52神樹の周りは大騒動
はぁ〜また厄介ごと増えちまったよ。
まさか龍から娘押し付けられるとは…
しかも性欲旺盛な幼女ってどうなのよ。
年齢的には最低でも300は超えてるだろうけど、見た目が10代前半…
倫理的に引っかかるでしょこれ…
しかも親と一緒にとか…あの時は俺どうかしてたよ…
龍に人の考え押し付けちゃいけないだろうけどさ〜
いいように流されてるよな〜俺…
はぁ〜ため息が止まらない。
リーブも見た目年齢的には娘でもおかしくないんだが、中身は別物だけど、お兄ちゃんと言われるとなんでも許してしまう俺もいる。
まあいいか
諦めよう。
世の中諦めも肝心さ。
タウザンフォールを過ぎてからは一気に道が開けてきた。
本当はバギーを出してもいいのだがきっと喧嘩になるよね。
だって1人俺に抱きつくように乗せるしかないんだもん。
それが怖いからいまだに歩いてるんだけどさ。
ちなみに今はリーブの戦闘を見るってことで歩いてるけどさ〜まったく問題ないんだよね〜この子の戦闘。
白い膝丈のワンピースでいくら龍とはいえ防御が弱いかと思ったけど、金龍の鱗盾を上手く使ってるし、爪を削り出した両手剣サイズを片手で振り回してるよ。どう見たって体に合ってないのにね…
ただ魔法の方は発現が遅れているね。
咆哮も打てるが耳を塞ごうか迷うくらいだし、熱線も吐き出せるが倒せるまでの威力がない。幼女が口から光線撃つなんて絵的にどうなのってのもあるけど、人型の体がまだ使い慣れていないからだろうとテルトの意見であるがこのメンバーならむしろ近接で助かった。
「ねぇ〜ケントぉ〜この辺り魔素が濃いわよぉ〜これ吸うと育っちゃうわよぉ〜」
「えっ!?テル姉お兄ちゃんの大っきくなっちゃうの?早く鎮めてあげないと」
「リーブちゃん違いますよ。魔物が強くなっちゃうって意味ですよ。それにそっちはいつでも対処可能です」
ペロリ!
アーネは妖艶に自分の唇を舐めた。
「じゃ〜そっちを先に食べちゃおうかぁ〜」
ペロリ!
乗ってきたテルト。
「な〜んだ。そうなんだ〜お姉ちゃん食べるなら私も食べるの」
ダメだ混沌としてきた。
もういいや。バギー出そう。
「そろそろ乗るぞ。でだ。誰が俺の後ろに乗る?」
仲良く連携を見せていた3人は俺の一言で一触即発の雰囲気になった。
「そこはぁ〜1番付き合いの長い〜私がぁ〜」
「いえそこはサポートが重要なポジション私が勤め上げてみます」
「私ならお兄ちゃんの前になっても邪魔にならないの」
う〜ん…これは決まらないねきっと。
さあ放って置いて行くとするか。
「喧嘩してるなら置いて行くよ」
声を掛けて低速で動かし始めるバギーに、3人は慌てて駆け寄り次々乗り込んで来る。
結局はいつも通りで背中にリーブを背負う形で順番に変わることにして妥協したようだ。
さてそこまで俺が関与する事じゃないから勝手にやっててもらって、マイペースで行くとしましょう。
マイペースは大事だからね。
煩わしい問題は丸投げして、放置が1番だね。
その間俺は気分良く走らせてれば良いだけだし、林も抜けて平地だし飛ばし放題楽しいね。
それにしても今いる場所は高台になっていて、下に降りるのに迂回するのだが下は森、目的地は目の前に見えている巨大な木。
この高台の位置からさらに上を見上げる木の枝ぶり。
さすがに神樹と言うだけあってでかいんだね。
行ったところで何あるかわからないけどさ。
それにしても迂回はかなりかかりそうだな。
直接降りちゃおうかな?
アーネに頼んで後ろの木に命綱をつけてもらって、急激に落下しない様にしたのだが傾斜70度の斜面を一気に転倒しないで駆け下りる。
こんなとこ普通降りようなんて人いないよね〜やった俺が1番ビビって3人はジェットコースターにでも乗ったかのように楽しんじゃってるよ。
ま〜ショートカット出来たから良いけど次はやらないな。やらないよ?やらされないよな?
降りたのは良いが降りた先は森が深かった…ここからは歩きしかないか…
しょうがないな。
また徒歩になって、進むうちにまた木を回収してミニ小屋を一回り大きく増築しようかとなり、風呂小屋も拡張と人数増えた事により大きくせざるをえなかった。
そのままでも良かったのだが寝返りも打てないし風呂もみんな入ってくるだろうし、くつろげないからゆとりを持たせたのだ。
そして増築ついでに少し休憩を取る事になった。設置するには森の中は少し木を切らなくては置けなかったからちょうど良かった。軽くおやつ気分でまったりと寛ぐ予定だ。
増築作業に没頭しながら周辺偵察でレーダーを最大距離にして眺めてみた。神樹のそばに近付くにつれ、レーダーに反応が増えてきていた。
レーダーだけ見てると面白い。
2つの集団が競って進んでいたり、魔物が出ては右往左往してたりと何やってるんだろうね?
あっちの集団突進してきた魔物に蹴散らされちゃったよ。大丈夫なのか?
しょうがないね。でも俺には関係ないだろう。
ズドーン!
グォォォォ!
ギャーーーーー!
「ケントぉ〜こっち終わったわよぉ〜」
「お兄ちゃん咆哮が少し効いたみたいなの!」
「こちらも傀儡の実験の前に精神が崩壊しましたが始末は済みました」
「みんなありがとね」
増築中の周辺警護は無事に終了した様だった。
その頃の神樹周りの一団は
「えぇ〜い!まだ片付かんのか!」
「報告!東より魔獣と思わしき咆哮を確認しました。」
「さらに魔獣同士の縄張り争いと思われる戦闘音も確認中です」
「こんな時に何て事だ。方向はこっちで良いのだな?道の確保を急ぐぞ!」
「そっちは先ほど行きました…」
他の一団
「至急!魔獣が接近中直撃コース」
「総員迎撃体制!」
「ダメです間に合いません!」
一団の中央を魔獣が駆け抜けて行った。
貴族の醜い争い
「私の娘が聖女に選ばれるべきなのだ!伯爵ごときに負けるでない!急ぐのだ」
「しかし閣下肝心なのは中に入ってからです。ここで消耗しては得策ではありません」
「むむむ!致し方あるまい。馬車が通れるようにさっさと切り開くのだぞ」
「ハッ!………はぁ〜自分で歩かない奴が選ばれるわけないだろう」




