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第二章 第十一話 新しい剣

更新遅くてすみません……。

なるべく頑張ります!




「ヒバリさん。ゴブリンキングはあなたが倒したのですか?」


 ギルド長であるレティシアからそう尋ねられる。


「はい……そうです。私が倒しました」


 そう告げるとレティシアは納得したように目を瞑り、お願いがあると話し出す。




「やはりそうでしたか……今更です。詳しくは聞きないようにします。その代わりに、コボルトキングの討伐をお願い出来ませんか?」


 何かと思ったら、討伐依頼だった。


「コボルトキングは通常、Cランク冒険者以上に依頼をかけます。共同依頼として50人ほどで倒せると言われていますが、今この街にCランク冒険者は3人しかいません」


 現状だと結構絶望的じゃないか。


「そこでゴブリンキングを単騎で倒したというヒバリさんに討伐をお願いしたいのです」


 受けて……くれますか?とテーブルに手を付き前傾姿勢になる。


 そして男なら確実に見るだろう。


 ぷるんっと震える肌色のスライムが目の前に二つ見える。




(そのウルウルした表情もやめてくれ……ドキッとするわ! 全く耐性ないんだよ俺は……)


 顔をバッと横に向け、「受けます!」と言うと、なぜだか隣に座っていたマリベルに横腹をひじで小突かれる。




 マリベルは少なくとも、ヒバリに好意を抱いている。


 事、戦闘に置いては冷静でいて、強く、頼り甲斐があり、常に自分を守ってくれるように動いてくれていたヒバリに対して、マリベルが初めて抱く感情である。

 逃げ帰るときも最初は、急に抱きついてきて!と思いもしたが、話しを聞くと私を守ってくれたんだ……と思うようになったのだ。

 まだまだ淡い気持ちではあるが、レティシアの行動を見て照れているヒバリに対し、怒りが沸いたのだ。


(いてっ、ってそんなに痛くはないけど、あれか、胸を見たのがバレたから小突かれたのか。でもすぐ視線外したじゃん! どうしようもないよあんなの!)


 心の中で"ツンツンロリっ子"に改変した。




 コボルトキングの依頼については、レティシアから話を聞いた瞬間から、頼まれれば受けようと思っていた。

 明日にでも行けますよ、と伝えると他のCランクメンバーと一緒に行ってもらうから顔合わせが終わったらね、と言われた。

 部屋から出て、マリベルにお疲れ様でした、と声をかけてから依頼の報酬を受け取りに行った。


 報酬カウンターでは、特別手当てが支給されています、と言われ渡された袋の中を見ると金貨が8枚と銀貨が20枚入っていた。


(金貨5枚も上乗せか! 武器でも見に行ってみるかな)


 金貨1枚を銀貨にしてもらい、少し重たくなった袋を持ちまずは食事に出かける。




 そして現在はお昼過ぎ。


 この時間ならグレンさんのカフェ開いてるかな、と歩き出す。


 お店を見つけて店内を覗くと満席とはいかないまでも空きは少なく、繁盛しているようである。

 こんにちわ、と声をかけ軽く食べれるものをと注文し前回と似たようなサンドイッチが出てくる。


 少し甘くて、しょっぱい。

 果実も入っているのか甘酸っぱさも感じる非常にサッパリとした美味しい食事だった。




 会計をし、武器屋の場所を聞くと反対側の通りだと言われ指差された方向に向かっていく。


(結構大きい街なんだな)

 

 色々な果実を売る果物屋や、肉をぶら下げている精肉店、お高そうな装飾品を売っているお店など歩いていると商店街のようで目新しいものが見れてテンションが上がってくる。




 目的地に到着すると、そこは鍛冶屋と併設した武器屋であった。


 トンカントンカン金属を叩く音が聞こえる店内に入り、商品を見ていく。


(このゴブリンソードも悪くはないんだが、切れ味が落ちて来てるんだよな)


 物色していると"素材の持ち込み歓迎"とか 書かれたプレートが目に入る。


(ん?素材の持ち込みが出来るのか。火山で素材をしっかり回収しとくべきだったかな、ってあの時はそれどころじゃなかったから無理か)


