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10月14日 9日目前日 第3回対策会議

実験開始から2回目の日曜日です。



 日曜日、私たち反対派、愛犬家同盟は爽快CLUBにて第3回対策会議を開催していた。

 「で、何で相澤がいるんだ、いや、人数が増えるのは有り難いが」

 雪代君の疑問に渡部君以外が相澤さんを見る。

 「いやー、愛犬家同盟って名乗ってるのに、実際に犬派なの俺だけで少数派じゃん」

 渡部君が意味不明な供述をはじめる、どういう意味だ。

 「ごめんね、とっしーに愛犬家同盟に入ろうって誘われて、てっきり犬好きの集まりだと」

 あー、そう言えば、相澤さんと渡部君は仲良かったなと思い出す。そして、これは全面的に渡部君が悪い、間違いでも何でもなく、それは犬好きの会合だよ。

 「だから俺は霧島に乗っかってこんな名前止めようって言ったんだよ。てか、元をたどれば、お前があちこちで愛犬団に入ろうって言うからだ」

 「えーいいじゃん、打倒、愛猫団ならさ、ぴったりだろ」

 不毛過ぎる論争だが、なにかしら自分たちも名乗っておくかと雪代君が言って、何故か喰い気味に渡部君が「この前、霧島にも愛犬家諸君って言われたし愛犬家同盟で決まりだろ」と良くわからないプッシュにめんどくさいから、もうそれでいいかとなったあたりで、全員の責任かも知れない、若干一名、全く関わりなく責任のない正志さんは爆笑してるのでオーケーだと思いたい。


 「あー、腹吊りそう、全くお前らは。でだ、下らない話はそれくらいで、本題入るぞ」

 正志さんが手を打って皆を纏める。

 「正志さん、その前に相澤さんはこのまま私たちと活動して大丈夫」

 一応確認しておかないと、明らかな間違いでの参加だ、なし崩しで巻き込む訳にはいかない。

 「あー、いいんじゃないかな。私さ、初日に恥かいて、正直あり得ないって、ずっと思ってたから」

 そう言えば、最初のデコピン被害者だった。まあ、とても痛いとは思えないデコピンだったが、確かに衆目の中、恥をかかされたと考えれば不満なのは当たり前だろう。

 「俺は始めに愛猫団ってついた時点から反対だった」

 確かに反対はしていたが無駄に張り合うな、話が進まん。でも、あの時、皆で止めれば良かったんだろうな、相澤さんの件も「そういうのおかしいです」って言うべきだったんだ。

 「高波、あんまり背負い込むなよ。お前が悪いんじゃない、強いて言うなら皆悪かったし、皆、悪くないんだ」

 「ゆっきーのくせに言うじゃーん、でも、まみっちは悪くないよ。そんな顔すんなし」

 雪代君が真剣な顔で心配してくれて、相澤さんが雪代君をからかいながら、気遣ってくれる。雪代君がゆっきーってなんだよって顔を赤くして怒って、みんなが笑っていて、そうだよ、うちのクラスは2年3組は元々皆仲良しで、こうやってバカやって騒げる仲間じゃないか、愛猫団なんていらないよ。

 「た…高波、どうした、大丈夫か、騒ぎすぎて、どっかぶつけちゃった…ごっごめん」

 雪代君が慌ててる、あー、私、泣いてるんだ。ダメだな、どうしよ、気付いちゃったら余計止まんないや。雪代君がすごい慌ててるし、加奈ちゃんも心配してる、相澤さんは雪代君が慌て過ぎなのが可笑しいのか爆笑してるし、渡部君は相澤さんに「笑ったら失礼だろ」って、こういう時は常識人なの、もうさ、皆が大好き過ぎて止まんないんだよ。

 「高波さん、うちのバカな甥っ子もたまには良いこと言うだろ。なんせさ、大好きな子が一人で頑張ってんの見てさ。こいつ、すごい後悔してたんだよ、俺が前日、霧島に言い負かされてなきゃって」

 なんか、正志さんが爆弾発言交ぜてきた。

 相澤さんがめっちゃ盛り上がってるし、加奈ちゃんは顔赤くして、はわわとか言ってるし、はわわって言ってる人初めて見たよ。渡部君はそうだったんかーって、だからそこはお前はキャラ的に「え、なんのこと」って置いてかれるタイプだろフラグクラッシャーめ。

 そして肝心の雪代君は固まってる。

 あー、もう。おちおち感傷にも浸れないよ。そんな場合でもないしね。

 「正志さん、今の失言は本人から言及があるまで聞かなかったことにします。本題にはいりましょう」

 「そうだね、おら、いつまでも、騒いでないで、時間が勿体無いよ」

 相澤さんが、えー、ゆっきーこのまま告っちゃえよーとか言ってるが、そんな公開処刑は勘弁なので無視だ。全く、涙が引っ込んでしまった、わざとだな正志さん、本当に出来る大人だ。甥っ子の件は一応、考えてあげるとしよう、あとで二人きりのときに言及があったら、…へたれるようなら考えて…やらんでもない。

 何を考えてるんだ、私は。

 「とにかく、私が昨日考えたことはグループスリングで送ったと思うから、それについて意見が欲しい」

 やめやめ、相澤さんが私の方までニヤニヤ見てるから、もうやめ。昨日考えて出した、後手後手だけどな対抗策、はっきり言ってダメ過ぎて、だから意見が欲しい。

 「まあ、ネットを使おうってのは悪くはないよ。実際に中にいる人間のリークだ、問題が大きくなる前から、同様の話を告発という形じゃなく、あくまで呟きとして出していれば信憑性は増す」

 正志さんが肯定的な意見を出してくれる。でも、流石だ、確かに愚痴を言ってる感じで早い段階から小出しにしていた方が大規模に拡散してから、ブログなどで批判するより、見ている人の印象はいいかも知れない。

 「だとツミッターでツミートする感じ」

 相澤さんが合いの手を入れる、ギャルっぽい感じの相澤さんだが、相手に合わせるのは上手い。頭はいい子なんだ。

 「でもさ、それじゃ、止まんないでしょ。やらないよりはいいかもだけど」

 渡部君が核心をつく、本当にやるときは普通に常識人だ、あれ、この面子って見た目の割にはまともな子しかいない真面目集団だ。そんこと考えてる私が一番、不真面目だな、思わず笑ってしまう。

 「なんだよー、俺の意見、そんなに変か」

 「ううん、違うよ、実際、根本的な解決が難しいのは確かだよ」

 「それについては、ある程度このアプリが拡散して、もし問題が起きるようなら、おじさんが記事にするし、その際は日丘教授がコメントをくれる約束もしてる、実際に会うのは来週末だが、すでにサイトやアプリはリンクを送って見て貰ってる」

 まだ、色々と未知数なんだ、サイトやアプリの登録が頭打ちになって、廃れる可能性もまだ十分あるし、学内の、愛猫団や子猫団は愛犬家同盟を拡大して対抗しよう、ルール無しでただ犬好きな人が集まって交流を深めると喧伝すれば、十分な人数が稼げるだろう。


 今のところ一勝一敗でイーブンだ、少し押されてるが、何とか活動方針を定めることは出来たのだった。

次話は、実験開始9日目登校日となります。

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― 新着の感想 ―
 今気づいたけど猫が犬だ。  権威に尻尾を振る犬だ。  ところで、主人公たちって実はおじさんにいいように利用されてない?
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