43自給自足生活
村の家々の建築が終わり自分の家も望まないくらいでかい家を作って、開拓村の名前が『クレセント』と決まり、その日の午後はお祝いをしようとの意見が出て、ご馳走を用意しなくてはと冒険者グループと共に近場に狩猟に行く事になった。
日が落ちるまでに猪か鹿もしくは走鳥類を狩ってメインにしようとなり、俺達も含めて3部隊で同じ方向で広めに離れながら探す事になった。
ま〜俺達3人で十分なのだが相変わらずの過保護な教育も兼ねているのである。
出てくる前にはゴルドに手押しポンプの仕組みを解説して、各家に井戸を掘る事も提案しておいた。これがあれば生活環境がだいぶ楽になるから、ゴルドなら話を振っておけばいろいろやってくれるし、任せて安心だ。
また農家のコールから走鳥類を飼ってみようと言われ、生捕りの依頼も受けてきていた。
これが上手くいけば卵が手に入る様になるそうだ。卵があればそれだけでかなりのレパートリーが賄えるからこれは是非にも捕獲したいものだ。
野生で育ってるからちゃんと出来るかわからず、不安もあるそうだが試してみるそうで全面協力するつもりだ。
この走鳥類飼育計画で以前に見つけた北西方向の生息地に向かう事になった。騎士詰所まではほぼ魔物も居ないのでその外周部に出る山の谷間から本格探査が始まった。
ジャックとシャロルはすでに晩飯になりそうな獲物を見つけてミル達から離れて左の西に向かっていた。
俺達も右寄りに何かの反応が出たので確認のために進んで、4人には中央へ残し広範囲を担当させる事により自由に当たらせる事にして、マップを確認しているが適度に生息個体がいる様で、収穫数は任せる事にして実力測定の意味を持たせた。
結局今夜用の獲物は2つのグループが確保出来そうなので、俺達は進路を変えて走鳥類の捕獲に向かった。今回は捕獲なのでアーネの糸に期待をして絡め取るつもりでいる。
方法は直接投げ縄みたいにするのもいいが、糸を広げ蜘蛛の巣に絡める様に展開させ、それに触雷で感電させ気絶状態で連れてこようと思っている。
「ケントぉ〜また私見てるだけなのぉ〜つまんないぃ〜」
「ごめんねテルト。開拓村が安定しちゃえば自由なんだけど、そうなれば家を空けてても安心でしょ?」
「ではテルト様キャンプハウスの改造を検討いたしませんか?そお遠く無く使う事になるでしょうから」
「そぉ〜ね〜。本当だったら神樹でストレス発散してたのになぁ〜」
「神樹ってここから遠いの?」
「そうでも無いよぉ〜西にいけば見えるはずよぉ〜」
「そっか〜そんじゃ〜一度は見に行こっか?」
「それにはまずこの走鳥類を捕まえませんと、ついでに羽根も集まりますし」
今回走鳥類の捕獲になぜ率先して行動しているかというと、飼うことが出来れば羽根も集められて布団も出来るだろうとなったので、どっちかって言うと布団のためにやっている感じでもある。
「いました。20程でしょうか?」
「アーネ頼むよ。テルトまた襲いに来るのいるかもしれないから任せるよ」
「ねぇ〜思ったんだけど近くに張らせてこっちに追い込まない?」
「そ〜だね〜その手も有りだね。それで行こうか〜」
テルトの提言でストレス発散も兼ね、急遽予定を変更してアーネの100m前に網を張ってもらった。
俺は網に繋がった糸を持って走鳥類から200mまで接近して待機している。
テルトはさらに近寄って網の反対側に魔法を着弾させその音で驚かせて網に追い込む事になった。
作戦は実行に移され、アーネも万が一に備え予備の網をいつでも張れるように待機して、いざとなれば投げ縄のように捕獲に移るようだ。
テルトは鳥から20m離れた辺りに火弾で弧を描くように着弾させた。
