2日目 最初の違和感
短くてすいませんm(_ _)m
感想、評価ありがとうございますm(_ _)m
我がクラスが愛猫団なる珍妙な組織となった翌日、朝のホームルームは最初から躓いていた。
「出席取るぞ~、相澤茜」
「はい」
「いや、はい、じゃない、『閣下、はい、閣下』か『サー、はい、サー』だ」
そう言った途端に渡部が吹いた。
「はいさーって、沖縄っすか(笑)」
「とりあえず、相澤と渡部はデコピンな(怒)」
えー、何でですか~と抗議する相澤茜と、便乗して何でですか~と声色を変えてふざける渡部に猫家先生の特に痛そうではないデコピンが炸裂する。
そのあとは恥ずかしがる者、むしろ声をはる者とそれぞれいたが出欠は滞りなく進んだ。
ただ、成績上位でこういったおふざけが嫌いそうな霧島雅人が楽しそうに閣下と言っているのは少しびっくりした。
そんな些細な驚きは午後の授業で少し加速する。
5時現目、この日の授業は社会で担当教諭は担任の猫家先生だ。先生はいつも通り授業を進め、半分くらいのところでチョークをおいた。
「ここまでで何か質問あるか」
そう言って教卓の向こうで此方に体を向けた先生は少しして挙手している生徒を指名した。
「おっ霧島、どうぞ」
教室の廊下側、やや後ろに座る私に対して、ほぼ教室中央に席がある霧島君が徐に立ち上がると、これまた少しゆっくりとした所作で周りを見渡してから話始めた。
「閣下、授業とは関係のない、愛猫団に関する提案を行う許可を頂けますでしょうか、閣下」
淀みなく流暢に、でも少し芝居がかったような、慇懃な物言いでの発言に、先生は少し面喰らったような顔をして止まったのち、ああ、良いぞと返した。
「閣下、僭越ではありますが、不肖この霧島、団として組織される存在にはシンボルが必要と愚考しました、閣下」
「…シンボル、紋章みたいなものか?」
「閣下、そうです。そこで我が団きっての美的センスの持ち主である藤枝君にデザイン案を頼みました、閣下」
そう言うと霧島君は机からスケッチブックを取り出して開き、両手で頭上に掲げると、上体を回すようにしてクラス全体に見せていった。
「閣下、これはまだイメージなので、これをもとに団章を作るつもりです、閣下」
「あー、いいんじゃないか、反対の奴は手を挙げて」
先生がそう返しながらクラスを見回す。手が上がっていない事を確認して、賛成の奴はと聞き返す。ぱらぱらと上がっていく手を確認してから
「おろしていいぞ、反対は無いようだし、賛成も過半数とはいかないが、3割以上いるようだ、そのまま進めていいと思う、良くやったな、霧島、藤枝」
先生のその言葉に霧島君はハキハキとありがとうございます、閣下。と返して、対して藤枝君はかなり吃りながらも何とか、同様に返事をしていた。
霧島君はなんでこんなに積極的なんだろう。
朝のホームルームで感じた些細な驚きは僅かな違和感へと変わった。
霧島君はこういう軍隊みたいなノリ、実は好きだったのかな、と意外に思いつつも何とか納得した私は、この可笑しな実験がやや本格的になっていく事に面倒さと、引っ掛かりを覚え初めていた。
団章はあのデザイン画をもとにブラッシュアップされる予定ですが、そちらを載せる予定は今のところありませんので、勝手に想像してみて下さい(笑)
応援お願いいたしますm(_ _)m
次話で少し話を動かしていく予定です。