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第三章 第十話 救出

遅くなってすみませんっ!


ブクマや評価を頂きありがとうございます!


すごく嬉しいですっ!




 第十三階層に降り辺りを見回すも、見慣れた光景が広がっているだけだった。




「そろそろレベルアップだ」


 次のレベルまで残りはたったEXP:90だ。この階層でレベルアップが望める。




 前回レベルアップしたときには、通常より1ランク上の職が表示されていた。


 どういった条件でそうなったのか、理由がわかればいいのだが、鑑定スキルを使っても伏せられていたため今はわからない。


 仮説としてはレベルアップのタイミングが劣勢であったということだ。

 しかしこれだけだと、何度も経験しているため条件に足りないと思う。


 正直、いろいろと想像は出来るが、全てにおいて確証がない。


 レベル10まで合計で9回しかレベルアップが出来ず、その条件を探すための試行回数は残り5回だ。

 伏せられたまま正解を導くのは不可能である。




 一番現実的なのは鑑定スキルを上げてから、再度エクストラスキルを調べることだ。


 例えば鑑定スキルを最大の10まで上げれたとしたら、おそらく全てが解明するかも知れない。

 だがそれには今回のレベルアップで鑑定スキルを上げる必要がある。


 解明出来ていなければ試しようもない。


 わざわざ瀕死の重傷を負って不発だったときは命の危険に晒されるだけだ。

 

(悩むな……どうせならより強くなりたいが……)


 スタートオーバーでやり直しが出来ても、今までレベル自体はずっと継承されていた。


 レベルはやり直しが効かないという事実。

 どうしても普通にレベルを上げてしまうことに抵抗がある。

 

 どうせなら強くなりたい。


 そう思ってしまう。


 今までの経験から色々なパターンを考えるが

やはり確証は何も得られない。




 階層を降りてからそんなことをずっと考えていると微かに叫び声が聞こえてきた。


「ん? なんだ?」




 声が聞こえたのは草原の道沿いだ。


 魔物の声か、人の声か。微かに聞こえただけだったため分からない。

 だが女の叫び声にも似ていたように思う。


「わからないことを考えるより、さっさとレベルを上げてしまうか」


 声が聞こえた道沿いを走り出す。




 その声の主はすぐに見えてきた。

 



 やはり人だ。それも明らかに劣勢、全滅寸前のパーティに見える。


「うう……もう私たちダメなんだぁ」


「しっかりしてサーシャ! まだ諦めたらダメよ!」


「マイ! 俺たちが抑えてる間にサーシャを連れて逃げろ!」


「クソッ……でもどうすんだ!? 抑えたとこでもう俺らは逃げられないぞ!」


「…………早く行け」


 デスマンティス3匹に冒険者パーティが襲われている真っ最中である。




 サーシャと呼ばれた諦めてる神官風の女は地面に座り込んでいる。

 そのサーシャを引っ張っていこうとしている女がマイだろう。両手杖を持っているところを見るとおそらく魔法使いだ。


 階段まで走れと指示していた男は剣士だろう。手にはロングソードしか持っていない。


 壁役の巨漢は盾騎士か? 大型の盾でデスマンティスの攻撃を防いでいる。

 そしてその周りをフォローしつつ撹乱しているのは斥候職だ。




 状況は明らかに劣勢、放っておけば数分後には誰かがやられるだろう。


 そしてそのまま押し切られて全滅だ。




 助ける義理もないが、助けないという選択もない。

 魔物も憎むべき対象なのだ。


 全力で駆け出し、姿が見えたところで跳躍、距離を測り一閃を行う。

 

ズパッ


 1匹のデスマンティスの首を刎ねる。




『エクストラスキル =起死回生= 発動します』




 レベルが上がったようだ。


 だが今は魔物の殲滅が優先である。




 着地したと同時に足に力を入れ、盾騎士が抑えているデスマンティスに踏み込み肉薄する。


 鎌でガードされるもそのまま力技で押し切る。


「おらぁ!」


ガキンッ


 力に押されてデスマンティスは吹き飛ぶ。


「な、なんだ!?」


「えっ!? 誰!?」

 

