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89 平穏な日常のはずが…

ケント達一行が帰還してからクレセント村は日々賑わいを見せて発展していた。

この頃には獣人の里からも徒歩で輸送隊が訪れ、次第に交易を確立していってる様だが、まだこちらの情勢が不穏な空気を含んでいるので、道を整備したところまでリアカーできてそこからは体力や力があるもので大型の背負い籠を担いで、獣道を抜けて来ているそうだ。この徒歩の者達も魔の森で巨石結界地まではいかずそこそこ魔素濃度が高い場所で活動して影響が出ない者達が身体能力が上がり無理なく役割を担えている。


海路の方も現在試作段階で風魔石を使って進む小型帆船と水魔石の力を使う台船が試されているが遠距離航行にはまだ向いていないので、台船で沖に出て、釣り糸を垂らして手釣りする釣りスポットとして活用され、小型帆船は磯場に寄せて、素潜りで貝や海藻を集めるのに使うくらいで、まだクレセントではそれ以上に活用されることはなかった。

他の海洋都市では大型の船で輸送を行っているそうだがこれらの船は大量の奴隷を使って漕がせているのであるが、そもそもクレセント沖では遠浅の為吃水の低い船しか航行出来ないし、そもそもケント自身が奴隷嫌いでそんな船を扱う事を嫌っていたので周りでも自然に奴隷を使わない方策を取られる様になってきていた。


そんな影響もあってかギルドの輸送船なんかも奴隷の中でも犯罪奴隷の贖罪の一環として使った大型船を沖につけて、小型船で何往復もして素材の積み下ろしを行っていた。


それでも現在はゴルド製造風魔石エアサス入り大型荷台を竜車輸送をして運ぶのが手間も掛からず早く着くのでレホ街までならフル回転で輸送を行っているので流通的には大して影響はなかった。


さて今までレホも村だったのだが人口の増加と正式に貴族が統治することになって、街まで格上げになったそうだ。この貴族もカイル様一派の左遷されてきた貴族だそうで、安心して任せられるそうだ。だから最近カイル様も辺境伯の肩書きを活かしてクレセントで遊びほけてるのだが…この人の管轄はどこまであるんだろうね。


この辺りの貴族の世界のゴタゴタさえ持ってこなければ別に構わないけど、貴族とは別に商人とかも面倒くさいのがいるみたいで、その後、まだちょっかいをかけてこないからそのままだがあいつら来てもいい様にテコ入れする事になってしまった。

その為に身内の戦闘部門底上げの為にジャック率いる一同がローテーションで結界地までの遠征を行っている。

こちらは高濃度の魔素を浴びて魔力操作を身に付けたことで身体強化を行う事が可能になり、現在の能力把握も兼ねて交代で奥地の魔獣を練習台に修行に明け暮れていた。また行ったことないメンバーも行ったメンバーが簡易的に対処することで影響を受けても活動できる程度は動け、帰ってから治癒する事で次第に魔素を浴びても平気な体に仕上がっていた。


さて本格的にテコ入れという事でこないだ来た商人四人に影響する部門を優先してアイデアを提供した。

1つは先ほども出ていた馬車の荷台で既存の馬車幅で積載量を増やし、重量に対応できる様に車軸のベアリングと風魔石エアサスの量産化、また一般的な木の車輪から鉄製にして強度を上げ、魔獣の皮を滑り止めに巻いた。

これだけでも十分なのだが荷台の枠に鉄の芯を入れて強度を上げ、そのおかげで車輪軸受け位置を変更して床を下げる事に成功し、これにより積み下ろしの負担軽減が図れた。

また、この低重心モデルで、貴族様の馬車を製造し乗降性を売りにしたモデルをカイル様にテストという名の宣伝カーに使ってもらう事になり、これによりR&G工房の名は広まっていく事になる。


さて、R&G工房製の荷台が増えた事により、荷台に荷物を積み込みをしておいて竜が戻り次第荷台を付け替えて即出発という形が出来上がっていた。これは今いる竜が少ないので仕方なくできた苦肉の策だがこれはこれで少しでも時間を削る努力の賜物なのである。

いずれは金龍クロード…この場合は銀龍クロワさんの方が話が早いだろうから、近々タウザンフォールにお邪魔しようと思う。

その際にはきっとというか確実に欠損再生剤は持って行こうと思っている。

銀龍クロワさん俺たちに贈るお礼にってなぜか金龍の身を削るから元気になってもらう意味でも、現在マーサに旅で培った事を伝えて、改良型を製造中なのである。これがあれば商家のウルトが何か言ってきてもどうにかなると思う。

それに最悪素材として金龍の鱗の流通元になればもう1つのところも黙らせるのは可能だろう。


…えっ?何か?素材の為に欠損再生剤持っていくんだろうって?嫌だな〜どっちにしろ身を削がれる事になっちゃうだろうから早く治った方がいいでしょう?

そういう事にしといてください。


あとは武具の方は既製品は弟子に作らせ、ゴルドはオーダーメイドだけ対応するそうだ。その為に見本品を展示する事になったのだが、案で出たのが龍鱗アーマーととんでもない武器を作りたいって事で誰も持てなさそうな大剣を作る事になって、実際に使っている奴が居ないと困るってことでその役目がケント達に回ってきた。

慣れ浸しんだ薙刀はそのままに、新たに自分用の武器を作ることになってアイデアを求められてしまった…さてどうしようか…

鎧の方は現在の状態をさらに龍鱗率を上げる構成で、気の展開を使い機動力がある事から多少重武装になっても問題ないってことで仕上げられることになってしまった…しかも金だよ…目立ちそうで嫌だな…

それに加え今ある武器を全て鎧と一体化させる様にするんだって、それで出させられて、薙刀と脇差は没収されてしまった。それと今まであまり見せる機会の少なかったハサミと剃刀をじっくり観察してもらう事になった。

ただゴルドの奴が悪ふざけで使い慣れた形の物を巨大化させてみようとなって、出来てのお楽しみと怪しい笑みを浮かべるだけだった。

これだけインパクトのある変わった形の物を武器として持ち歩かせればなんてまるで他人事の様に頭の中で話だけがどんどん進んでしまって声が漏れているのは気付いて無い様である…

すいません。もう匙投げました。

出来上がったものを持ち歩くだけです。それでもジャック達にもそれなりの物を持たせてやれと少しだけ責任転嫁を仕掛けておきました。

それでも色々作られて、色々もち歩かされて一体いくつもの武器を持ち歩くことになる事やら…今から考えても頭が痛いです。


ちなみに肉食系三姉妹もロレッタのモルモットと化してます。

女性冒険者に受けがいい様に見た目優先で実用性を持たせる方向で形を変える事は無いそうだが、またコスプレ化に拍車がかかる様だ。

こっちは見てる分には目の保養になるからいくらでもやってもらって、楽しみにさせて貰って自分の方を忘れる事にしよう。

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