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受付は今日も大忙し(後)

ギルドの受付ってどんなかな?


「さあ!みんな、気合い入れてやるよっ!!」

引退冒険者のおじちゃんたちが扉を開くのも待ちきれないという様子で勢いよく開く扉とともに冒険者たちがなだれ込み掲示場へと駆け出して行った。

冒険者にとって実入りがいい依頼はやはり城門外の平野から先にある魔物の森に多いから三の鐘の開門に間に合うように売れていく。

もう一人の男性受付エデンの目が羨ましそうに見える。彼は本来はもうすぐ銅タグに上がれるくらいの冒険者だったが少々問題がありギルド規定に触れて資格停止なのだ。

働かざる者食うべからず、ということで冒険者ギルドで受付や雑用の手伝いをしている。



ビアンカたち受付担当は札を準備中から業務中に変えると鬼気迫る勢いの人々がカウンターに迫ってきた。

「ビアンカ、この依頼俺達が行く!」

「やかましい!これは俺たちが目をつけてたんだ!寄越しやがれ!」

(ま、この依頼はどちらが受けても大丈夫だから自分たちで解決してもらおう。)

「話し合って自分たちでどっちが受けるか決まったらカウンターに来てね。」

一応声はかけてみたがたぶん聞こえていないなぁ、と思いながら必要以上に騒ぎが大きくなったら止めることにする。

「あのぉ。俺たちが先にしてもらっても?」

別口らしい依頼を持った3人組の冒険者がおずおずと声をかける。

持っている紙から判断するに薬草採取の依頼なのですぐに受けても問題ないだろう。

「かまわないわよ。開門時間までに門に行かなくちゃだもんね。」



「はぁ?あんた達酒好きに酒場の用心棒がつとまるわきゃないだろ!」

酒場の用心棒依頼を申請しに来た男にジュリアが剣もほろろな態度で片手を振った。

目の前の男からは今も酒の臭いが漂っていて朝からこれでは夜が思いやられる。

「ジュリアぁ!酷なこと言うなよ。」

ジュリアにをはねつけられたらしい冒険者が情けない声を上げるけれど、前にもお酒で問題を起こしていた男だからジュリアはまったく受け入れる様子もない。

ギルドに来る依頼にふさわしからぬ者を紹介するのは信用問題にかかわる。特に多数で受ける討伐以来と異なり護衛などは質の高さが要求される。

紹介するからにはレベルを見極めるのも受付の大事な仕事なのだ。

「あんたはまだまだ腕があるんだからキチンと酒抜いてキリキリ外でお働き!腹がたるんできてるんじゃないの?さて!次!」

用は済んだ、とばかりに追い立てられてスゴスゴと引き下がると男は掲示板へまた走る。

そうこうしている間にいい依頼から飛ぶように捌けているのだ。


「では、こちらの用紙に記入して依頼受付ですね。頑張ってくださいね!」

「おぅ!嬢ちゃんも慣れてきたもんだな。」

和やかに依頼受付を完了してラウラのデスクから離れていく冒険者がいる。


「じゃぁこの依頼お受けしました。頑張ってくださいね。」

「ねぇ、クリスタ。この謝礼が入ったら俺と食事に行かない?」

「冒険者の方との個人的なお付き合いは職員規約に反しますのでご遠慮しますね。」

「そんなぁ。聞いたことないよ。」

「職員規約と冒険者規約は違いますもの。じゃ、お次の方に順番を譲ってくださいね。」

なんとかお近づきになろうとする冒険者を完全なる営業スマイルでクリスタが撃退している。


「だからよ!あんた達まだ革タグだろが!依頼書よく見たか?これは鉄タグ用だ。」

「俺らにはできるって!もう鉄タグまであと少しだから頼むよ。」

「ダメったらダメ。ランク試験突破したら出直しな。」

「・・・・・ケチくせぇ。事務員のくせに。」

「・・・んだとオラァ!!やんのか!表出るか!」

新人冒険者相手にムキになっているエデンの声がしたけどすぐに黙ったのでロッソあたりが仲裁(制裁?)に入ったのかもしれない。


三の鐘が鳴るころに冒険者ギルドの受付は冒険者たちもほとんど依頼に去って静けさに包まれる。

どの依頼をどのパーティーに割り振ったのか、きっちりと記録して夕方の支払い業務までにまとめておく作業に取り掛からないといけない。


「おはよ。今朝も忙しかった?」

ティナの声に振り向くと彼女が二頭の子竜を連れていた。お昼ご飯でも食べてきたのかもしれない。

錬金術師から納品された革タグや他のタグに魔術処理をするのだろう。

潜入業務時と違って魔法使いとひと目でわかる綺麗な深緑色の短めのローブを身につけている。

もうすぐ北の国境方面からの定期馬車が到着するから冒険者を目指してギルドのあるニベアに来る人々が増えるはずだ。

(やれやら。内勤は内勤で大変だわねぇ。)

そんなことを考えていると

「「ビアンカ~。」」

とんとんと足を叩かれて下を見るとノーチェが尻尾を振っている。

どうやら2頭はビアンカのことをおやつ要員とでも思っているのか、来ると必ず甘味をねだる。

その姿が愛らしくてすっかり受付のアイドルだ。


「おはよぉ。ノーチェにペルラ。お願い、私に癒しを頂戴~。」

ビアンカが両手を広げる。

『いいよぉ』

ピョンと膝に飛び乗るノーチェをビアンカはうっとりとサラサラの毛並みを堪能する。

ティナはどうやら今日は念入りブラッシングをしたらしいその毛並みは極上だった。


「いいなぁ。ティナさん、私もペルラちゃん、いいですか?」

子竜の言葉がわからないラウラも羨ましそうに聞いてきてティナの返事の前にペルラがすりすりと近寄った。

「「かわいい~!!」」

ニコラとクリスタが一斉にハモってジュリアが笑い、エデンもチラチラとこちらをみている。


夕方の支払い時間までの休憩時間、ギルドにまったりとした時間が流れていった。

設定メモ


ギルド養育院

冒険者ギルドに所属する冒険者の子供を親の仕事中に預かっている保育園。

預ける期間によって依頼報酬からちょっと差しひかれるけど格安。

保育園だけでなくギルド加盟者の孤児も引き取って育てている。


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