おまけ 後日談
あれから五年が過ぎて、今は2016年・夏。
僕は高校を卒業してから、専門学校に通い、現在は地元の車の修理工で働いている。
バイクの中型免許は高校卒業と共に取り、普段は平を筆頭にしたバイク仲間とツーリングしたりして楽しんでいる。
そして土曜日の昼間の今も、愛車のカワサキ ニンジャ250(無論中古)で、あの浜へと向かっている。
タンデムシートには相変わらずの圭子を載せて。
彼女は高校を卒業すると地元F県の短大に進学した。
こちらに単身赴任で残っていた父親と色々話をして、心配していた母親を説得したらしい。
結局は家族全員、避難先の大阪から自宅に戻って来たのだ。
最初にその事を僕に言った時彼女は、「やり方は幾らでもあるのよ」と、笑って自慢気に言った。
彼女は僕を信じていた。
そして僕はまたもや、彼女を信じていなかった事になる。
しかしそれは秘密だ。永遠の秘密。
圭子の腕がギュッと僕の腰を締め付ける様に強く抱きしめる。
いつもの浜へと続く一本道で、僕が加速するとでも思ったのか。
そして僕の背中に、自分の上半身の全体重を預けて来る。
その行動から思うと、圭子は最初から僕をいつも信じていたのかも知れない。
だから僕も、彼女を逃さない様にしなくちゃと思って、実は来年結婚を予定している。
もう何があっても、片時も離れないように……
出来過ぎ!
おわり