第三章 第十九話 スキルの反動
更新遅くなり申し訳ありません。
少し話を急ピッチで進めていこうと思います。
広範囲攻撃を発動し、ゴッデスへ駆け出したヒバリ。
着弾を確認し、大多数のサイレントスパイダーを殲滅したがゴッデスとアラクネは健在だ。
どうやらアラクネが防御魔法をしようしたようで、ゴッデスともども無傷である。
「レベル7にもなるとアトミック・レイを無効化するのかっ! これは油断出来ない」
ゴッデスに向かっていると、アラクネが迎撃に来る。
纏っていた絶星の剣、全てをアラクネに向け操作する。
絶星の剣の威力が分かるのか、アラクネは糸で剣のようなものを作りそれを手に絶星の剣を相手取る。
タイミングを見計らっていたが、初めて実践するスキルを発動する。
「超集中!」
一瞬の隙を突き発動した超集中はベストタイミングであった。
アラクネは絶星の剣に意識を削がれ、ゴッデスは新たな魔物を生み出すこともなく逃げの態勢を取っている。
「ボスが逃げるか……一閃!」
通常の3倍の加速を行っている中での超加速スキルである一閃。
これは格上でも通用するのではないかと思っている。
ゴッデスはその攻撃を避けられるはずもなく、胴体に直撃を受け瀕死の状態である。
超集中の間は血が飛び散るのもスローになっている。
「サザンクロス! スラッシュ!」
スキルの連打を行い、こちらの戦闘は終わりを迎えた。
新たに魔物を生み出される前に片付いた。
生き残っていた数匹のサイレントスパイダーにとどめを刺し、残すところはアラクネ一体である。
時間はまだリアル時間で20秒くらいだろう。
残りの10秒で片を付けるつもりだ。
アラクネに向き直し、サザンクロスを放ってから一閃でアラクネに接近する。
アラクネはこちらの動きを読んでか、糸で出来た剣でガードを行う。
が、全てを守り切れる訳もなく大ダメージを受ける。
あと5秒。
渾身の力を込め、剣をアラクネに叩き付ける。
「バッシュ!」
一瞬の硬直中に、残っていた光の剣と闇の剣を同時にアラクネの中央に突き刺す。
全力でバックステップを行い、爆発の範囲外に出て衝撃波に備えて身構える。
バァァァンッッ!!
超集中の効果切れギリギリで爆発が起き、音の鳴り終わりと同時にスキルが解ける。
「ぐっ……、ゲッホ……ゲホッ……ハァハァ……一体、なんだ……」
アラクネを確認すると、頭と蜘蛛の下半身を残し、消滅していた。
人と大差ない大きさのため、勝てたようなものだった。
「ハァハァ……なんとか勝てたが、かなり苦しいぞ……」
袖で口を拭うと口から若干の血が出ていたようで、袖が赤く滲んでしまう。
敵の攻撃は何も当たっていない。
だがこの有り様は何だと言うのだ。
ステータスを開きHPを確認する。
HP:8750/11500
HPがかなり減っている。
敵からの攻撃は受けていないことを考えると、これはスキルの反動だろうか。
ゲームではこんなことなかった。
クールタイムこそあったが、超集中の反動でダメージを負うなんてこと考えもしなかったことだ。
「効果が切れたと同時に3倍の速度で動いたツケが回ってくるってことか……これは連発が出来ないスキルだ……」
せっかく有用なスキルかと思ったが、とんだ自爆スキルだ。
「新しいスキルも場合によっては毒となりそうだ。覚醒もなるべくなら使わない方向でいよう」
ドロップ品であるスパイダーゴッデスの大顎と光属性の魔石を拾い、充分に休息を取ってから新しい階層に降りていく。
第三十一階層に到達した。
ここより先はひと昔前の英雄たちが攻略した依頼、未踏である。
ソロでここまで来れたなら人々に誇っていい強さである。
今世の英雄と囃し立てられてもおかしくないほどなのだ。
階段から先を覗くと、目の前に広がる光景は海だった。
空は晴れ、雲一つない空である。
海は穏やか、たまに来るそよ風が海の香りを運んでくる。
ダンジョン内とは思えない広さだ。
降り立った地は半径30メートルほどの孤島。
周囲を見渡すも、何も見当たらない。
違和感を大きく感じる海である。
「こんな海なら泳いで行ってもいい気がするが、まず間違いなく海の中には凶悪な魔物いるはずだよな」
気配察知が先ほどから警告を鳴らし続けているのだ。
おそらくレベル5〜6って感じだ。
いきなりレベル6が大量に現れるかとも思ったがそうでもなかったのは安心出来た。
「でもこれ、階段のある孤島を探すだけだよな……空を飛べばいい話だ」
剣を扱う者は、総じて水中戦が得意ではない。
適性で言えば地上が一番、職によりある程度の空中戦も行けるが、水中はない。
攻略の予想が立てられているため、今更水中を移動する訳もなく、跳躍から絶星の剣で空を飛び続け孤島を探す。
先ほどまで攻略していた森と同様に空から確認するも、視認は出来なかった。
方向感覚がズレるのも嫌だったため、降りてきた階段のある孤島を中心に、ギリギリ見えるところまで離れてから時計回りに回って行き、周囲を確認していく。
すると、これまたかなり離れたところに、別の孤島を1つ見つけたのだ。
予想が外れた場合を考え、降りてきた孤島を背にして一直線に発見した孤島に向かう。
孤島に降り立つと、周囲の海から魔物が飛び出してきた。
三叉の槍を持った魔物、マーマンたちだ。
マーマン自体はレベル3だが、上位種のマーマンも多くいる。
ざっと見たところ、レベル5が最大かというところか。
地上にいる以上、苦戦は無さそうである。
目と鼻の先に下階層に繋がっているだろう建物が見える。
走って切り抜けてもいいが、すでにマーマンに囲まれてしまっている。
中に入ってしまえば安全なのだろうが、念には念を入れろだ。
「大した経験値にもならないが、立ち塞がるなら倒すまでだ」
キェェ! と叫び声を上げながら襲いかかってくるマーマンたち。
丁寧に一体ずつ、回避をしながら斬っていく。
何体か後方から水魔法を使ってくるが、それすらも回避する。
濃い霧を発生させる魔法を使われるも、気配察知があるため視界を奪われても問題ない。
マーマンたちは撤退という言葉を知らないのか、圧倒的強者が目の前にいたとしても、逃げるものはいなかった。
「まぁ、こんなもんか」
数分後には全てのマーマンを片付け、階段に向かい歩き出す。
これからの階層の攻略も特に問題なく行けそうだと感じ、目標を41階層以降に絞り先を目指す。
正直、日々更新をかかさず何年も書いてる方々を尊敬します。
時間が欲しいぃぃ……