 ヒバリの突然の乱入に劣勢だった冒険者たちは驚き動揺している。


「そのまま離れてろ。すぐ片付ける」


 剣士、斥候と対峙していたデスマンティスに向かい、バッシュを行う。

 1匹を硬直させたと思ったら先ほど吹き飛ばしたデスマンティスが迫る。


「サザンクロス」


ブシャァ


 一瞬で細切れになるデスマンティス。


 レベルが上がったからだろう。

 力もスピードも桁違いに上がっているように感じる。




 そして残るは1匹。




 すぐさま硬直中の敵に斬りかかるも寸前で硬直が切れたようだ。

 

 デスマンティスが大鎌を振ってくる。


 こちらも攻撃モーションに入っており、避け切れない。


 頬をかすめる大鎌。


 目は瞑らない。


 カウンターで確実に急所を突くために。


 頬にキズが入り、血が少し飛ぶが今更この程度で怯むこともない。




 ヒバリの剣はデスマンティスの首を斜めに切り裂いていた。




 これでこの場にいた魔物は全て倒したことになる。




「大丈夫か?」


 恐怖、驚愕、安堵、極端な感情の起伏で無言になっている5人のうち、一番近くにいた剣士の男に声をかける。


「あ、ああ、大丈夫……です」


 おそらく5人とも自分より若い。25歳前後だろうか。

 若くて優秀なパーティなんだろうな。


「そうか、それはよかった。じゃあな」


 足早にそこを離れようとすると待ったの声がかかる。


「あのっ!私たち……戻り方がわからないの!」




「は?」




 道なりに戻ればすぐにでも上へ戻るの階段があるだろう。何を言ってるんだと思っていると、マイと呼ばれていた魔法使いが説明を始める。


「第十一階層以降の草原は進むときは一本道だけど、戻ろうとすると、もう来た道がなくなっているのよ。ほら、見て」


 後ろを指差し確認するように促してくる。


 改めて後ろを見ると、少し先で道がなくなっている。

 それどころか草原ではなく荒野のようになっており、先が全くわからない。

 上へ登る階段も全く見当たらない。


「これは……」


 ダンジョンに入って一泊、次の日には帰ろうと思っていたヒバリにとって、それは想像もしていなかった話だった。


 前へ前へ、進むことしかしなかったヒバリには気付きようもない事実である。


 内部が変わるダンジョンはもちろん知っているが、この広大な階層で方向がわからなくなり戻れなくなるとは思っても見なかった。


 マップはどうだろうと確認すると、なんと前へ進む道以外、表示が黒く塗り潰されわからなくなっていた。


(マップにレベルはない。これはこういう仕様のダンジョンだと割り切るべきだな)




 これからのことを考える。


 選択肢は2つ。

 無理矢理戻る道を探すか、先に進むかである。


 ヒバリにとってはもちろん先に進む以外の選択肢はない。

 20階層で転移魔法陣を使えばいい話だ。


 だが、このパーティにはそれが無理なのだ。

 13階層でつまずき、戻ることも不可能な状態である。

 食料さえ充分にあれば可能かも知れないが何日かかるかわからない。それにまたこの階層でデスマンティス複数匹と出会ってしまうかも知れない。




「俺はこのまま進む。面倒を見るほどお人好しでもないが、後ろをついてくるだけなら構わない。どうする?」


彼らに選択させよう。


「戻っても、帰れる保証がないんです。すでにこの階層で5日間彷徨っているので、食料もほとんどありません。もし20階層までご協力頂けるのであればお願いしたいです」


 剣士の男が代表して答える。

 この男がリーダーなのだろう。




「私はもうダメですぅ……お腹減りすぎて動けませ〜ん……」


「お、おいサーシャ……」


「………………」


 疲れているんだろうな。全員弱気ではある。

 危機が去ったことにより急に空腹や疲労が押し寄せてきているのだ。


「とりあえずこれを食え。10分後に攻略を再開する」


 多めに持ってきていた食料を少し広げる。


「うわあっ!ありがとお!」


 全く躊躇せずパクパク、モグモグと食べ始めるサーシャ。


「ありがとうございます! 助かります!」


「俺らもいただくっすね!」


「…………感謝する」


「それじゃあ私も頂くわ、ありがとう」




 各々から感謝され、食事を見守る。




 その間にレベルアップの確認をしよう。


 彼らに背を向け、ステータスを確認する。






続きはまた明日更新します!


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― 新着の感想 ―
[一言] 第43部分 タイトル「第三章 第十話 第十五階層」 最初から最後まで第十三階層での話でした。間違いだと思うんですがわざとだったらすいません。
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