第三章 第十八話 空中移動
一日一回更新ペースがもう無理そうですっ!
すみません!なるべく頑張ります!
先ほどの跳躍で見えた建物へ向け、跳躍を繰り返し進んで行くヒバリ。
運良くヒントが見つかり良かったと思う。
この広大な森をひたすら歩いて探し回るのは、普通に考えれば時間がかかって仕方ない。
だが跳躍を繰り返すのも一旦地上に降りることになり、場合によっては木に激突してしまうこともあった。
落下の勢いで木を蹴り倒しているため、大きな問題ではなかったが、やはり面倒ではある上、稀に魔物が現れた。
ここにはサイレントスパイダーの他、ウッドゴーレムやデッドワスプ、デーモンボアなど森に関連する多様な種族の魔物が生息していた。
中にはキラーマンティスもおり、着地と同時に襲われもしたが、絶星がオートで対応してくれているので基本的には移動をしているだけだった。
そうこうしているうちに目的地である建物に到着した。
それは森の中にある石造りの遺跡のようなものだった。
中に入ると案の定、階段を見つける。
「案外、楽な階層かも知れない……場所さえ分かれば空には魔物も出て来ないみたいだしな」
最初にパニックに陥ったことは置いておき、階段だけを目的に絞れば時間もかからず到着することが出来る。
「何度も着地するのは面倒だが、絶星が使えるか?」
第二十二階層への階段を降りながら、反省点と改善策を模索する。
5分ほどの休憩を行い、ステータスを開き全快していることを確認してから新たな森に出る。
やはり景色は変わらず、21階層と同じ森の中である。
外に出てから一度、垂直に跳躍し建物を探す。見渡すとかなり遠い位置であったが、建物を見つけることが出来た。
絶星を起動し、今回は即、跳躍で移動を行う。さらに今回は考えもあった。
「試してみるか」
前回、キマイラマンティスとの戦闘時に、絶星の剣を足場に使ったことがある。
それをそのまま足場として活用していけば、地上に着地する回数が格段に減るのでは、と考えたのだ。
特に問題が起きなければ、地上に着くこともなくなる。
跳躍から落下して行くタイミングで、絶星の剣を1つ足場にし、もう一度跳躍を行う。
「おっ! 出来た!」
さらに絶星の剣を配置させ、それを思い切り蹴りスピードを出す。
「おお!」
それを8回、繰り返し行い再度絶星を展開させておく。
すでにかなりのスピードが出ており、ものの数分で目的地にたどり着く。
「スピードを落とす方法考えてなかった……」
ズドーンッ
勢いそのままに遺跡に直撃してしまった。
「痛ってて……自爆で結構HP減ってそうだな……」
よくよく考えれば普通に絶星の剣でスピードを殺すことも出来たなと思い、次の階層から実践しようする。
「それにしても、この攻略の速さは新記録だ。裏技を使ったみたいだな」
実際、この22階層に降りてからまだ一度も戦闘を行っていない。
上空を飛んでいたため、敵と出会うこともなく自動迎撃も反応しなかった。この階層での経験値は0だ。
「抜けれるなら早く抜けよう。31階層から稼いだ方が効率いいはずだ」
そう考え、次の階層に降りて行く。
時折りアトミック・レイを挟み森を破壊しながら進む。
そうすることによって姿が見えなくとも、そこに魔物はいるはずの魔物を倒していける。
MPは自動で回復するため遠慮なく使っていく。
途中、一体だけレベル6の魔物が出現した。
エルダートレントという高威力の魔法を放つ魔物だ。
跳躍した際20mは超えるだろう大樹を見つけ、確認しにいくとその魔物だった。
的が大きいため、絶星とアトミック・レイを全弾当てると沈黙した。
結界魔法か何かで守っていたようだが、光の剣と闇の剣の爆発には耐えられなかったのか、結界が溶け、集中砲火に見舞われ耐えられなかったようだ。
ドロップ品と魔石を魔法袋に入れていると他の魔物が近づいてくる気配を感じた。
また虫系の魔物が集まってきても嫌だったためすぐに跳躍を行い、その場を後にする。
レベル6の魔物を瞬殺出来る事実に、もう魔族相手でも余裕がありそうだと感じた。
だが魔族はレベル6の中でも上位である。
実際に接敵した際は油断なく戦おうと思う。
途中、小休憩や仮眠を取りつつ先を急いでいくと、1時間ほどで第三十階層へ辿り着いた。
「思ったより早く着いた、休憩してからボス部屋にいくか」
軽く食事を済ませ、仮眠を取る。
ボスは何だろうか。レベル7の魔物が現れてもおかしくはない。
セオリーで行くなら虫系、植物系、獣系の魔物のどれかでレベルは6だろう。
だがそれはあくまでもセオリーなだけで、やはり部屋に入って見なければわからない。
ヒバリの思う最悪のパターンは、配下を従えた蜘蛛のボスだ。
考えただけでおぞましい……。
考えている間に仮眠を終え、目が覚めたところで覚悟を決める。
「よし……開幕先制だ!」
ボス部屋の扉に触れるとゆっくりと開いていく。
扉の先は夜の森の中だった。
夜目が利く分、ボスのシルエットがわかってしまう。
現れたボスは最悪のケースだと考えていた全長5mほどの巨大な黒色をした蜘蛛の魔物だった。
スパイダーマザーというレベル6のボスだ。
大層な名前が付くが単体の戦闘能力で言えば大したことはない。
だがその特殊能力ゆえに、同レベルでは格上の存在である。
このスパイダーマザーがなぜレベル6なのかというと、自分より上位であるアラクネというレベル7の魔物をスキルにより生み出せるからである。
さらにサイレントスパイダーなどのレベル5以下の蜘蛛の魔物も可能なのだ。
アラクネは1体しか生み出すことは出来ないがレベル5はほぼ無限に生み出せる。
さらにこのボスの嫌われている点が、生み出した魔物からはドロップ品が一切なく、経験値も0だということ。
誰も好き好んで戦おうとしなかったボスの1体である。
ボスの周囲はすでに蜘蛛で埋め尽くされており、ギチギチと音を立てている。
「あぁぁ……嫌だ嫌だと思っていたのに、心を読み取るセンサーでも付いているんだろうか…………最悪だ……」
文句を言っても仕方ない。
やはり出てしまったものは戦うしかないのだ。
ボスの正面にはアラクネが佇んでいる。
この魔物は全ての能力においてバランスがよく、人と同じ程度の大きさしかないにも関わらず、並の攻撃ではダメージが通らない。
さらにサイレントスパイダーに関しては倒したところですぐにマザーにより新しく生み出されていくため、キリがない。
ある程度、頭の中でイメージを行い効率よく倒す方法を模索していく。
どんなパターンだとしても倒すべき最優先はマザーである。
アラクネの相手をしている間にサイレントスパイダーに囲まれたら目も当てられない。
いや、目を開けることも出来ない。
全てがうまくいくとは思っていないため、初撃以降の予想が外れれば臨機応変に対応するしかないが、一応の作戦を決め剣を構える。
「本物のレベル7ではないが、初戦闘だ。今の自分の力を試してみよう」
「アトミック・レイ!」
構えた剣からスキルの発動を行い、全力でゴッデスへ向かい駆け出した。




