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7日目 子猫団とサイト猫CLUB

ついに霧島君本格的始動

猫家先生の影が薄いというよりない( ノД`)…



 翌日、私たちは昨日の成功が嘘だったかのようにルールを守っているクラスメートとそれに反発するクラスメートの対立を見ることになった。

 下部組織が出来たことで息を吹き替えした賛成派がかなり強硬してルールを守らないメンバーを攻めだしたのだ。

 昼休み、昨日と同じ中庭に集まった私たちは今後の対策を話し出した。

 「不味いぞ、まだ暴力行為や明確な虐めは霧島が抑えてるから起きてないが、そうなっておかしくない」

 雪代君が焦った声で言う。

 「おかしいだろ、あいつら、昨日の今日でなんであんな強気なんだ」

 渡部君が困惑ぎみに言うと加奈ちゃんが応えた。

 「昨日はクラス内で少数派に回ったからでしょ、霧島君の発表が本当なら、校内に40人を越える下部組織ができて、今後、増える見込みなんだから、強気になるよね」

 そう、私たちは一瞬でトレンドを奪い返されてしまったんだ。それも入念に準備したと思われる方法で。

 私たちがある程度、多数派になりうることが前提だったルール無視の作戦は昨日とは状況が一変して、かなり苦しいものになってしまった。

 「正叔父に声掛けてある、今日の放課後、また集まって対策会議だ」

 雪代君の言葉に私たちは力なく頷いた。


 放課後、もう反対派であることを隠す気はない私たちは校門まで迎えに来てくれた正志さんの運転で再び、爽快CLUBに訪れていた。


 雪代君がスマホとタブレットをテーブルにおいて話し始める。

 「さっき子猫団のサイト猫CLUBとそこにリンクして作られたスマホアプリ子猫団員チェックをダウンロードした」

 もう、本当にふざけた名前にイライラする。

 雪代君がサイトを閲覧してアプリをプレイした結果、わかったことを伝えてくれた。

 サイトはアプリの楽しみ方を説明するほか、毎日一回引けるおみくじがあり、おみくじではアプリと連動したpointがゲット出来るらしい、サイト内にミニゲームなどもあり、そこでもpointが手にはいるほか、会員登録でチャットルームなどの使用が可能になるようだ。

 アプリではこちらも毎日引けるおみくじ、ミニゲームのほかに、名前通り、子猫団員としてルールを守っているか毎日チェックする項目があり、高得点だとpoint大量ゲット出来るようだ。

 また、ノルマ達成や特定point達成でレベルアップする仕組みで、称号や特典スタンプなども貰えるようだ。

 今のところpointは藤枝くんが作ったらしいスリングスタンプや壁紙画像なんかと交換出来るようだ、さりげなく霧島君や須藤さんのフォトショットも置かれていて引く。


 「一見すると、ただの無料アプリに会員による情報交換サイトだな」

 正志さんがそう言って、私たちは頷く。

 「サイトの運営目的が規律ある生活による集団行動の円滑化、コミュニティの結束強化を図り、サイト、アプリ会員の品格を高めるものとありますね。アプリは規律ある行動を出来るようになるアプリって書いてあります」

 加奈ちゃんが苦笑いしながら読んでいる。まあ、品格云々言うなら、景品に団長と副団長のフォトはどうなんだって話しだ。

 「実際、これが危険なものになるかは確証がないが、下の部分が気になる」

 そう言って正志さんが指したのは、アプリやサイトへの勧誘、招待特典のテキストだった。友達を招待するとpointゲットってやつだ。一定数招待すると特性スタンプも貰えるらしい、良くできてる。

 「良くあるアプリ招待じゃん」

 渡部君がそう言うが確かにその通りだ。

 「確かに、これがただのアプリならな、だが、目的はわからないがこのアプリやサイトで書かれているルールはサードウェイブのものだ。初級、中級、上級なんてわけて、取っ付きやすくしてるが、だからこそ嵌まれば洗脳完了するように出来てるように見える」

 渡部君には事前に前回の話しをしてある。正志さんの言葉に渡部君が息を呑んだ。

 「それに、そもそも、猫家先生は実験が暴走しないように、始めからルールに団員の追加の禁止を盛り込んでる。この下部組織発足は『愛猫団そのものでなく、新組織をつくる』ことでルールを外している」

 「あえて組織を拡大することで暴走させることが目的ってことですか」

 私の質問にそれはわからないけどねと返したあと

 「ただ、招待の下にある文言は危険だ」

 と正志さんが指さした先には

 招待した友達を指導するのは君の役目だよ

 というテキストと、招待者のレベルアップに応じてpointやスタンプを貰えるとなっていた。

 「勧誘した新人を指導して、洗脳する役目があり、上位にいくほど様々なノルマがあることが巧妙に隠されてる、新興宗教でも立ち上げる気なのか霧島って子は」

 正志さんが困惑気味に話すが、良く出来すぎなアプリやサイトに私たちはどうしていいかわからなくなっていた。

 「とりあえず、このアプリがそれほど拡散せず問題が起きなければ一番だ。だが、もし少しでも拡散した上で注目を集めたらヤバい」

 「何がヤバいんだよ、正叔父」

 「このアプリもサイトも表向きは健全な目的なんだよ、コミュニティおける集団行動の円滑化なんて、悪くとらえる奴がいると思うか、そして、このアプリで実際に生活態度が改善した子供がいたら、その親がこのアプリを勧め出す可能性だってあるぞ」

 正志さんの予想を私は大袈裟と思えなかった、目の前のアプリやサイトは可愛らしい子猫のイラストが目を引くし、内容も初級向けなんて、本当に可愛らしい規則しかない、おみくじとかミニゲームも楽しそうで、何も知らずオススメされたら、やってしまうだろうという内容だ。

 そして、正志さんが言うように、このサイトもアプリも悪意なんて一切感じない作りなんだ。

 「しがないフリーライターの俺じゃ、このサイトやアプリが万が一バズっても、批判記事を書いたとこで相手にされないだろう。日丘教授と繋がりがあるのが救いだ、俺は万が一に備えて日丘教授とコンタクトを取る」

 お前らは無理するなと言われて、その日は解散となった。


 アプリの向こう、特典スタンプの可愛らしく揺れる子猫のスタンプが私は恐ろしかった。

だいぶ物語が出来てきました。

完結まで突っ走ります(=`ェ´=)

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― 新着の感想 ―
 なんか霧島君だと下部組織は別組織だからルールには抵触していないなんて詭弁を使いそうな気が……。
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