第三章 第二話 迷宮都市
更新がいつもより遅くなってしまいました…。
迷宮都市アルダブラ。
隕石が落ちた跡のような巨大なクレーターの中に街がある。
周囲は岩石地帯となっており、都市の内部も石造りが非常に多い。建物の高低差も目立つ。
そしてここはファサーム子爵領の一部でもある。
入場制限をしているというダンジョンに入るには、そのアルダブラの代表、または領主から特別な許可証が必要だそうだ。
今回はレティシアの推薦もあり、子爵が渋々ながら書いてくれた。
本来はこの迷宮都市までオウロの街から東側に馬車を使い15日かかる旅程を、天聖のスピードで走ると3日で到着した。
伊達にAGIが高い訳ではない。
これから当分はここでレベル10を目指す。何があろうとも今は進むしかない。
街の中に入るとちょうどお昼時もいうのもあり活気で溢れている。
露店で串焼きと水を買い、腹を満たして目的地に歩を進める。
この街にも冒険者ギルドがあるため、まずはそこを目指した。
マップを駆使しギルドに到着するとオウロの街のギルドより2倍近く大きい建物だった。
中に入ると酒を飲み談笑している戦士たち、魔法使いや神官、様々な職業の冒険者がいた。
(オウロの街では見なかった職も結構見かけるな。まぁ……今は関係ない、とりあえず受付に行こう)
ダンジョンについての情報を得るため受付に向かう。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか」
「ダンジョンについての詳細が聞きたい。あとは買取もここでやってくれるのか?」
子爵に書いてもらった探索許可証を見せる。美人な受付嬢が、かしこまりましたと言って資料を広げて説明してくれる。
「まず、ダンジョンとは世界各地に古くから存在する不思議な洞穴のことを言います。中には強力な魔物も出現します。討伐すると、魔石を残して体は消滅します。またダンジョンの外に出てくることもございません」
「なるほど。内部構造はどうなっている?」
「内部は複数の階層になっており、そのフロアに存在する地下への階段を発見することで、降ることが出来るようになっています。そして各10階層ごとに最奥の部屋で守護モンスターという魔物が現れます。一度倒しても、再び部屋へ入ると復活しており何度でも挑戦出来ます」
(ここまでは俺のゲームでの記憶と同じだな)
「さらにボスを倒すと転移魔法陣が現れます。その魔法陣に乗るとダンジョンの入り口に戻ることが出来ます」
(10階層ごとに仕切り直しが出来るわけだ。ここまで同じなら宝箱や隠し部屋とかもあるんだろうな)
「宝箱や隠し部屋などの存在は?」
「宝箱はボスを倒すと、稀に現れることがあります。中には貴重な装備やアイテムが入っています。ですが、隠し部屋というのは聞いたことがありません……」
(宝箱は同じ仕様だな。だが、隠し部屋は存在しないのか……それか発見されていないか、どちらかだな)
「わかった。現在までの走破階数を教えてくれ。それとこのギルドでは買取もやっているか?」
「現在探索が進んでいる最大フロアは50階となってます。50階層のボスは倒せておりません。全何階層かは不明ですが、おそらく50階層が最深階となっているという話です。買取についてはダンジョンでの戦利品は全て対象となっています。是非お持ち込み下さい」
「わかった、ありがとう。じゃあ行ってくる」
「ちなみに50階層まで降りたのは139年前の英雄たちと話を聞いております。理由はわかりませんが降りた時点で引き返してきたとのことです。では、お気をつけてお戻り下さい」
そう言っておじぎする受付嬢に感謝し、ダンジョンに向かう。
「魔物の体が消滅するのはありがたいな。魔石を取り出す手間が省ける」
ダンジョンの入り口は街の中心部にある。入り口は神殿のような建物で周囲には武器屋や防具屋、食事処や露店などが多く見受けられた。
神殿に近づくと簡易的な受付があった。そこで許可証を提示するのだろう。
「ダンジョンに入りたい。これが許可証だ」
受付に許可証を提示する。
「かしこまりました。探索パーティのメンバーをこの表にお書きください。許可証一つで最大30人まで登録出来ます」
(許可証一つで30人も潜れるのか……一人一人に許可証が必要なのかと思ってたな)
仲間もいないため、表には自分の名前だけを記入し受付へ提出する。
「……お一人、だけですか?」
怪訝そうな顔をして聞いてくるが、答えは変わらない。
「そうだ。ダメなのか?」
「いえ、ダメという訳ではないのですが……お一人で探索される方はいません。ダンジョン内には強力な魔物も多く出現し、中には戻らなくなら方も少なくありません。危険ですので是非、仲間を作ってから攻略された方が……」
「結構だ。俺一人で入る」
おそらくそう言われるだろうと思っていた。今は仲間はいらない。仲間を守れるくらい強くなってからそれは考える。
「わ、わかりました。では許可証は問題ありませんでしたので、こちらをお持ち下さい。簡易的な許可証となっておりますので今後はこちらをご提示下さい。それでは中へどうぞ、くれぐれもお気をつけて下さい」
そう言って冒険者カードと似たようなものを渡され、中に案内してくれる。
中に入ると短い階段がある。奥に進むと小部屋があり、その中央には魔法陣がある。ここが出口なのだろう。
さらにその小部屋の奥には下の階層に続く階段があった。
「まずは第一階層だな」
ヒバリは躊躇なくその階段を降りていく。
明日は複数投稿出来ると思います!
是非、ブクマなどよろしくお願い致します!