網に1番離れた直線上に落としそこから半円状に追い込むように順番に落とし、動き始めてからは群れの両サイドに落として網を張った方向のみに場所を開けて誘導。
テルトの火弾も音だけに調整され見た目は凄いが威力は少なくされて鳥に害が出ないようにされて、いよいよ網に走鳥類の先頭が逃げ込んできて、俺は網に繋がった糸を保持して触雷の準備をする。
今回の触雷は威力弱めにしてスタンガン感覚で気絶するかなくらいに調整して流し込んだ。
糸を伝い細かく張られた蜘蛛の巣に電撃が流れ込んで、走るときに糸に触れた物から感電して動かなくなった。
また動けなくなった鳥にぶつかった物も接触部分から流れて感電して、先頭が動けなくなった事で群れはすぐには止まれず次々に接触し、すべて感電して動かなくなった。
しばらく流し続け、触雷を止めると群れはその場に崩れ落ちた。
一羽づつ確認するとすべて感電による気絶状態で上手くいったようである。
ここでアーネに頼み暴れないように折り畳んだ脚と羽をまとめてぐるっと一周縛ってもらい、出したリヤカーに積んでいった。
コンパクトにしたとはいえ体がダチョウサイズだから乗り切らず、山積みにしてアーネに糸をネット上にしてリヤカーに固定できるようにしてもらった。
準備が終わると3輪バイクもどきに接続してさっさと帰ることにしたが、鳥が起きる前に小屋や柵まで作らないといけなくない?本当に早く帰らないと忙しくなりそうだ…
三輪バイクを漕ぎだし、帰りがてらレーダーでジャック達を探すと、こちらの2つのグループも村に向かって進んでいるようだ。
まだ2つは合流はしていないが方向的には然程ズレは無いのでいずれ合流するだろう。
それならと俺達は4人組の方に近付いて先に帰る連絡をして最速で戻る事にした。
村に着くとまだショック状態の鳥達をそのままにコールの家に行き20羽いるから小屋作るか相談したら、小屋よりは先に小さくても柵を作って欲しいと言うので残ったいた木材を加工して杭を作っていった。
この頃には騎士達が手伝いに来てくれて杭打ちを任せ、50m四方くらいの囲いができていった。
アーネは鳥の捕縛ネットの役目があって動けなかったのだが杭が打ち終わると横板を打ちながら上に逃走防止に糸を張り巡らせてくれていた。杭が2mくらいの高さに有るのでその上に飛び出さないように目の大きめなネットを作ってくれた被せてくれた。
作業をしているとテルトがいつの間にか消えていて、アーネに聞いたらジャック達を三輪バイクリヤカー接続状態のまま迎えに行ってくれたそうだ。
ありがたいよね〜こんな気遣い出来るのって…しかもみんな協力的だし大家族みたいだね。
はじめはここにみんなを連れてくるのいやいやだったけどこれはこれでよかったかね。
おっ?テルトが帰ってきた。
さすがにこぐのはジャックにやらせたか〜四人はリヤカーに乗り込んでるね。
みんな顔が生き生きしてるな。
ここもほぼ完成したし、食材も早く集まったから、どうせだからもう一品用意しようかな?
せっかくの海があるし、みんなで競争しちゃおうか?
「みんなここ終わったら釣りしようよ。夜が豪華になるよ」
釣りの言葉にみんな反応が薄かったのだが豪華になるに食いついたようで目が爛々と輝いていた。
テルトとアーネが魚の旨さを熱弁して、いつしかみんな走り出し俺が置いてけぼりになってしまった。
やり方をアーネがわかっている事からみんなに拉致られて行ってしまったが、遅れて歩く俺に気づいたテルトが待っていてくれて手を繋ぎのんびり後を追いかけていった。
その夜の開村祝いの宴会は料理が尽きることなく遅くまで盛り上がるのだった。




