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93視察

ケント達一行は日が落ちる前にソウワルガの街に入れた。街は沢山の人が溢れここまではまだ魔獣は来てなさそうだが避難民もそうだがどこの貴族なんだかさっきから横柄な連中が我儘放題くっちゃべってくれてる様で行政官と思われる人も青い顔して汗かきながら対応していた。

ご苦労なことだね。


この都市はまだ平気そうだから、長居の必要性は無さそうだが夜間の移動は不慮の事故もありうるから今日はここで一泊するとしよう。そうと決まれば宿探しだがこのメインストリートの混雑具合を見ると…さっきから聞こえる罵声は部屋が無いことでの抗議の声しか聞こえてこない…こりゃ〜諦めるしか無いかな?寝るだけサイズのミニ小屋出すにも敷地が無さそうだし、街から出て野営って手もあるがそれはちょっと不用心すぎるか?

それなら朝まで酒場で時間潰すか?


昔は朝まで飲んでそのまま仕事なんてよくやったけど、長距離移動するのにそれもどうなんだ?


まあどっちにしても酒場で飯と情報収集かな。

聞き耳立てるだけでも情報入るしその情報で決めるのもいいだろう。という事でケント達は宿屋のすぐ隣にある酒場でテーブル席を確保して酒を飲みながらつまみを注文してちびちびやりながら周りにいる冒険者達の会話に耳を傾けた。


「ここから北は全部やられたんだとな」


「そうらしいぜ、なんでも二足歩行の動物に追い立てられて逃げてきたって奴がいたな」


「なんでもこの辺の鍛冶屋の武器じゃ刃も立たねえってよ」


「ハッそんなの鈍らつかまされたんだろうよ」


「そうでも無いらしいぜ、なんでも体は人だが顔が動物だったり獣人とは違ってより魔物に近いやつらで、すげ〜硬いのいたってよ。ハンマーで殴りでもしないと効かねえってな」


「おうそれ聞いたことあるぞ。なんでも研究室で掛け合わせて強くしたのが暴走して手がつけられないってな」


「手がつけられないって言えば繁殖力凄くてすぐ増えるのもいるってな」


「そいつらに出くわしたら女は諦めろって言ってんのいたぞ。なんでも数日で赤ん坊うまされるって」


「そりゃ〜捕まったら死んだほうがマシってやつか?」


「かもしんね〜な」



なるほど少しでも情報は手に入ったのはいいがここから先に行くにはちょっと覚悟が必要かな?場合によっては1人で向かう事にしてでも確認した方がいいかな?


「ちょっとぉ〜ケントぉ〜私達置いて行くとか無しだからねぇ〜」


「どこまでも側でお仕えします」


「私もずっとついていくの」


まったく感の鋭いんだか表情読まれてるんだか知らないが隠し事が出来なそうで…まあしょうがないか。今更みんなと別れるのも俺には出来そうに無いし、いざとなれば無茶して…


ゾクっ


いかんいかん考え過ぎると思考が変な方に向いて、周りの3人から殺気を食らうってのが続いちゃう。

今日は早く休むとしよう…とは言っても宿屋はいっぱい…どこか空き地でも探して小屋建てよう。

幸いすぐに空き地は無かったが食べ物の物々交換で一部屋狭いながら借りれてみんな仲良く眠る事になった。


翌日早朝家主に挨拶をしてまだ無事そうなソウワルガを後にし、北東方向にあるネガキアに進路を向けた。

ネガキアまでの進路は平坦で障害物は少ないが若干魔物の生息数が多いように感じるが、大薙刀をホバーバイク運転しながら振り回して道を切り開いた。本当は三国志の武将みたいな一騎掛けをしたかったが手放し運転をするには道が荒れてて出来なかったので片手で運転片手で攻撃しか出来ないから振り回して、似たような気分を味わえていた。


しかし魔物もなぜか南に向かって動いている?何かから逃げている?北に行く程魔物のランクが上がってきている…ネガキアが今は無事でもいつまでもつかわからないということか?

そうこうしてる間に時間は過ぎ昼が過ぎる頃にはネガキアに到着。

ここはまだ周囲は魔物の群れが多いくらいで安全は確保されていそうだがそれでも南東にあるホルドアに向けて避難する人は多く防衛に駆り出された兵とで入口はごった返していた。

中に入るには時間がかかりそうだし、兵が入ったなら暫くは良いだろうとネガキアは後回しでさらに東にあるガトチヤに向かった。ここはホルドアの北に位置するので距離もホバーバイクで行くなら2時間も掛からないのは今日のゴールとして見るのも良いだろう。

入口に連なる列を後にホバーバイクに跨り、一路東にハンドルを向けた。


一行はネガキアよりやや北に進路を向けつつ東に舵を切り魔物のランク別に逃げてきている確認の為にも北部に強い魔物がいるか調べる事にしていたが、北部というよりは北東部に行くにつれて強い個体が現れ始めていた。

ガトチヤが近ずくにつれて魔獣化した個体が現れ始め、進行速度が落ち始めた。

隊列はケントとリーブがそれぞれ大薙刀と大剣を前列で振り回して、その後ろでテルトが氷礫の弾幕で接近を阻止し、アーネがワイヤー鋸を投げ縄のように振り回して空いている蜘蛛足の分手数で維持して接近を阻止し、その状態を維持してガトチヤに着いた頃には城門に魔物が張り付いて、今にも陥落しそうな状態な所にたどり着いた。


状況を確認するなり一行は一斉に広範囲魔法を展開した。

ケントは空版ニードルシートを発動し、辺り一帯に空気のガトリング砲を撒き散らし、テルトも雨雲を呼び寄せたのか?拳大の雹が広範囲に降り注いだ。アーネは糸を広域展開し粘着糸で魔物同士をくっつけ行動を阻害しつつ壁を作り上げていた。リーブは直線的ではあるが熱線を吐き出し正面にいるのを焼き上げていた。


魔物の攻撃はその4人の一撃で半減し、ガトチヤ側も息がつけたようで外壁に取り付いていた魔物が掃討され始め、1時間もした頃には周辺には脅威となる魔物の姿は消えていた。


一旦訪れた平穏にガトチヤは盛り上がった。

街の中は傷ついた兵や冒険者で溢れていて、食料は周辺の魔物の肉で豪勢にステーキしか無いが食うには困っていなそうである。ここはすでに住民はほとんど逃げた後で他から逃げてきた者たちが集まって維持してより多くの人の避難所として活用され、野戦病院のような役割をこなしていた。

しかし圧倒的に足りない物がどうしてもある。

それは回復薬である。

いくら兵士や冒険者が居ても傷ついたままでは次の時は戦えない。怪我をしないようにするには無理が効かないからどうしても押し込まれてしまったようで、しかも現状でも半数は怪我人で前線に立てない状況だった。


こんな事を聞かされてしまったらもうケントはここを見捨てることが出来なくなっていた。

そこで住民にも協力を頼みありったけの回復薬と薬草を集めてもらい、それをデカイタライにぶちまけて、そこに時空バックにしまっていた素材達も合わせて、久々の練気合成でタライの中には中級回復薬が出来上がっていた。これを次々怪我人に飲ませ、怪我人のうちの大半を復活させた。余ったのは瓶詰めさせて保存させ、治りの悪かった者用には上級回復薬を提供して保存してもらった。

これで死を待つしか無い状況だったのが生き残る確率がかなり高く跳ね上がったことで、士気が上がりお祭り騒ぎになっていた。


いろいろ周辺の状況を聞きたかったけど明日でいっか?


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