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第三章 第十六話 今後の予定



思ったより捗らず、更新が一日一話ペースです…。


がんばりますっ!




 目の前にいるマイ。

 

 飛行機で出会った、後輩の彼女だと思い出した。




「マイ、村瀬を知ってるだろう。俺と飛行機で一緒だったはずだ」


「あっ! あのときの先輩!? 性格変わりすぎじゃないの? あと顔も」


「いや、お互い様じゃないかそれは……ってそれはいい、村瀬は来てないのか?」


 お互い今の今まで気付かなかったようだ。


「イサム君はわからない。でもアスカなら飛行機に乗ってたわよ」


「なんだって!?」


 さらに驚愕の事実を聞いた。


「だからきっと、イサム君もこの世界のどこかにいるんじゃないかって思っているの」




 あの飛行機に乗っていた人たち全員、この世界に来ているのか?

 そんな大規模に転生しているのならもっと大々的に広まっていてもおかしくないと思うが。


 マイが知っている転生者はアスカだけらしい。

 アスカの方もおそらくマイしか知らないのでは、とのことだ。

 ヒバリはギルドの受付嬢であるミリアを見つけた。

 これで知っている転生者は3人になったが、3人ともその事実は隠して生きてきた。

 

 他にも自らが転生したことを隠し生きている者はいるだろう。




 とにかくアスカの救出は決まった。


 だがそれはやり直し後である。やり直し後に迅速に仲間を増やすためには初見で事情を飲み込んでもらう必要がある。




 マイには転移者であること、そしてエクストラスキルであと一回だけ飛行機からやり直すことが出来る旨を伝えた。




「なら、戻ったときすぐに私に伝えて。異世界に行ったら強くなって王都で待っていてくれって。私ならそれで理解するわ」


「それだけでわかるものなのか?」


「実際にこっちの世界に一人でくれば信じるしかないでしょ」


「それもそうだな、なら機内で叫ぶか? 全員、強くなって王都に集合してくれって」


「ふふっ、そうね。イサム君にもちゃんと伝えておいてね」


 次のやり直し後の行動が決まった。

 戻ってきたらすぐに王都に向かい、仲間を集める。

 そして魔王を倒す。


 うまく行くかわからないが、これに賭けるしかない。

 飛行機で叫ぶのはやっぱりちょっと嫌だが文句も言ってられない。




「あーあ、この世界に来てから今までの人生は無意味だったのかな」


 よく考えるとそう思ってしまうのも仕方のない話である。

 少し、配慮が足りなかったか。


「すまない、だが無意味ではないと思う」


「いいわよ、慰めなくたって。早くレベル10になってきなさいよね」


「ああ、わかってる。明日から数日は潜り続けるつもりだ」


「私たち、まだこの街にいるから何かあったら言ってね」


「わかったよ、ありがとう」




 やらなければならないことがが増えた。


 現状、最大レベルでやり直しを行ったあとはゴブリンの殲滅、インフェルノドラゴンの討伐、コボルトの殲滅。

 そして王都に向かい、転生者であるアスカの救出だ。

 

 その後は仲間を募り、魔族及び魔王を倒す。

 



 ある程度の指針が決まったところで解散する。




 そして忘れていたサーシャはいつの間にかベッドでスヤスヤと眠っていた。






 翌朝、整理した荷物を持ちダンジョンに向かう。


 今回一週間以上は潜っていられるように準備している。

 多少荷物も多いが、買ったばがりの魔法袋に全て収まってしまったためほぼ手ぶらである。


 部屋を出て宿の受付に立ち寄り、数日間戻らない旨を説明してから宿を出た。




 昨夜は早めに就寝したため、今日起きたのは日が登り始めた頃だ。

 準備も大してなかったためすぐ出て来れたが、ダンジョンまでの道のりで空いているお店はなかった。




 入り口に着くと受付の他にもう一人、男が立っていた。

 ヒバリを確認すると声をかけてくる。


「あんた、この前ダンジョンですれ違った人だよな?」


(誰だこいつ、ダンジョンですれ違ったというと……1階層でスライムアントにやられていたやつらの一人か?)


