第三章 第三話 初めてのダンジョン
おはようございます!
今日は暇を見つけて更新していきますっ!
ダンジョンの第一階層に到着した。
まずはマップを開いてみる。マップにはダンジョン一階の表示が現れる。
まだ一度も通ったことがないからか、入り口以外は暗く、先はわからなかった。
「地道に階段を探すしかないな」
この第一階層は洞窟を模した作りになっているようだ。少し進むとかなり入り組んでいるのがわかる。
中はそれなりに明るいが、夜目がなければ奥までは見にくい。
イメージで言うとアリの巣を平面にしたような感じだ。
いつ魔物と出会ってもいいように剣は鞘から抜いて片手で持っておく。
「ん? 早速現れたか」
通路の折れた先から半透明の水色をした巨大なアリが現れる。
長さ1メートル半程度で大きな金色の顎を持っている。
こちらを見て威嚇している。完全に狙ってきているようだ。
「スライムアントか。いきなり物理攻撃が効きにくい相手とは……このダンジョンの難易度は高そうだな……」
スライムで出来た細く長い足で、ズムズムと音を立てながら走ってくるスライムアント。
速さはゴブリン以下だが物理攻撃が効かないだけあってレベル2の戦士が5人いても倒すのに時間がかかる相手だ。
だがヒバリには関係ない。
「ふっ」
剣を構えすれ違い様に3回切る。頭を飛ばし胴を2回、これでスライムアントは剣速の衝撃により体を弾けさせて溶けていく。
数秒後には魔石を残して跡形もなくなった。
「ダンジョンに溶け込んでいくような感じだったな。倒せたのかの判断に使えるのはありがたいシステムだ」
スライムアントが出てきた角を曲がると、またスライムアントが現れた。
今度も威嚇しながら走ってくる。今度はバッシュを頭に叩き込む。
すると体全体が弾け、そのまま消えていった。
「レベル差があるからだろうが、さすがに1階では話にならないな。早めに階段を探そう」
2体目を倒したあとは軽く走りながら下を目指す。
途中、何度かスライムアントとすれ違ったが
危なげなく進んでいく。
「ん?この先は部屋みたいなだな、少し広くなってる」
常にマップを見ながら走っていたため、いち早くその変化に気付いた。
様子を伺うとスライムアントが15匹程うろついていた。
「スライムだからまだいいが、虫がわらわらしてるの見ると気持ち悪いな」
そうは言うものの経験値となる魔物だ。全て殺して糧とする。
部屋の入り口で前傾姿勢になり、構えを取る。スライムアントが固まったタイミングを見計らい剣を抜く。
「一閃」
部屋の奥まで一気に駆け抜け、その進路上にいたスライムアントを爆散させる。
振り返り剣を横薙ぎに振るう。
「スラッシュ」
一閃を免れ、こちらに向かってきていた残党を一撃で蹴散らす。
落ちている魔石を拾っていると、片手に収まる程度の小さい瓶が3つ落ちていたのに気が付いた。
「これはドロップ品か。ご丁寧に瓶に入った状態とは……」
瓶を拾い袋にしまう。アイテムを鑑定すると
・スライムアントの液体
と表示されていた。
これはMPを回復させるエーテルの合成アイテムだ。
本来なら魔法で倒すのがセオリーであるスライムアント。この源をドロップするというのも理に適っている。
部屋はそこで行き止まりだったため、また階段を探し始める。
あれから1時間程度、探索を進めていると小さな部屋があった。
警戒して中を覗くと下への階段を見つけた。
「やっとか……次は2階だな」
ゲームとは違い、実際に潜ってみるとかなり時間がかかるなと思いながらも階段を降りていく。
第二階層に到着するも、周囲の様子は1階と変わらない。
そのまま2階の探索を開始した。
1階と違うのは出現する魔物の種類が増えただけだった。スライムアントに加え、ゴブリンが出てくるようになった。
特に連携を取ってくる訳でもなかったため、大して苦戦もせずにいる。
しいて言えばスライムアントの背後から弓を打ってくるゴブリンが面倒に感じるだけだ。
今回は1階よりも早く階段を見つけることが出来た。
第三階層ではさらに魔物の種類が増えた。レッドスライムアントという色違いの魔物だ。
レッドスライムアントは特に上位種でもなく、何か特別なことをしてくる魔物でもない。単純にスライムアントの色違いなだけである。
ドロップ品はレッドスライムアントの液体でこちらはMPを徐々に回復させるアイテムの原料になる。
「この感じだと当分苦戦はしなそうだな。予定通り全て経験値の糧になってもらおう」
途中、新しく増えた魔物はコボルト、グリーンスライムアント、イエロースライムアント、8階層以降にイビルロックだ。
イビルロックは直径1メートルほどの岩の形をした魔物である。
他の魔物と比べて、魔法より物理攻撃の方が効きやすい。
特に弱点は打撃系だが、ヒバリの斬撃だとどれも一太刀で片付いた。
ドロップ品は採掘で取れる鉄鉱石よりも高純度のものである。
今回は魔石だけ拾い、鉄鉱石は重いのでパスした。
そして第十階層に辿り着く。
第十階層は探索の必要がなく、すぐにボス部屋となる。
部屋の入り口まで行くと大きな両開きの扉があった。
この奥にボスがいるのだろう。
扉に触れるとゴゴゴゴ……と音を出しながらゆっくり開いていく。
「さて、いくか」
今は緊張もない、高揚感も期待感もない。
ただただ経験値を稼ぎにきているだけだと、早くレベル10に上げなければいけないという義務感のみで先に進んでいる。




