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カルタ


「姫よ。遊びにきたぞ」


俺がそう告げると、姫は笑顔を向けてきた。


「うふふ。王子が遊びに来てくださるなんて、光栄です。ドラゴンちゃんもこんにちわ」


姫は俺の股間から顔をだしたタマキンをなでなでした。


「ボクもなでる。赤ちゃんドラゴン可愛いい」


カゲロウもきて、タマキンの首筋をさわさわする。


タマキンはちょっと迷惑そうにうなっていたが、撫でられて気持ちよかったのかおとなしくしていた。


「あ、ああん。これこれ、焦るでない。順番じゃ」


美少女二人に股間をなでられ、俺はちょっと興奮してしまう。


「だから、なんでタマを股間に入れているのです」


エリスに突っ込まれるので、俺は弁解した。


「しょーがないのじゃ。タマキンは余のふんどしの中がお気に入りなのじゃからな。たぶん兄弟がいるとおもって安心しているのじゃと思うぞ」

「ギュウウウ」


タマキンは頷くと、俺の股間にすりすりと身を寄せた。


「それより、遊ぼうぞ」

「いいですよ。何して遊びましょうか」

「余がつくった「カルタ」という遊びがあるから、それをやろう」


そういうと、俺は文字と絵が描いてあるカードの束を取り出した。


「語り手が読み上げたカードの内容が書いてある絵をさがして、取っていくゲームなのじゃ」

「へえ~面白そう」

「ギャウ」


カゲロウとタマキンも興味を示している。


「よし。それじゃ皆でやろう」

「仕方ないですね……」


こうして、俺たちはカルタで遊ぶことになった。



「まずはエリスが読み手からな」

「はいはい」


エリスはしぶしぶとカードを取り上げる。


「こほん。それでは始めます。『朝一番、こすって鎮める我が息子』……って、え?」


「えっと、どこだどこだ?」

「『あ』から始めるカードを探せばいいんだよね。あっ、これだ!」


忍者であるカゲロウが、その動体視力を生かして布団に入ってもぞもぞしている男の絵が描いてあるカードを取る。


「どうした?次のカードを読むのじゃ」


俺はニヤニヤしながら、固まっているエリスを催促した。


「わ、わかりました。こほん。『いっちゃった。夜中にこっそり洗い物』……って、なんですか、これ!」

「余が作ったオリジナルカルタじゃ。いろいろ為になる教えがかかれておる」


からかうように言ってやると、姫は感心したような顔になった。


「なるほど。遊びを通じて教訓を学べるのですね。興味深いです」

「そうじゃろう。さあさあエリス、続けるのじゃ。そちの口が止っていると、ゲームが進められぬぞ」

「うう……」


エリスは真っ赤な顔をして涙目になりながらも、気丈に読み上げ続ける。


『膿が出た。さあ大変とお医者さん』

『エロ本を、はじめて買う日、どっきどき』

『お〇にーは、大人になった、その証』


こうしてカルタは続けられていった。


「なんだか言っていることはよくわかりませんが、面白いですね。えいっ!」

「あっ」


俺と姫が同時にカードを取ろうとする。二人の手が触れあった。


「あっ、失礼しました」

「よいよい。初々しいのぅ」


ポッと頬を染める姫に、照れる俺。それを見たタマキンが、ギャウギャウとなきながらしっぽで俺を叩いてきた。


「いたい、いたい!」

「あらあら、どうしたのですか?」

「ギュウ」


タマキンはふてくされた顔をして、俺の股間に潜ろうとする。


「嫉妬しているみたいですね。かわいい。ちっちっ。でておいでー」


カゲロウが俺の股間にむかって指をならす。こうしてカルタを通じて、俺たちは仲良くなることができたのだった。



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