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第二章 第二話 冒険者登録




 外観は確かによく見てみると大きい建物で、いかにも役場なイメージだ。


 そして入り口の上には『冒険者ギルド』と大きく書いてあった。

 今更ながら言葉も文字も日本語なんだなと感じる。


 成績優秀だったヒバリは英語のテストでも高得点を取れていた。

 だが実際に話せるかとなるとNOだ。

 それはほぼ性格上の問題で、慣れない言葉で話すのが恥ずかしいとか、文字としての文章と会話としての英語が違うため「何言ってんだコイツ」と思われるのが嫌だったのだ。


 


 いざ目的地を前にすると、全く予期しておらず、登録するのに人と話さないといけないため、急に緊張がピークに達する。


(うわああどうしよう。心の準備してなかったぁ……絶対あれこれ聞かれるよな……あ! お金持ってない! 登録出来ない!)


 ここで初めて無一文だと思い出す。


(インカネートだと確かいくらかかかったよな……というかまだ、この世界の通貨を知らない)



 どうするか、と頭を悩ませるが、ここは心を無にして行くべきと判断する。




 冒険者ギルドに入ると思ってたよりも中はずっと清潔感に溢れ、受付は3箇所あり、どこも可愛いの女の子が立っている。

 

 周りには4人掛けの小さめのテーブルと椅子が6セットほど、依頼を受けるための大きな掲示板、2階への階段がある。


 まずは受付に行くべきなのだが、足が止まっている。


 周りから見れば村人の格好をしたいい歳した男がキョロキョロしているのだ、田舎者としか見られないが、実はそうではない。

 

 ヒバリはどの受付に行ったらいいか悩んでいるのだ。

 3人とも美人で可愛い。

 その中から選ぶとその女の子目当てなのかと思われてしまうのではないか。

 また、選ばなかった2人にはなぜか申し訳ない気持ちになってしまう。


 戦闘では即時最適な対応を取るヒバリだが、戦闘以外だとこんなにも脆弱極まりない。


 ちなみに受付の女の子たちは左から身長小さめ、普通、長身の順にキレイに並んでいる。全員20歳くらいなのかな、と思う。


 そうこうしていると真ん中の女の子から声がかかる。




「お客様、こちらが空いておりますのでどうぞ」


 何事もなかったかのようにスーッとそこへ向かうヒバリ。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」


 受付の対応は至って冷静である。さすがプロ。


「あ、あの冒険者の登録をお願いしたいのですが……あ、あとこの背負ってる武器とかを売りたいんですけど、これって売れますか?」


 大剣は布に包んで背負っている。


「かしこまりました。ではまず、冒険者登録を行いますのでこちらの用紙に必要事項をお書き下さい」




 すでにバインダーに挟まれた紙とペンが準備されていた。


(速い! この女の子……出来るッ!!)


 いらない感想を覚え、すぐに登録用紙に目を向ける。


(記入項目は、まず名前、と。これはステータス表記にもあるけど、確か苗字と名前を書くと貴族とかそんなのあったよな。とりあえず、ヒバリ……と。あとは年齢、33と。ふむふむ、あとは特技と来たか。)


 他に出来ること、得意なことと書いてあるが、正直、称号にあるゴブリンを倒すことしか思い浮かばない。


 まぁあとは剣術とか書いておけばいいか、と用紙には、

"ゴブリンを倒すこと"

"剣術"

 と書いておいた。


 全部書いて調子に乗んな!と言われたりしたくないのである。


 だが名前や年齢は嘘偽りなく記入した。なので罪悪感はない。

 むしろお互いにとって最良だと思っている。




 ちなみに冒険者登録をしたいと申し出たとき、周りの先輩冒険者たちは「ププッ!」と笑い出し、あんな年齢から冒険者登録ってどんな田舎者だとコソコソと陰口を叩かれた。


 完全に聞こえていたが。


 そして受付の女の子が確認のために、


「お名前は、ヒバリ様ですね。年齢は33歳で、出来ることはゴブリン退治と剣術、ですね?」


 と確認を取る。


 すると周りのコソコソ、プークスクスがひどくなり、

「田舎剣術だってー、ぶふっ!」

「ゴブリン退治が出来ます! プークスクス」

など、非常に馬鹿にした言葉が聞こえてくる。




 まぁ実力世界なんだし仕方ないなと、直接絡んでこないならあまり気にならないから言わせておこうと思う。


 「カードを作成して来ますので、あちらのテーブルに掛けてお待ちください」


と言われてイスに座る。




(あれ、お金かかんないの? あとで請求されて借金、奴隷落ちとか嫌だぞ)


 いきなり最悪の事態を考えている。




 お願いしてきたものの心配になってそわそわしていると、一人の冒険者? から声がかかる。


 筋骨隆々、抜き身の大剣を背にした黒髪短髪で色黒の男だった。


「あんた、そんな歳で冒険者登録か?」


(き、きてしまった……あるあるネタ! モブキャラ冒険者に絡まれて返り討ちフラグかこれ!?)


 ビクッと震えたヒバリであったが、まだ用件がわからないため一応丁寧に言葉を返す。


「は、はい。田舎者でして、すみません。身分証にもなるということでしたので登録しに来ました」


「そうか。見た目でそうだろうとは思っていた。さっき周りがコソコソ言ってやがったがあんまり気にすんなよ! 多少戦闘もいけるんだろ? 歳も近そうだし何かあれば相談に乗るからよ!」


 と思っても見ない言葉をかけられた。


(優しい世界……)


 ジーンッと感動し、門番も優しかったなーと思い出したヒバリは自分に優しい人にはしっかりと報いようと思うのであった。




そして受付してくれた女の子がこちらに歩いてくる。


「あら、グレンさんじゃないですか。新人さんに声をかけてくださっていたんですね」


「ああ、まあな。さっきコソコソ話してたやつもいたからな。新人いびりしか出来ないうだつの上がらないやつらよ。あんたはそうならないようにな!」


 と言い席を離れて行った。


 きっと高ランク冒険者が色々目をかけてくれてるんだなーと思う。


「ヒバリ様、お待たせ致しました。カードの作成が終わりましたのでご確認下さい」


 と言われたカードを差し出される。


「こちらは冒険者証と呼ばれるものです。先ほどおっしゃっていたように身分証になりますので無くさないようにご注意お願いします。また、無くされた際は再発行手数料が発生しますので覚えておいてください」


 そう言われ、初期登録時のお金は? と思ったが請求されないので気にしないことにした。


「冒険者としての仕事や、ルールについてはあちらに冊子が置いていますので読んでおいてください。何かご質問などございましたらお気軽に受付までお越し下さい」


 ありがとうございます。と伝えると、頭を下げ受付に戻る女の子である。




(質問、いっぱいあるぞ。)




 とりあえず仕事やルールとかの前に買取をお願いしたいと伝えに受付に行くヒバリであった。




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