第二章 第十三話 作戦会議
今週忙しくなりそうです……
早くGWにならないかなー!
広めの部屋で席に付いて自己紹介をしていると、ほぼ全員が立ち上がる。
「「「剣聖だと!?」」」
何をそんなに驚いているんだと、所詮同じレベルだろうと思っている。
まずはレオンから。
「こんな根暗そうなやつが剣聖だと!? 今まで見たこともないやつがいきなり剣聖です、なんて信じられる訳がない! だいたいEランクだろうコイツは!」
(あ、そういう意味での驚きね。確かに同意する)
自分のことをひと事のように同意するヒバリ。
リーアが話し出す。
「剣聖ならやっぱ金貨30枚くらいもらえばよかった」
(おい!! 今言うことではないぞそれ! しかも金額適当か!)
そしてギルド長レティシアが声を上げる。
「剣聖? ゴブリンキングを単騎で倒す人がそんなに弱いはずがないでしょう。何を謙遜しているのですか?」
(謙遜してません。ホントに剣聖なんです)
座っていた子爵がガタッと立ち上がる。
「ゴブリンキングを単騎で倒した!? 本当かね、それは!?」
レティシアが、あっと言う顔をして口を手で押さえ、ウィンクしてくる。
(いや、もうホント今更いいんですけど)
「まぁ、本当です。剣聖というのも本当です。嘘はついていませんので信じて下さい。それよりコボルトキングについての情報が欲しいです」
話を進めるように促す。
「そ、そうだな。まぁゴブリンキングを倒せる冒険者がいれば随分と楽になるはずだね。ミケルくん、詳細を頼むよ」
「はい、子爵様。では、今回のコボルトキング討伐に関する情報を読み上げます。討伐メンバーはしっかり聞いて理解し、必ず生きて戻ってきてください」
そして詳細が話される。
コボルトキングは西南にあるサンタン村から更に南に一週間ほどのところにいるという。
さらに対象は、火山で見つけた洞穴同様、新しく出来ていた洞窟、その中だという話だ。
洞窟内部の構造はわからない。
すでにサンタン村がコボルト数体に襲われたこともあり、早急に対応すべきだと判断した。
作戦開始は準備が整い次第、すぐにでも。
現地までの馬車や食事等はギルド側がすでに用意をしているとのこと。
報酬は参加で一人当たり金貨15枚。作戦成功でさらに75枚支給するという。
別途、回収した戦利品や素材も買取してくれる。
報酬を聞いて俄然、やる気が出てきた。
リーアは報酬を聞いて目が金貨になっている。
レオンは剣聖の件、まだ納得していないのか不機嫌そうだ。
マリベルはスンッとすまし顔をしている。
そしてヒバリは楽しみが増えたと言わんばかりにニヤリとしている。
相談の結果、作戦開始は明日の朝となった。
会議が終わり各々が部屋を出て行くとき、三者三様の姿であった。
時間はすでに夕方である。
「おい、ヒバリさんよ。少し話でもしねーか?」
予想外なことにレオンから話しかけてきた。
「あ、わかりました。一階のテーブルでいいですかね」
と言い先行して先に降りていく。
すると突如、後ろから殺気を感じる。
足に力を込めて飛び上がる。
ちょうど階段中央辺りから壁に向かって飛び、壁に足をつき、地面に着地する。
階段と壁はヒバリの脚力に耐えきれず破損している。
「ははっ……なんだよ……。ホントに強いんじゃねーか。なんだよ今の反応……」
気配察知スキルが上がった気がする。
(今のは威圧スキルか? 殺されるかと思って全力で逃げちゃったよ。てか、階段と壁壊しちゃった……弁償しないと、怒られるのやだな……)
周りの人たちもなんだなんだ、とヒバリたちに注目している。
「みんな! すまん! 今のは俺のせいなんだ! 特に気にしなくて大丈夫だからそんな心配して見なくていいぞ!」
レオンが笑みを浮かべて声を張り上げる。
「あれ、レオンさんだ!」
「きゃっ、レオン様! かっこいい!」
「レオンさんか、なら大丈夫か。」
(えー! 何この信頼度! 喧嘩っ早いチャラ男かと思ってたのにこれじゃプリンス現る! って感じじゃん)
レオンが急いで近寄ってきて肩を抱き、小声で話しかけてくる。
「悪かった! あとで飯奢るから勘弁してな! 見たこともない根暗そうなやつが剣聖とか言うからちょっと試しただけなんだ」
そう言い片手を立てて謝ってくる。
気持ちはわからなくもない。この世界の剣聖は非常に強力である。
レベル4どころかレベル2すら少ない世界だ。レベル4以上にもなれば、基本的に無名のものはいなくなる。
長い鍛錬、魔物との命のやり取りを経てレベル4になったのだ。
それを無名のナヨナヨした弱気そうなおっさんが同格だと言うのだ。
嘘ついてんじゃねー! となるのもうなづける。
「あんまり気にはしてないですが、そういうことなら私が壊してしまった階段と壁を弁償してもらえますか?」
そりゃもちろんだと言い肩を抱かれたまま食事に出かけることになる。
そして連れて行かれたのは完全に飲み屋。中に入ると非常に酒臭い。
夜10時過ぎに入る個人店の飲み屋みたいな匂いがする。
「大エール2つ頼む! あとつまみもな!」
と席につくなり注文をするレオン。注文を取りに来た女の人は目をハートにして、「はい♡すぐにでも♡」と足早にカウンターに向かって行った。
(イケメンで強いとかこの世界で完全にイージーモードだな)
レオンへの警戒レベルを1つ上げる。
その後、レオンはエールを何杯もおかわりし、明日作戦あるからこれくらいにと説得し帰路に着くのであった。
今日はまた後ほど更新します!
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