6日目 子猫団始動
6日目 後編です
朝の作戦はかなりの効果があった。
「中学生だから熱しやすく冷めやすい、トレンドをこっちに引き摺り込めばいいんだ」
正志さん謹製のお言葉の通り、昨日までは愛猫団の活動に従うことが当たり前だったクラスの空気が、まだそんなのやってるのって感じになってる、強いぞ我が軍(笑)
さぞ、悔しいだろうと休み時間に霧島君を見るも余裕の表情だ。数人はいる活動支持派はだいたいが悔しそうな顔や、露骨にルールを守るように声をあらげる者もいるが、渡部君や雪代君にもう押し付けんなよって言われて黙ってしまう、一昨日とは真逆の展開にこれはこれで嫌だなと思ってしまう。
昼休み、私たち活動反対派メンバー4人は中庭にある噴水前で少しばかり祝勝ムードに沸いていた。
「やったね、作戦大成功。こんなに上手くいくと思わなかったよ」
「本当にな、正叔父にアドバイス貰って正解だった」
「何だか良くわかんねーけど、メンドーなルールに従わなくていいなら、こっち派だぜ、俺は。あとは愛犬団をつくるだけだな」
「私は猫派なんだけど」
裏切りものーってバタバタとオーバーリアクションな渡部君に雪代君や加奈ちゃんまで、どっちと言うと猫派って言って、なんだよもーって不貞腐れながら笑ってる渡部君に私たち全員が笑ってた、あー呆気ないくらい簡単に日常が帰って来たと、私は油断したんだ。
「いやー、高波女史、やってくれたね。雪代氏も」
そんな私たちに霧島君が声を掛けてくる。
「この期に及んでまだルール守ってんのか、滑稽だな」
雪代君が煽るも、何処吹く風と言った風に歩みよった霧島君は「君たちの勝利だよ、第一段は」と言ってからこう続けた。
「油断した訳では無いけど、もう少しは持つと思ってたから、君たちにはびっくりだ、でも、愛描団は目標を達成した、次のステージでは君たちがどうするか、楽しみだよ」
そして、去っていく霧島君。渡部君は負け惜しみか、あれと私たちに訊いて来るも、あれだけ余裕な態度だと不安になる。
「本気で下部組織を立ち上げる気か、いや事実上、愛猫団が瓦解してるから、むしろ新団体というべきか」
雪代君が呟く。
「それ、この前も言ってたよね」
「あいつ含めたうちのクラスの上位メンバーって、校内だけじゃなく、この周辺の学校では結構知られてるだろ」
確かに、霧島君や須藤さんは校内人気は勿論、校外でもファンがいるらしいとは聞いたことがある。それに団章をデザインしてた藤枝君も同人活動とかネット関連でフォロワーがいるって聞いたことあったけど、言っても、田舎の中学生にしては凄いねってレベルで気にしてなかった。
「校内のファン集めて組織化したあと、霧島と藤枝でサイト作って活動を拡散させるって話してんの聞いた奴がいてな」
「え、そんな話しになってるんですか」
加奈ちゃんが驚きの声をあげる。
「因に聞いたのは俺な」
渡部君がそう言って、一気に信憑性が下がる。
「おい、疑わしい目で見るなよ。藤枝にサイトページ作成頼んでんのは確かに見たし、そん時に愛猫団のルールを覚えたり、守るとpoint貰えるアプリ作ってって頼んでて、そんなんあいつ作れるのってびっくりしたから覚えてんだ」
え、藤枝君、マジでそんなん出来るのすごすぎない。
「まあ、自作アプリ制作用のアプリなんかもあるからな。藤枝って、自分のブログページで同人のアップとかしてるんだし、出来るんだろ」
雪代君が肯定する、でも、そんなアプリ作ってどうするんだ、サイトも含めて謎過ぎる。
でも、その日の夕方、確かに霧島君はクラススリングを通じて、愛猫団下部組織、子猫団発足と、子猫団団長就任を発表した。
お読み頂きありがとうございますm(_ _)m
霧島君の暴走が続きます。
次話では子猫団の実態や公開されたサイトやアプリをだして行きます。