 今後は倒した魔物の素材も採取しようと心に留めておく。




「兄ちゃん、なんか探してるのかい?」


 ウロウロとしていると声がかかる。


 日本にいたときも服屋で声をかけられるのが苦手だったヒバリはすぐさま「大丈夫です!」と答える。


「ん?そう?じゃあその持ってる剣でも研いどこうか?」


 すぐには引かない店員さんだ。


 声の方に振り返り、顔を見るとなんとそれは女性であった。


 薄汚れたタンクトップをきた、筋肉質だが出るところは出ている女性だ。

 鍛治職人なのか黒くすすの付いた顔、汗ばんだ肌。歳は同じくらいで身長は165cmくらいだ。

 そして最大の特徴は獣人であることである。耳が生えていて尻尾もある。

 だが肌は人間そのものであり、これがハーフなのかなと思った。

 顔は言葉使いとは裏腹に垂れ目ですごく優しそうなイメージである。


「あ、いえ、それも大丈夫です。あ、でも剣は新しいの欲しいなと思ってて……」


 顔をみて怖くないかも、と思ったヒバリは勇気を出して剣を探していることを話す。


「そっか!予算はどのくらい?

あたしが打った剣なら安く出来るよ!」


 顔の通りやっぱり優しい人なのかも知れない。




 武器屋のオヤジあるあるに当てはまらなくて本当によかったと思う。

 強面で無愛想とか心が耐えられない。


「予算は……金貨10枚程度ですかね」


「結構あるじゃんか! 待ってて! 近いのすぐ持ってくるから!」


 そう言って裏に走り出す獣人。


 尻尾がふりっふりしてたのを見て、お客さんがきて喜んでいるんだろうと思った。


 


 少し待つと3本の剣を持ってくる。


 1本目は大剣だ。

 素材は鉄で非常に重い。切ることよりも叩くことに重きを置いている。

 試しに持って振ってみるが、剣聖のスタイルではないため却下する。


 2本目はレイピアだ。

 全身が白に染まっており、重さは普通程度だ。

 ミスリルコーティングがしてあり、耐久性はあるが、素材自体はそこまで高いものではないため機能性に乏しい。


 3本目は85cmのロングソード。

 刃が赤みを帯びている片刃の剣である。

軽く振ってみると柄の部分も改良してあるのかすごく握りやすい。赤い布でグリップをしっかり作ってある。


もうこれしかないな! と思ったとき「それ、失敗作なんだよね!」と言われる。


 刃は鋭く研いであり、見るだけで業物だとわかるが、何が失敗なのか尋ねる。


「叩いてるときミスっちゃってさ!片刃になっちゃったんだよ!ホントは両刃にするつもりだったんだ。素材も高かったからそのまま仕上げちゃったけどな。」


 耐久性が下がるのか聞くとしっかり作り込んだからそれはないとのことだ。

 それくらいならと値段を聞いてみる。




「金貨20枚。」




 予算オーバーである。


「金貨10枚程度の武器しか買えないのですが……」


 予算より高いものを勧める店員あるあるに引っかかってしまった……! と後悔した。




「でもまぁあれだ! 失敗作だから半額でいいよ! 最悪赤字にならなければいいし!」


 帰ろうとすると一気に半額である。


 とんだ商売だ。


「ではこれで。専用の鞘とかありますか?」


「専用ではないけど、すぐにこれに合う鞘は用意出来るよ!待ってて!」


 そう言って奥に走っていく。




 まだ鞘まで買うと言ってない。値段も聞いていないのに……あとで値段を聞くのが怖いなと思った。




 少し待っていると調整してきたよ! と言って鞘に収めた赤鉄鋼の剣を渡してくる。


「じゃあ金貨10枚な!」と言われて会計を済ます。


 鞘はタダでいいのかと確認すると、あっ、そうだ! と言いながら、じゃあその剣と交換でいいよ! ということでゴブリンソードと交換する。




 切れ味も悪くなってきたところだし引き取ってもらえてちょうどよかったかも知れないな、と思いながらギルドに戻るのであった。




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