イーグルウグイス
ケンシー森の奥、神殿の周囲の梅林
「きれいですね。ちゃんと整備すれば公園になりそうです」
きれいに咲き誇る梅の花を見て、私はそう思ってしまいます。
私たちは孤児院の子たちを連れてやってきてしました。
「お姉ちゃん。ここで何するの?」
小さな子たちが無邪気に聞いてきます。
「私もわからないのですが、ここの実を採取して欲しいとのことでした」
私たちは色とりどりの花がさいている場所を避けて、実がなっている木が生えているエリアに行きます。
「でも、ここの実はすっぱくて、誰も食べようとしませんよ。果たして売れるのでしょうか……」
セリナさんが不安そうにしていますが、王子はいろいろと発想が豊かなお方です。ここは彼を信じてみましょう。
「さあ、みんな頑張って拾いましょう」
私たちは手に籠を持って、梅の実を拾い集めるのでした。
夢中になって拾い集める事数時間。
「お姉ちゃん、こんなにとれたよ!」
子供たちは、籠一杯になった梅の実を見せてきて、笑顔をうかべました。
「これくらいでいいでしょう。それでは、帰りましょうか」
私がそう言ったとき、バサバサという音がして、日の光が遮られます。
思わず空を見上げた私の目に入ったものは、大きな翼をひろげるウグイスでした。
「ケキョケキョケキョ」
「あら、風流ですわね」
その鳴き声に聞きほれていると、上空のウグイスの影がどんどん大きくなっていきました。
「あら?大きなウグイスですね」
「ち、ちょっとまって。サイズがでかすぎない?」
私の隣にいたカゲロウが警戒している間にも、ウグイスはどんどん近づいてきます。
「こ、これはだだのウグイスありません。魔物です」
エリス様が叫び声をあげます。私たちの前に現れたのは、ワシのような鋭い目と爪を持つウグイスの魔物でした。
「くっ。姫様。お逃げください」
「私たちが時間を稼ぐよけ」
エリス様とカゲロウが立ち向かってくれます。私はそのすきに、子供たちを連れて逃げ出しました。
しかし、空を飛べるウグイスは、私たちが逃げようとする方向にすばやい動きで回りこんできます。
「ケキャーー――!」
「こ、これは何?体が動きません!」
何か電流のような刺激が体中を走り抜け、私たちは体を硬直させてしまいました。
麻痺の効果をもつ鳴き声で私たちの動きをとめたウグイスは、私に狙いをつけたようで、鋭い嘴を光らせて迫ってきます。
「もうだめ!神様!」
セリナさんの叫び声が聞こえてきて、思わず目をつぶった時―。
「ギャァァァァ」
いきなり突風が吹き、ウグイスが悔しそうな鳴き声をあげます。
「大丈夫か?」
目を開けると、私はたくましい男の人に抱きかかえられていました。
ええ、私はこのお方をよく知っています。
私のヒーロー、ハンケツ仮面様が現れ、また私たちを救ってくださったのでした。




