エピローグ
完結ですm(_ _)m
あれから、10年が過ぎた。
私は大学卒業とともに疼矢と結婚して雪代真実となった。加奈ちゃんにはめっちゃ泣かれた。工業系の専門学校に進んだ渡部はそのまま町工場で働いていて、相澤さんとは以前として仲がいいようだ。相澤さんは高校卒業で東京に出て働き初めて、去年、地元に帰ってくるとアロマオイルやお香の専門店をオープンした。
「久しぶりだね、霧島君」
本当に久しぶりだった、旦那になった疼矢と一緒に恒例となった室川さんへの墓参りで霧島君と鉢合わせた。
「高波さん、いや、今は雪代さんなんだっけ、雪代君も久しぶりだね、遅くなったけど結婚おめでとう」
「なー、霧島、せっかく会ったんだ、少し話さねーか、時間があればだけど」
疼矢がそう提案して、私も霧島君も少しびっくりする。
「構わないよ、今日はほかに予定は入れてないんだ」
近くのファミレスに適当に入った私たちは簡単なデザートなんかとドリンクバーを頼んで話し始めた。
「なー、霧島、あの時、実験を始めたのはお前だったのか」
いきなりの切り出しに霧島君が固まる。
「どういう意味かな」
「そのままだよ、最初からお前が計画した通りだったのかって話しさ、…あー、別に今更リークしようとかってんじゃない。室川さんが亡くなり、先生が辞めることになった、その理由が知りたいだけだ」
霧島君はゆっくりとコーヒーを飲んで、それから数瞬、間をおいてから語り出す。
「全て計画通りでは無かったよ。君たちに邪魔されて、だいぶ道がそれたからね。実際、もっとゆっくりアプリ展開するつもりだった。まぁ、問題が起きる可能性は考えてたけど、あんなに早く起こるのは想定外でね、どうせ直ぐに飽きられるだろうから、自然に解消するか、別の形に作り替えていくつもりだった。まぁ、失敗だよ」
そう苦笑いする霧島君に私も問い掛ける。
「何が目的だったの」
「好奇心さ、君たちの見立て通り、僕はそんなに深い人間じゃない、何処まで拡散するか試して、そのあとは軟着陸させてもっと穏当なものに切り替えていくつもりだった」
それからしばらく会話したが、結局、霧島君の本当のところはわからなかった。彼は今、俳優として成功していて、これをマッチポンプだというアンチはいるが、はっきり芸能活動のためなら、もっと簡単でリスクの無いものがあったはずだ。
先生が何故この実験を行ったかも定かではない。
沢山の後悔がある、結局、須藤さんや藤枝君とはあの日以来あっていないし、猫家先生もどうしてるか分からず仕舞いだ。室川さんが自殺した時、5才だった息子さんは今、あの時の私たちと同じ中学生だ。
私は今、地元のいくつかの学校を兼任するスクールカウンセラーとして働き初めている、疼矢も一緒だ。
あの日の後悔を繰り返さないために、あの日の贖罪のために、私たち夫婦の日々が続いていく。
おわり
応援ありがとうございました( ≧∀≦)ノ




