島君は何かの芝居でもしているかのようにはまっているが、ふと周りを見ると同じようなポーズで挨拶をしているクラスメートと困惑したり、爆笑したりしている者が散見されて、なにやらカオスだ。
「あ、あの霧島君、女子って私は確かに女子だけど…あと、そのポーズなに?」
困惑し過ぎてド直球で聞いてしまう。聞いたあと、女子って…あー女史かと思い直す。
「女子って、そっちじゃなくて敬称の方の女史だよ、高波女史ならわかるでしょ。あと、これからは団員同士は氏、女史の敬称をつけて呼びあい、こうして心臓に拳をあてるって決めようって話してたんだ」
猫家先生閣下には敬礼をする事もさっき決めたんだといい笑顔で話す霧島君。
「でも、ルールの追加は団長の許可制じゃなかった」
「確かにね、でもそれは決済を団長がするということで、ルールを団員が考えて実践してはいけないって事ではないでしょ、団の規律、結束を高めるものなんだから、間違いなく許可されるはずだよ」
霧島君に感じていた明るくてイケメンな優等生のテンプレートって印象が、少しずつ崩れ変質していく。でも、爽やかな笑顔で「クラスのため」と言っている霧島君は優等生なイケメンだ、でも、なにか引っ掛かる、私はその引っ掛かりを無視して、そうなんだ、と軽く返して席へと足を進める。その背中に霧島君が、新しいルール、よろしくねと声をかけてくる。
席に着くと友人の倉持加奈ちゃんが話かけて来た、ぎこちなく胸に手を当てて
「ま…真実女史」
もう無理だった爆笑する私に羞恥と抗議の目線を送りながら、少し涙目になっている友人に、こんな遊びもしばらくならいいかと乗ってしまう。
「か…加奈ちゃ、いや加奈女史、ごめん、ごめんって、悪気は無いんだよ」
見よう見真似で胸に手をやりつつ、そう答えると
「そりゃ、私だって変だと思うよ、真実ちゃ、真実女史だって変だからね」
と少し声を怒らせて、でも後半は尻窄みに探るような声で返してくる。臆病な友人らしい、私が気分を害するのを心配しているんだ、優しい友人にほっこりする。
しばらく加奈ちゃんと話していると、ホームルームの時間らしく、先生が来る、するとクラスメートの1/3くらいが先生の方へ体を向け敬礼をしていた。
「猫家先生閣下、おはようございます、閣下」
多少のばらつきはあったが敬礼している生徒達が声をあわせて挨拶をする。
「お、…おう。…おはよう、ってか、なんだそれは」
困惑する先生に霧島君が経緯を説明して、許可を求めていた。
「と言うわけで、先生閣下におかれては、クラスの結束とルールの重要性、そして規律ある行動で僕達、生徒の品格を高めることを目的としていると愚考しました、なのでこれらのルールの追加を許可頂きたく、事後になってしまい申し訳ありませんでした、閣下」
「まあ、事後になったのは確かに問題だが、いいんじゃないか、追加したルールを許可する」
そういって先生は黒板に
7 団の団章をこれ(藤枝制作中)とする
8 挨拶において団長へは敬礼を団員同士は胸に手を充てること
9 団員同士は男性には氏、女性には女史の敬称をつける
先生が書き終えるとほぼ同時に渡部が
「あー、女史、女子って意味だと思ってたわ、でも女史ってなんだ?」
と言ってクラス中に爆笑される、真っ赤な顔の渡部が、お前らだってわかんないだろ、説明してみろよ、と喚いているのを、先生が無知を晒しても恥ずかしいだけだから、黙ってようなと窘めつつディスってさらに爆笑がおこる。
そう、まだ平和だったんだ、この時は。
そんな光景を見ながら、何処か意味ありげに微笑んでいる霧島君に違和感を覚えながら。
きりのいいところで切ったため、そこまで話が動いてませんf(^_^;
次話で展開があると思いますm(_ _)m