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第二章 第八話 夕方デート?




 ヒバリが鑑定スキル獲得のため、テーブルやイスを舐め回すように見ていると人が来る気配を後ろから感じる。


 はっ、となり急いでイスに座り直す。


「すみませーん、遅くなりましたぁ!」


 ノエリアだった。


「いえいえぜんぜん! 大丈夫デス!」


 これからお出かけ、と考えると緊張してしまって話し方がおかしくなる。




 準備いいですかと聞かれ、いいですと答えると、それじゃあ行きましょーっ! とノエリアを先頭に街の中を歩き出していく。


「まずどこ行きましょうか? 近くから見ていくとすると武器屋、防具屋は近いですよー」


 そう言いながら色々と教えてくれて、最初は防具屋から見てみることにする。


 内心は村人の服が恥ずかしいからだ。村人の服とはいわゆる貫頭衣なのである。現代人としてはナンセンスだ。


(正直、今更だから白状するが……あれは初めてみたときは文明レベルを疑った。早くカッコいい装備をしたい!)



 

 インカネートオンラインでは見た目にも結構こだわっていた。

 付加効果が最優先ではあったが、その上でこだわりがあったのだ。


 防具屋はグレンさんのカフェから歩いて1、2分のところであった。


「ここです、着きました。まずは防具ですね。ヒバリさんはどんな装備がいいですか?」


 尋ねられ、見た目とは言い出せないので、


「そうですね、軽くて丈夫な動きやすいものがいいですかね」


 とりあえず剣を扱うにあたって必要な機能優先で答える。




 中に入り、店内を物色する。


 皮の服や鎖帷子、フルプレート、盾など多種多様に売っていた。


(剣聖派生は盾を使わないのが主流だから置いといて、防具は軽さ優先がいいな、どれがいいだろう)


 見て回っているとやたら目に付く防具を見つける。

 それは真っ赤に燃えるような色をした皮の鎧だった。


(これかっこいいな! 何の素材なんだろ?)


 その前に値札を確認する。

 なんとそれは金貨5枚という、今の予算ピッタリのものであった。

 他に装備が買えなくなるかも知れないけど、上下セットでこの値段ならいい気がする。


「あ、それサラマンダーの素材で出来た鎧ですね! 防火性があってお手頃価格なので人気があります!」


 ノエリアから補足が入る。


(おおっ、これ人気なのか! ならこれにしようかなー)


「でもこっちの深緑の鎧の方がヒバリさんに似合いそう。みてみてっ、ほらっ! 絶対カッコいいです!」


「それにします!」




 即決した。


 値段はサラマンダーの鎧より少し安く、金貨3枚だった。

 また、店員に詳細を聞くとノエリアが選んだのはメルトプラントという魔物の鎧だった。


 メルトプラントは森の奥に生息しており、巨大な葉を地面に敷いていて、その上を通った動物を葉で包み込み、溶かして食事をしているという。

 罠さえ気付くことが出来れば、討伐は容易とのこと。

 

 試着してみると非常に軽く、丈夫、それでいて体にフィットするため動きやすい。


(要望通りの装備をオススメしてくるところ、やっぱりノエリアさん出来る人だな)


 お直しに銀貨1枚必要ということだったので金貨3枚と銀貨1枚を支払い、他の装備も一応見ておく。




 茶色がかった赤い腰巻に目が行き、それを手に取ってみていると、ノエリアからそれもカッコいいですね。と声がかかるのでそれも同時に購入した。


 お直しの終わった装備を受け取り、そのままそこで着替えさせてもらう。




 見た目もかなり気に入った。




 少し薄暗くなっているが、次のお店へ向かう。


 次のお店はそこから10分ほど歩いたところにある雑貨屋だ。装飾品なども売っている。

 ここでは回復薬や麻袋を購入予定である。


 到着すると日本でいうところのスーパーと同サイズのお店で、生活に必要な雑貨類から身に付ける装飾品も売っていた。


 ホームセンターみたいだなと感想が出る。


 店内を周り、目的の回復薬2つと麻袋を見繕い、購入する。


 全部で銀貨4枚と銅貨10枚だった。


 少し相場感もわかってきて、夕食に行くことにする。




 夕食はグレンのカフェではなく、お酒も飲める定食屋のようなところだ。

 ちょうど夕食頃だったからだろう、中はかなり賑わっていた。

 空いている席を探し、奥の方の2人用テーブルに座る。

 2人ともオススメ定食を注文し、何かお酒も一杯ずつください。と店員に伝える。


 料理を待っている間、冒険者ギルドで聞けなかったEランクの内容を聞いてみる。


「ノエリアさん、今日はすごく助かりました。本当にありがとうございます。それと一つ、依頼についてお聞きしたいことがあるのですが、聞いてもいいですか?」


「いえいえ、私も楽しかったですよ。

私でわかることであればお答えします」


 今日の買い物のお礼を伝え、Eランク依頼でコボルトか火山のどちらが良さそうか聞いたのだ。

 特に問題がなければ、早速明日にでも、どちらかを受注するつもりだった。


「そうですね、この街から近いのはコボルトの村になります。隣村になるので、1日あれば到着します。火山の依頼ですが、実はこちら、ギルドからの依頼になります。護衛対象はギルド職員一人です」


 火山の依頼は前々からあったが、遠い、暑い、敵が強い、といった理由で他の冒険者は敬遠していたそうだ。

 ただ、やはり森と同じように魔物が活発化しているため調査が必要ということだ。

 ギルド職員が付いてくるのは冒険者の目とギルド職員の目でなるべく多くを確認してもらいたいからということらしい。

 ちなみに距離は片道1週間である。


「なるほど、討伐が確定しているより、護衛の方の報酬が高いのはそういうことだったんですね」




 話していると料理がテーブルに届く。オススメは肉野菜炒め定食のようだ。

 では食べましょうと言い、一口食べる。

 料理には詳しくないが、これもまた非常に美味しい。

 食べたことのない香辛料の味だが、野菜もシャキシャキしていてお肉も柔らかい。

 少し濃い味なのがご飯と食べると食欲が掻き立てられる。

 

 バクバクと夢中で食べているとノエリアがこちらを見ているのに気付く。


 ニコニコとしてヒバリの顔を見ている。少し恥ずかしくなったので顔を伏せて食事を続ける。

 もちろん食事代はヒバリが出した。遠慮されたが、いい買い物が出来たのでと言い少し強引に支払いをした。


 そのままノエリアは家が近いということで、ここで解散することになった。


「また明日、お待ちしていますねっ。」


 ふふっと微笑み帰っていく。




 ギルドの宿泊施設に戻り、明日の予定を考える。


(コボルト討伐か火山への護衛か……ギルド的には護衛を受けて欲しいんだろうな)


 火山に出てくる魔物は基本的に火属性である。また、強さはレベル2相当が多い。

 奥地の火口付近までいくとレベル4相当のファイアドレイクが現れるようになる。


(村には悪いが今回は調査を優先しよう。魔物の活性化も気になるし、何より魔王が出てくるなら手がかりも欲しい)


 火山に行くならやはりサラマンダーの装備の方が良かったかなとも思ったが、ノエリアの顔を思い浮かべるとそんな思いも消えた。




 明日の予定も決まり、体を休めようと早々に眠りにつくヒバリであった。





また明日更新しまっす!

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