第三章 第九話 順調
時間が出来たのでもう一話更新しちゃいました!
また明日から一日一話更新になります!
5/2からのGW休みで余裕が出来れば複数更新します!
スカイドラゴンとの戦闘を終え、道なりに先を進んでいく。
30分ほど歩いていると遠目に開けた場所が見えてきた。
開けた場所に到着すると周囲には草木がなく土だけで、階段が剥き出しの状態で存在していた。
(やっと目的地に辿り着いたか……)
階段を降り、下の階層とのちょうど真ん中辺りで座り込み、シルクキャタピラーの絹糸を広げる。
そこに寝転がり仮眠を行うことにする。
HPは自己回復スキルの影響だろう、1分間でHP10回復するようだが、MPに関しては回復していなかったため、今回はMPを回復させるための休憩である。
当然、精神面とスタミナの回復も図っている。
インカネートオンラインでは、階層間の階段は安全地帯として有名な話である。
忠実ではないにしろ、それをなぞったような世界なだけあり、このシステムも同じだろうと予想している。
その予想が外れた場合が怖いが、隠密を使った魔族が来ない限り気配察知もあるため大丈夫だろう。
11階層に降りてからこの階段に到着するまで、約4時間かかっている。
小腹が空いてきたため、宿屋でもらった携帯食に手をつける。
今回取り出したのはパンだ。
特に何かが挟まっていたりもしないごく普通のものである。
元々、食にこだわりもないため食べれれば何でもいいと思ってはいたが、用意されたパンは固くて腹持ちもよく、思ったよりもずっと美味しかった。
パンを飲み込み、喉に詰まってきたため、水分を取る。
この世界にきて初めて水を買ったとき、あまりの値段の高さに驚いたが、世界の発展レベルからするとこんなものだろうと思えた。
比較的早い段階でお金に困らなくなったのも大きいと思う。
お腹を満たしたあと、予定通り寝転がり目を瞑る。
疲労が祟ったようですぐに睡魔に襲われ眠りに落ちてしまう。
どのくらい眠っていたのかわからないが、ゆったりとした時間の中、自然と目が覚める。
「何も気配を感じなかったな……」
予想通り階段は安全地帯なのだろう、と確信には至らずとも信頼性は高いなと感じた。
MPが全快していることを確認し、荷物をしま先に進むため、途中まで進んだ階段を再度降りていく。
そして第十二階層に到着する。
やはりそこも11階層と同じ草原であった。
(10階層ごとにエリアが変わる、で間違いなさそうかな)
この辺りのシステムもインカネートオンラインと同じである。
どこまでが一緒なのか、なぜこの世界はインカネートオンラインとここまで極端に類似しているのか、謎は多いが全て解決したあとに考えるべきだと判断した。
(今は先に進もう……)
レベルアップのための魔物探しに精を出す。
12階層も同じくシルクキャタピラーが多く、稀にデスマンティスという大鎌を持った黒緑色のカマキリのような大型の魔物も出てきた。
デスマンティスはレベル4の魔物だ。経験値がおいしい獲物である。
デスと名の付く魔物ではあるが、属性は風。空を飛ぶことも出来る。
2本の大鎌は体と一体化しており、素早く、かつ力強い攻撃をしてくる。
攻撃の初速が異常に速く、ノーモーションで大釜が振り下ろされるため初見では回避不能、油断をしていなくても反応が遅れれば簡単に狩られる側になる。
3mの巨体で空を飛び、風属性のスラッシュという遠距離魔法を連発されると厄介極まりない。
石を投げつけるも、鎌で叩き落とされてしまう。
デスマンティスに集中しているとシルクキャタピラーの吐く糸に捕まってしまうというコンビネーション抜群の2匹だ。
今はデスマンティス1匹と2、30匹のシルクキャタピラーと対峙している。
デスマンティスの両鎌が振り下ろされ、剣で2本ともガードする。
キィィン
明らかな金属音。この鎌は金属製なのなと思うほど、鋭く重い攻撃だ。
「コイツ……! 結構強いな!」
「キシャーッ」
ガードされるや否や、すぐさま空に逃げるデスマンティス。
見計ったかのようにシルクキャタピラーの糸が吐かれ、周囲を覆う。
「チッ……」
足に力を込め、上空へ跳躍する。
大技でケリを付けたいが、いつ何があるかわからない。
またスカイドラゴンなんて出てきてMP切れでは、シャレにならない。
作戦、MP使うな、で当面は凌いでいく。
跳躍したところへ、デスマンティスが鎌を構えて突っ込んでくる。
打ち合うタイミングでバッシュを行う。鎌で防がれるが、バッシュのスタン効果により、鎌の動きが止まる。
空中でさらに空を蹴り、デスマンティスの首に剣を突き刺す。
そのまま力任せるに横へ振り抜く。
「おらぁッ!」
デスマンティスの首が、皮一枚繋がった状態になり、地に落ちていく。
自身も重力により落ちていくと、下から糸が大量にこちらに向かってくる。
空中で避けれないところを狙っていたのだろう。
射程距離まで一拍置き、スラッシュを行う。
吐かれた糸を全て巻き込み、地面に叩きつける。
何匹かスラッシュの巻き添えでダメージを受けもがいてる。
その様子を見て、余裕を持って着地した後、即座に駆け出しシルクキャタピラーたちを切り伏せていく。
最後の1匹を仕留め、剣を鞘に納める。
「ふぅ、このくらいの魔物相手ならもう余裕だな……」
剣を扱うようになり数ヶ月。
これまでの濃密な経験を積み、単にスキルだけではない技術を身につけていくヒバリはさらに強くなっている。
魔石と戦利品を拾い麻袋に詰め、また道なりに走っていく。
2時間ほど走っていると階段を見つける。
途中シルクキャタピラーを数十匹、デスマンティスを数匹倒して行ったが、まだレベルアップには届かない。
もっと深く、下の階層の経験値の多い強力な敵を求めて進む。
13階も至って変わらない風景だった。厳密に言うと道自体は変わっているのだが、草木と道しか見えないこの草原では既視感をひどく感じる。
高速道路を延々走っているような感覚だ。
ここでも同じくシルクキャタピラーとデスマンティスが現れた。
12階と違うのは、シルクキャタピラーの数こそ同じくらいだったが、デスマンティスの数が倍になっている。
デスマンティス2匹が同時に出ることはないが、戦闘のたびに現れるようになった。
次の階層は同時に現れそうだな、と思いながらも次の階層を目指す。
念のため階層間の階段で現在の経験値を確認する。
称号:[ゴブリンキラー]、[コボルトキラー]、[ドラゴンキラー]、[ジャイアントキリング]
職業:天聖
レベル:5
ランク:E
HP:1150/1150
MP:427/452
STR:678
INT:424
VIT:567
AGI:819
EXP:6160/6250
職業スキル
-バッシュ-消費MP3
-スラッシュ-消費MP5
-一閃-消費MP10
-サザンクロス-消費MP38
-アトミック・レイ-消費MP95
スキル
<体術:7>、<剣術:7>、<投擲:3>、<回避:5>、<追跡:5>、<隠密:4>、<夜目:2>、<気配察知:3>、<魔法耐性:5>、<自己回復:10>、<鑑定:3>
エクストラスキル
=起死回生=
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