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第一章 第二話 トトノ村とステータス


 一時間ほど歩いていると高さ1メートル程度の木で出来た簡素な柵が見えてくる。

 特に門兵などもなく開けた村のようだ。


(見た感じ村っていうより集落って感じかな)


 人口100人程度の小さな村のようだ。畑も多く見える。

 狩りを行い、畑を耕す様子を見ると自給自足の生活なのかなと思う。


「これから村長へ報告に行く。あんたも付いてきてくれ」


「わかりました」




 ハモンドの指示に従い付いていくと、周りの家と比べ倍ほどの大きさのある家に着く。


「村長! 村長はいるか!」


 大きい声で家に呼びかける。

 家の奥から白いひげを生やし、腰が少し曲がった70歳くらいの男が出てくる。


「ハモンドか、どうしたんじゃ。ん?後ろの方は誰じゃ?」


 さっそく自分に気付き誰だと尋ねられる。


「ああ、さっき狩りに出たとき森の中でゴブリンに襲われてたんだ。なぜ森にいたのかの記憶もなくここがどこかもわからない困ってそうだから連れてきた」


「は、初めまして。雲雀と申します。先程はハモンドさんに危ないところを助けていただきました」


 初対面の挨拶に慣れていない剣人だったが、まともに話せたとは思う。


「そうか、それは大変なことじゃな。見た事もない服を着ているから領主様からの使者かと思ったわい」


(領主様か。少なくともこの村以外にも人はいると。領主の住む街ならもっと大きいだろうな)


「積もる話もあるだろう。とりあえず家に入るのじゃ」


 お互いに話をするべく村長の家にお邪魔する。どうやらハモンドさんも付いてきてくれるようだ。




話の中でわかったのは


・ここはグランドリア王国。

ファサーム子爵が治めるファサーム領の一部で、その辺境にあるトトノ村というらしい。


・徴税制度もあるが、辺境のため食料ではなく籠などの工芸品を納めているという。


・街に行くと冒険者ギルドがある。登録すると冒険者証が発行され、それが身分証にもなるのでとりあえずは街に行くのがいいと勧められる。なお、冒険者には魔法を扱うものもいるがトトノ村に使える人はいない。


・近くの森には動物などが多く生息し、奥に行くに連れ[魔物]と呼ばれる生物が出てくるという。

ゴブリンの巣の先は未開の地域だそうだ。


・村の狩人は基本的にスキルなどを持っていない。

スキルや魔法を持つ人は圧倒的に少なく、ゴブリンなどの下級の魔物に対してもスキルを持たない人間だと1対1では敵わないという。


(スキルも魔法もある世界!特に目的もないし街で冒険者になろう!せっかくおすすめしてくれた訳だしね。)




 ハモンドさん曰く、スキルは長い修練ののち、習得出来ることがあり戦闘以外にも調理や工芸スキルがあるとのことだ。

 簡単には覚えられそうもない。


 若干盛り上がりが冷め肩を落とし、とりあえず街までの道を聞こうか、と考えていると家の外から声が聞こえてくる。




「ゴブリンが村の外にきてるぞー! 誰かきてくれー!」


「「な!?」」


 村長とハモンドさんが反応し、すぐに声の方に走っていく。




 遅れて外に出るとハモンドさんはすでに村の柵まで走っており、ゴブリンを発見した村人と話している。


「ゴブリンはどこだ!?」


「柵の外側に10体くらいのゴブリンが見えたんだ! 叫んだら森の中に走っていったみたいだ!」


 すでにゴブリンの姿は見えず、周囲を見渡すも、見間違いだったのでは?と話している。


「村長さん、ゴブリンが村の近くにくることはあまりないのですか?」


 先程の驚き様から声をかけ確認する。


「村から見えるほど近くにくることはなかったのじゃ。森の中で見かけたという報告はたまにあるのだが…。やはり見間違いかも知れんの」


 何か不穏な空気を感じつつも村長から「今日はウチでゆっくりしていてくれていい」と言われ、お言葉に甘えますと村長宅へ戻るのであった。




 村長の奥さんにもしっかりと挨拶を行い、少し早い夕御飯をもらう。


 食事を終え寝床に入る。


(ご飯、やっぱり塩味がないんだな。)


 先程の夕食の味を思い出し、なぜこんなことになったのか考える。


(他の乗客たちはどうしたんだろう? 後輩たちも同じようにこの世界に来ているのか? 森には自分ひとりだったよな……。ま、わからないことよりこれからを考えるか)




 思考はこれからのことに移る。


(とにかくここは完全に異世界だ。スキルや魔法のある世界。オンラインゲームと同じような世界か。

ひょっとしてステータスもあるのか?)


