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第二章 第十四話 メタルゴーレム




 コボルトキング討伐作戦当日。




 朝、目が覚めるとベッドの隣にはノエリアがいた。

「ヒバリさん…」


 顔を赤らめ目を閉じるノエリア。






 そんなバカな!!!!






 と思ったら夢だったみたいだ。


 (なんて夢オチ!)


 今日は誰に起こされる訳でもなく普通に起きれた。

 さすがに毎日誰かに起こしてもらうのは申し訳ない。

 そう思っていると緊張からか普通に起きれたのだ。




 支度を整え、ギルド1階のロビーに向かう。




 ロビーにはミケル、マリベル、リーア、御者のおじさんが待機していた。

 外を見ると馬車が止まっている。


「みなさんおはようございます。道中、よろしくお願いします」


 御者も含め、挨拶を交わす。


 待つこと15分、顔色の悪いレオンがふらふらとやってくる。

 どうやらあのあと2軒目に行ったようだった。



「おはよーっす……」


 ううぅ、とうめきながら椅子に座る。


「レオンさん、大丈夫ですか? 馬車、揺れますよ?」


 心配になって声をかける。


「ヒバリは優しいなぁ……大丈夫じゃないって言ったら延期してくれる?」


(なに言ってんだこのチャラ男)


「人命がかかってるんです。そうは言ってられないと思いますよ」


 そうだよなぁ〜、と諦めたように顔を伏せる。




「では、全員集まったようなので馬車に乗ってください。皆、くれぐれも生きて帰ってくるように」


 ミケルが檄を飛ばすと全員馬車に乗り始める。




 隣村までは馬車で1日、そこからさらに馬車で2〜3日かけてコボルトの洞窟を目指す。

 火山同様、馬車は洞窟付近で待機してくれるそうだ。

 3日帰って来なければ作戦失敗と見なし、馬車は帰るという。




 村までは全くと言っていいほど何もなく進んで行く。

 しいて言えばレオンがうーうーうるさいくらいである。

 振動がある度にうーうー言い出す。


 リーアがうっせーなーとぶつぶつ言うのを見てるだけだった。




 街を出て数時間も経つと二日酔いも治ったのか、すまんすまん! とレオンは笑っていた。






 村に到着し、現状に変化がないか確認する。村の代表、村長の自宅へ向かい話を聞く。


 話を聞くと、なんと昨日もコボルトが現れたようだ。

 一人大怪我をしたが、村人だけで追い返せたという。

 そのコボルトはやはり南に向かったとのことだ。


 なお、村長への聞き取りはレオンがメインで行った。

 村の中でレオンは英雄様、と崇められていた。


(中身知ったら幻滅するぞソイツ)


 ヒバリにとっては嫌な記憶しかないのだ。




 村から南に向かう。


 道中、魔物を警戒していたが1日目は1体も現れなかった。

 このエリアは岩石地帯だった。馬車がガタガタと言いながら進む。

 大きな岩を発見し、その影に馬車を止め一泊する。

 初日の夜番は元気なリーアが受けてくれた。




 2日目、夜番のせいかリーアは馬車の中でぐっすり眠っている。


 魔物が出た。


 メタルゴーレムという鉱石で出来たような白いモンスターだ。


「戦闘準備!」


 ヒバリが声をあげる。




 マリベルは詠唱を開始する。

 レオンは引くべきだと声を上げる。


「メタルゴーレムだ!! 剣では切れない! 魔法も氷は効かないぞ!」


 確かにそれは相性が悪そうだ。




 だが、実はそうではない。

 メタルゴーレムは見た目こそ白いが闇属性である。白いのは表面だけだ。

 光属性が主である剣聖からすると結構楽に倒せる相手なのだ。

 そうは言ってもメタルゴーレムはレベル5相当。

 これから倒すべきコボルトキングと同等のレベルである。

 防御力も高く、いくら光属性でも物理攻撃であれば一撃は無理だろう。


 教皇クラスのホーリー系魔法でもあれば一撃だろうが……




(まぁ、レオンが引くべきと考えているのは理に叶っているということだ。だがコイツは倒そう。コボルトキングの前に経験値としておく!)




 ヒバリは指示を出す。


「マリベルさん! 今唱えてる魔法はメタルゴーレムの足止めにして下さい!!」


 その声にふたりとも逃げるのだ、と安堵する。

 

 そしてマリベルが魔法を発動する。


「アイスウェイブ!」


 マリベルの地面から、細い氷が勢いよく這っていく。

 メタルゴーレムは動きが鈍いため、速い氷の動きを避けられない。


 魔法が当たる、と確信した瞬間ヒバリは体を前傾姿勢に、一閃の構えを取る。




 レオンとマリベルはそれを目撃した。




「一閃!!」




 マリベルの魔法が当たり、メタルゴーレムの足が広範囲で凍った瞬間。


 ヒバリの一閃も直撃する。だがそれで倒せるとは思っていない。


 一閃の停止から、脚に全力で力を込め、振り返りながらメタルゴーレムに肉薄する。


「バッシュ!」


 メタルゴーレムは魔法に続き、バッシュによるスタン効果でさらに動きを止められる。


 2メートルほど弾き飛ばされうつ伏せに倒れそうになる。


「まだまだぁ!!」


 ユニローズブレイドが剣撃により熱を持ち、赤みを増してくる。


 最後にバッシュの発動から空中で横向きに回転。




「スラッシュ!」




 横向きになっていたため、剣筋は真っ直ぐ縦に。


 メタルゴーレムを両断する。


 そのままバッと仲間の近くに戻り、再度一閃の構えを取る。

 無機物系の魔物がそれで死ぬのかわからない。


 念には念を入れて警戒を怠らない。




 ズン……ズズズンッ……






 どうやら倒せたようだ。


「ぷはぁっ……! なんとかなりましたね」


 後ろを振り返り、レオンとマリベルに声をかける。


 二人は口を開けて驚愕の表情を浮かべていた。




「ちょ、ちょっと待て! なんだ今の!? ヒバリ! おま、強すぎるだろ!!」


「た、確かに今のは……私もどうかと思います……メタルゴーレムをひとりで倒すなんて……」




 二人は代わる代わる話しかけてくる。


「え? でも……レオンさんはともかくマリベルさんの氷魔法も凄かったですよ? 格上相手に狙い通りヒットさせたし、しっかり動きを止めてました」




俺はともかく……だと!? と膝からガクッと崩れ落ちるレオン。


 褒められたのが嬉しかったのか顔を赤らめるマリベル。




「あの、ヒバリさん……さっきはすごくかっこよかったです……」


 茹でだこのように真っ赤になりながらそんな感想を述べるマリベルを見て


(うおお! ツンツンロリっ子が遂にデレた!! おっしゃ! 任務達成!!)




 心の中で任務達成していた。






 そして遠くでは御者が目をひん剥いて倒れようとしていた。




次はまたちょっと閑話を入れてみたいと思いますっ!


苦手な方、嫌いな方は飛ばして下さい!


そんなに重要ではないです!

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