第二章 第七話 依頼ボード
ノエリアとの食事が終わり、一度ギルドに帰ってくる。
依頼ボードの確認だ。受ける受けないは別として、どんな依頼でどれだけの報酬なのかは確認しなくてはならない。
今後の生活がかかっている。
そして実はノエリアとの食事で一つ約束を交わした。
「今日、夕方前には仕事が終わります。ヒバリさん買い物行きますよね? 街を案内しますよ!」
ということで夕方は一緒に買い物に行くのだ。
正直、裏門から冒険者ギルドまでしか把握していなかったため非常に助かる話であった。
マップ機能もあるが、オススメのお店だとか小さいお店などは表示されないのだ。
依頼ボードを確認してみると、色々な依頼があった。
Gランクだと街中でのおつかいや仕事のお手伝いの依頼。
Fランクでは違う街まで手紙を届ける依頼や動物の狩猟などがある。
これなら戦闘職に就いていなくても達成出来そうである。
Eランクから難易度が変わり、魔物の討伐依頼や魔物が現れるエリアでの採取依頼が多くなる。護衛任務もその一つだ。
Dランクは魔物のとの集団戦か。上位モンスターも現れるだろうと予想していそうである。
オークやリザードマン、ゴーレムの討伐依頼などになりそうだ。
そしてCランクの依頼は2つしかない。ゴブリンの巣の調査と未開地域の調査だ。
かつて調査に出かけたCランク冒険者アルヴィンが行方不明のままになっているということもあり、この依頼はかなり古くなっている。
Bランク以降は依頼ボードには載っていない。こうみると実質Cランクが最上位に見える。
自分に合っていそうなのはどれかなーと考えるが、そもそもEランクなので、Eランクを受けるしかないだろう。
ガイドブックには、Eランク以降の昇格には、依頼達成の数や一定の評価が必要になり、さらには昇格試験を受ける必要があると記載されていた。
ヒバリはEランクなりたての新人のため、何度もEランク依頼を受ける必要がある。
副ギルド長からは討伐依頼を中心に、と言われている。
特に文句もないためそれに従おうと思う。
(Eランクの討伐依頼で街からなるべく近いところがいいな。んーと、どれがいいかな……報酬的には村周辺のコボルト討伐かライベルト火山への護衛どちらかが良さそうだな)
報酬はコボルトが金貨2枚。
火山への護衛が金貨3枚と銀貨20枚。
地理がわからないため、受付に聞くことにする。
もう完全に顔見知り感のあるノエリアのところに行こうとすると、その前には長い列が出来ていた。
時間的には夕方前くらいだ。依頼を終えた冒険者が報告に戻ってきているのだろう。
それにしても、ノエリアの列が圧倒的に長い。
(確かに真面目だし、仕事は出来るし、愛想もよく、気が利いて、か、可愛いもんな)
仕方ないなと思い、隣の小さめの女の子の列に並ぶ。
ものの数分ですぐ自分の番になった。
「次の方、どうぞ」
やや冷たい印象もあるが、書類を見ながらテキパキと仕事をこなしている。
「あ、すみません、Eランク依頼の詳細を聞きたかっただけなのですが……」
スッと視線をこちらに送る受付嬢。
「お客様は昨日登録したばかりでは? まずGランクの依頼をお調べ下さい。次の方〜」
次を呼ばれてしまったため、列が出て行く。
(えー……めっちゃ冷たい。この感じだとEランクになることは伝わっていなそうだな。まぁ正式にEランクになってから受ければいいか。とりあえずのお金はあるし)
そう思い直し、先ほど座っていたテーブルへと戻る。ノエリアの列はまだ終わらなそうだ。
時間があるため、自分の力をおさらいしておこうと思う。
(まず一番気になるのはエクストラスキルだよな。
結局のところどういった効果なのか、半分も理解出来ていない気がする)
こんなとき鑑定スキルとかあれば確認出来るのに、と若干腹を立てる。
鑑定スキルはインカネート内でも存在した。
それを持つものは、ほぼ全ての事を調べることが出来、詳細がわかるようになる。
が、ネットには攻略サイトが乱立しており、ほとんど意味をなさないスキルであった。
しいて言えば攻略サイトを開く手間がなくなるだけである。
そしてヒバリはもちろんソロが多かったため、そんな鑑定スキルも取得していた。
(ん?鑑定スキル……ギルドでも鑑定するっていうくらいだしやっぱり存在はするはずだよな? エクストラスキルの効果って不確定だけど、確かレベルアップ前の経験がスキルになってたはずだ……)
!!!!!!
レベルアップまでに色々調べたら鑑定スキルが手に入るのではないか、と閃いたようだ。
(これはあれだ! このあとのショッピングでめっちゃ鑑定しよう! 一つ一つ手に取って触って、嗅いで、聞いて、食べる!……食べるのはものによるが、次のレベルアップまで時間はあるしやってみよう!)
とりあえずは今持っているもの全て、目に付くもの全てを鑑定だ!
鑑定として意識すればそれももしや、と思いアイテムを見て行く。
色々と見ていくが、ボキャブラリーが少なくて大した鑑定は出来ない。
ゴブリンソードが誰か他の冒険者の名前入りとかではなく、良かったと思っている。
他にはテーブルとイスの材質は木、床と壁も木、階段も天井も木など全く鑑定と言えるほどではない。
だが、よくよく思い返すと出会った人たちのことはよく見ていたな、と思う。
目で見て外見を確認し、話す態度などで内面を予想し、服装などもよく見て考察していた。
(物だけじゃなく人も鑑定出来るようにしてください!)
対魔王を考えると他人のステータスを見れないのは致命的なのだ。
新たに鑑定スキルが付くのを祈り出すヒバリであった。




