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心の奥の奥のそのまた奥の間隙

作者: TITAN

 彼女――いや、付き合っているという意味ではなく、代名詞の――がアプリのプロフィールの画像を変えた。たったそれだけで自分の心はざわついて、暗がりでよく見えない画像を隅々まで見た。

 それが逆に自分の首を締める行為だとしても、知的好奇心を満たすのを止められない。一緒に映っているのが男だったら――仲良く写ってる片方の手は確かに彼女のもので、もう一方の手はどう見ても男のものであったら――どんな場合にせよ、傷付くのは自分なのだ。彼女がただ楽しかった思い出をシェアするがために行った行為で、ただ自分を傷付けているだけなのだ。

 今でもたまに夢を見る。仲が良かった頃の、"もし"の世界だ。ただ一緒に学校へ向かってるだけだとか、下校中に店に寄って楽しく話をしているだけだとか。それだけなのに、起きたときにその光景が現実には起こらないと、辛い現実を突き付けられて、……それに未だに傷付いている。

 なぜ、彼女は自分を嫌ってしまったのか。どこで彼女を傷付けたのか。どう行動したらあの関係は保たれていたのか。暗い部屋にいると自然と彼女のことばかり考えて、……それで泣いている。

 そんな自分は惨めだと思う。

 昔の友だちにたまに会うが、社会でめざましい活躍をしている人や、大切な人を見付けて大事にしている人、やりたいことに一直線な人、自分の信念を持っていて、周りに流されない人。皆、きらきらしている。

 それなのに、どうして自分はこうなんだろう。やりたいことはあっても努力をせず、社会に貢献もしていない。誰かを愛することも誰かに愛されることもなくて、常に人に影響されっぱなしだ。酷く惨めで、やるせない。

 それじゃあ、ここまで考えていて行動しているのかといえば、そうではない。そうならいつまでも暗い感情に閉じ込められていることもない。

 辛い、――辛い。ああ、また彼女のことを考えている。そういえばこれが好きだったなとか、これ似合いそうだななんて、もう、話すこともないのに。助けて。いつまでも過去に囚われて、相手が意識しない変化に振り回されて。ああ、自分はこんなんばかりだ。

 じゃあ、どうすれば良かったんだ。

 あのときこう言えば良かったとか、あの瞬間はこっちのが良かったなとか、もう一生現れない問題の復習ばかりして、自分はいったいどうすればいいんだ。悩んで悩んで悩んで悩んで悩み抜いて、答えを出したときにはすでに問題は消滅している。解決ではない、消滅だ。どうして、……何か続く言葉があったように思えるが、もうそれを考える気力も出なかった。


 お願いだから、もう一度挨拶して欲しい。

 お願いだから、もう一度話がしたい。

 お願いだから、もう一度笑顔を向けて欲しい。


 厚かましいのは分かってる。無理なのも分かってる。自分の非をいつまで考えても答えは出ない。あれだろうかとも、これじゃないだろうかとも、ある程度は出ても、実を結ばない。

 あれだけ仲の良かった彼女に嫌われるくらいだ。過去の自分は相当なことをしたのだろう。けれどいつまでも答えに辿り着かない。


 いつまでも引き摺って、心配してくれる声もはね除けて、もう二度と恋はしないと誓っても、また自分は環境が変われば恋をするのだろう。そうしてまた人を傷付ける。


 消えちゃえばいいのに。

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