95一点突破
バルーンシープの解体が終わり大量の毛を手に入れた頃周囲には解体の時に出た血の臭いをかぎつけ集まってきた大量の魔獣達が遠巻きに様子を伺ってきていた。
イタチ、ハイエナ、ハゲタカなどの見た目通りの特徴を持っているが三竦みで牽制し合い、どうやら目的は一緒で俺達を獲物として認識したようで、隣を牽制しつつじわりじわりと包囲網を狭めていた。
まだ距離はあるが囲まれたら囲まれたで大変になりそうだから脱出を決断し、方法としては一台のホバーバイクにリアカーを接続して運転1人とリアカーに3人乗って襲ってきた魔獣を迎撃する体制で離脱する事にした。
ただ問題が1つ…誰が運転するかなんだが…速度的には俺が運転した方が豊富な魔力で離脱は早く行けそうだがそれでも数の多さで囲まれて突破力が落ちた時に結局は降りる事になってしまいだろう。
そうなると次点でテルトが魔力豊富で行けそうだが今度は正面に回られた時に対処が出来なくなってしまう。
そうなるとアーネの操縦が妥当かな?彼女なら接近されても操縦しながらでも蜘蛛足出して撃退出来るし、子蜘蛛をけしかけるのもいけるだろう。いざとなれば糸経由で魔力の供給って手も使えるんじゃないかな?
前が決まれば後ろのリアカー左右でリーブと俺で左右を固め中央でテルトに固定砲台として撃ちまくって貰うとしよう。
準備が整ったところで先程の隊列で出発した。
方向は北に向けちょうどイタチとハイエナの集団が睨み合っている中間に向けて突進していった。
時速にして40kmくらいは出せていそうだがさすがに人の乗ったリアカーを引っ張るにはホバーバイクの能力は少し足りない様だった。
それでも後ろでは3人が固定砲台として攻撃準備が出来ているのは大きかった。
テルトは尻尾を8本出して、個別に氷矢の物量よりは数を減らし、火球、水弾、風刃、土槍、蒼炎弾、氷雨、雷撃、石砲弾と文字通り物量で接近を阻害する様に魔法を駆使してくれていた。それでもハイエナもイタチもちょこまかと弾幕を掻い潜り徐々に進路を狭められていた。
その為速度が落ちてきた事により後方に置き去りに出来ていたハゲタカが空から接近を始めていた。まだまだ攻撃圏内には届いてないが上空から攻撃態勢に入るのはもう時間の問題になりそうで、高空からの急降下と低空からの突撃とで別れて接近を行っており、こちらの対処がテルトだけでは手が回らないので低空からのところでリアカーに接近したのをリーブに任せ、高空からの急降下に対処する為にリニューアルされた延長柄の石突き砲を活用しつつ片方は大剣のように使い片方は三脚に固定して高射砲のように撃ちまくり弾種も散弾にして水蒸気にはせずに高圧の空気で噴き出し続け、空気の流れの乱れとそれに混ざる小さな弾とで飛んでいる鳥型にとっては致命的に乱すことに成功して倒すまでは行かないまでもそれでも接近を許すことはなかった。
前方ではアーネも群がるイタチとハイエナに向けてクナイや鎌を投げまくり投げっ放しで柄に付いている糸を子蜘蛛を使い回収させ接近してきたのには4本の蜘蛛足で刺突進路を邪魔するものだけ駆除して離脱速度の維持に努めていた。
「テルトまだ魔力保つか?足元にバック置いてあるから回復薬遠慮なく使え」
「了解よぉ〜」
「アーネ脇はいいから前だけ集中しろ」
「かしこまりました」
「リーブ後ろは無視していいから側面を近寄らせるなよ」
「わかったの〜」
かれこれ1時間程走行しながらの戦闘だが意外とこいつらしつこい。
ハゲタカは走行速度の都合かなかなか接近できないようで高空からの急降下も気流を乱され接近できずさらに北風の向かい風でハゲタカは付いてくるのがやっとのようだ。
こいつらはもうイタチかハイエナが仕留めた隙に掻っさらうつもりでついてきているようで戦闘意欲はもうなさそうだ。
それに変わって両側を並走するようにイタチとハイエナはそれぞれ群れてはいるが出し抜くのに躍起になって左右に別れて単調な攻撃になってきているお陰でこちらに余裕が出来ていた。
その為こちらも左右からの迎撃と正面の進路上の駆除に移行しているのだが魔獣共も体力があるようで一緒くたにくっついてきているがいい加減このままでいるのもまずい。
マップ上にまだ遠いが街と思われる反応が出て来ていた。
このままではこの雑魚魔獣引き連れて街に突入になってしまうからここらで一気にやるしかないかな?
よし!と言ってもこれだけ一気に殲滅出来そうなのは…エアニードルだが…あれだと範囲が広過ぎてちょっと撃ち漏らしが出ちまいそうなんだよな…それならもっと密集させて移動に合わせて特定の位置から打ち出したら上手くいくかな?
前は面での制圧でばら撒いたが今回のイメージはマシンガン?ガトリングの方がイメージ近いかな?リアカーから側面を吹き飛ばしその後後方に向けてで、出来ればそのまま上空から鳥も一緒に撃ち落そう。
「リーブちょっとこっちまでカバーしてくれ。魔法で一気に殲滅を試みる」
「わかったの」
エアニードル側面展開。20列に及ぶ空気の鏃が一斉に打ち出された。
20列から一気に20連射したことで400もの弾幕が魔獣に襲いかかり回避をさせる暇もなく転倒させ後続を巻き込んで足止め代わりになった。
そして間隔が開いたことで通常のエアニードルを再度発動。
上空から真下ではなく斜めにしたことで鳥も一緒に撃墜。片側半分は一気に消滅させる事が出来た。
そして反対に移ろうと振り向くと目の前に白いものが降っていた。
そこには10cm程だろうか?氷柱が雨のように降っていて、魔獣をめった打ちにし上空からピンポイントで降らせたもので鳥もイタチもハイエナもあっという間に駆逐されていった。
それを行った犯人の方に目を向けると荒い息ではぁ〜はぁ〜言って悩ましい息遣いにも聞こえなくもないが辛そうながらもやりきって満足そうな表情で微笑んでいるテルトがリアカーの中で座り込んでいた。
アーネも疲労のせいか速度が落ちているので一旦3人には休憩で魔力回復してもらい、回復する間はゆっくり目に北へと進むのだった。