 転移も早々にゴブリンに襲われ、思い当らなかった事象を試す。

 そして少し緊張をし、だが期待感をつのらせてこの言葉を発する。


「ステータス」


 すると目の前には薄っすらと透けるている、自身のであろうパラメータが目の前に出てきた。


「おおっ!」


 思わず声を出してしまう。


 やはりここはゲームと同じようにステータスのある世界のようだ。




名前:ケント・ヒバリ

称号:なし

職業:なし

レベル:1

ランク:ー


HP:15/15

MP:4/4

STR : 5

INT :1

VIT:3

AGI:8


EXP:0/10


スキル

<体術:1>


エクストラスキル

=起死回生=




(レベル1のステータスだとこんなもんだな。INTがあるってことは魔法が使えるのか? それかあくまでただの基礎ステータスなのか……)


 そうではないことを祈り、ステータスについて少しずつ考察していく。


(スキルの体術ってこの世界だと見に覚えがないから、前の世界の話か俺自身のスペックってことか?

 特に何か習っていたわけではないけど、確かに身のこなしには多少自信もある)




 ヒバリは前の世界でも決してスペックは低くない。

 痩せ型の長身で186cmあり、前髪は昔から長かったが見た目も実は悪くない。

 学生時代は運動神経抜群でどんな球技をやらせても誰より結果を残していた。

 人間関係のせいで部活を転々としていたが、運動自体はかなり好きだった。

 ただ極度の人見知りだったため話しかけられ挙動不審になることも多く、それが悪かったのかよく喧嘩を売られた。

 自衛のためにやり返す程度の喧嘩もした。

 常に学年5位以内に入るほど成績優秀だったため、喧嘩をしても学校からは特にお咎めもなかった。


 ステータスを順に見ていくと最後の一行に引っかかる。


(このエクストラスキルって……何かとんでもない気がするけど、一体どんな効果なんだろ?)


 試しに浮いているステータスのエクストラスキルの文字に触れてみる。


(…反応ないな。鑑定スキルとかあればいけたりするかな? 他はどうだ?)


 称号の文字に触れる。


(やっぱり反応がない。ジョブは設定したいところだけど、どうかな。)


 職業をタップしてみると一覧が現れる。


「おっ、いけた。」


 思わず声に出してしまう。




<選択可能ジョブ一覧>


・なし




(ないんかい!!)


 心の中でツッコミを入れる。



(これはジョブ取得に何かしら条件がいるってことか。ん? 何か見覚えあるなと思ったが、もしかしてインカネートオンラインと同じ設定なのか?)


 インカネートオンラインは剣と魔法の世界である。

 称号、職業、レベル、冒険者ランク、パラメータ表示、スキル。

 これら全てはインカネートオンラインのステータス画面と同じである。

 さらに、ゲームでは職業を取得するにはレベルを2に上げなくてはならない。


(似ているな。ありがちなMMOだったが職業設定の条件が同じかも知れない。職業スキルと魔法の表記がないのは扱える職業に就いてないからということか。とりあえずはレベル2を目指してみよう)




 レベル2までの必要経験値は幸いにしてそこまで多くなさそうだ。

 インカネートオンラインだとこの50倍の経験値が必要になる。


(レベル1で職業に付けるとなると、生まれたての赤ん坊でも何か出来ることになってしまう。必要経験値を取得することが訓練となり達成すると職業に就ける、とそういうことだな。おそらくこれは異世界ボーナスなんだろう)


 経験値は魔物を倒すことで手に入るはずだ。 ゲームと同じなら動物では経験値にならない。あのゴブリンを殺さないといけないのか。


 どうすれば倒せるかな、と意識を他に向けるとステータスは自動で消える。


 冒険者になれば依頼でお金が手に入り、それが下級の魔物の討伐依頼であればレベルが上がるかも知れない、と明日の予定を考えながら早めに眠りにつくのであった。




ステータスは今後、必要のない部分は省略しますっ!

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