 見た目は40代、盗賊のような男だ。


「1階層で全滅しかけていたやつか?」


「ぐっ、まぁ……そうだ。この前は助かった。ありがとう。」


 見た目に反して律儀なやつだ。わざわざ礼を言うために待っていたらしい。


 今度戻ったら酒でも奢らせてくれと言われたが、仲良くするつもりもない。助けるつもりで敵を倒した訳ではないから気にしなくていいと伝え、ダンジョンに入る。




 第一階層からマップを表示させ、最短で11階層に向かう。

 

 途中の魔物たちは経験値が低いため、ここで時間を使う必要もない。

 

 階段までの進路上で邪魔な魔物だけ絶星で処理していく。




 11階層に降りてからもそれは同じことだ。


 今ならスカイドラゴンクラスの魔物が現れても楽に処理可能である。

 それ以上が出てくるかも知れないと一応警戒はしていたが、杞憂に終わった。


 11階層から20階層までは一本道だ。

 マップを使うことが出来ないが、進むだけなら全く必要としないため問題ない。


 全速で階段に向かい、20階層に到着した。


 残りの経験値を確認すると、あと100も必要とせずにレベルアップとなる。

 

 ちょうどこのボスでレベルが上がりそうだ。


 気合を入れ、ボス部屋の扉に触れる。




 中に入ると、今回も夕方の草原であった。


 少し遠目に見える魔物は前回と違い、巨大な鳥だ。


 あれは確かキラーコンドル、その巨体からは想像出来ないほどのスピードで空を舞い、風属性のスキルを使ってくるレベル5の魔物である。


 耐久性が低いため、斬撃でダメージを稼ぎやすい倒しやすい敵だ。


「今回は楽が出来そうだな、絶星!」


 スキルを再使用し、ボスに突撃する。


「キィェェエ!」


 甲高い声を出し、威嚇してくるがレベル差があるためか全く恐ることもない。


 空を飛び、空中から攻撃しようとしてくるキラーコンドル。


 だが、それは悪手だ。


 風の剣と水の剣を空に飛ばし、キラーコンドルへの攻撃を開始する。


 回避の速度も凄まじく、こちらが低レベルであれば触れることすら出来ないくらいの速度であるが、絶星の剣は自分の認識出来る速度で操ることが出来る。


 回避されたところですぐに切り返し、ボスを襲う。


 そして風と水の剣を相殺させようとスキルを使おうとしているキラーコンドルの死角から火の剣と雷の剣を最速で突き刺す。


「今だな、サザンクロス!」


 体が痺れ、燃え出し動きが止まったところへ、サザンクロスの剣撃を飛ばす。

 

 サザンクロスが直撃したキラーコンドルは血しぶきを上げ落下してくるが、ダメ押しで光の剣と闇の剣を同時に突き刺す。



ッバン!




『エクストラスキル =起死回生= 発動します』



 

 視界が瞬間的に白と黒に明滅し小規模の爆発が起きる。


 その音と同時にレベルが上がる。今ので間違いなくとどめはさせたのだろう。




「うおっ! なんだ!?」


 爆発の衝撃波が自身を襲い、吹き飛んでしまう。




 目を開き爆発の跡を確認すると、キラーコンドルの痕跡が一切なく、全てが消滅しているようだった。


「なんだ今の……光と闇の剣がぶつかって爆発したってことか?」


 こんな効果は見たことも聞いたこともない。


 至近距離で今の爆発に巻き込まれていたら危ないところだった。

 ゲームでは自分の攻撃に巻き込まれるなんて考えもしなかったが、ここはリアルな異世界だ。

 場合によっては自分に被害が来ることもしっかり考えておかなければならない。




 今、起きた光と闇の爆発は当分使わないようにしようと心に決め、初めての第二十一階層に降りていく。






ステータス確認は次話で行います!


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