4闇の中
ブクマありがとうございます
いきあたりばったりですがよろしくお願いします
「ここは…」
メガネが勝手に暗視機能を立ち上げたのか白黒の世界ではあるが辺りの状況がわかってきた。
直径4mほどだろうか?
丸い空間が続いている。奥行きは50mほどだろうか?奥の方がはっきり見えないので正確なのは分からないが…
ピピッ
またかって…奥見えるし…勝手にズームが効いたようだ。一度起動したら後は近くを見た後すぐに奥を見ても誤差なくすぐにピントが合う。これはもしかしたら遠視や暗視が常時発動して俺の意識と連動したのかもしれない。
「しっかしこりゃ〜なんかの腹のなかか?」
そう視界に飛び込んできたのは魔物と思わしき死骸と剣や鎧など持ち主の存在しない道具たち、さらには普通の石とは違う暗視の中ではよく分からないが輝きを放つ宝石のような石。
先ほどから俺にダメージを与えてるのはこの宝石のような石のようだ。サイズもなかなか硬さもありそうで中には尖ったものもある。
レンズには?がいっぱい浮かんでいるがこれだけの数がまたジェットコースターのような動きになったらかなりの凶器になるだろう。しかも剣もかなりある。倒れた先に剣があったら致命傷も受けるだろう。時空バックを取り出し片っ端から詰め込んで行った。
死骸や剣、石などをあらかたバックに収めた頃この生物は動きを止めた。
多少車酔いのような感覚があるがのんびりしていても消化されてしまうだろう。今のうちに脱出路を探すことにした。
まずは足元が砂になっている方から探すことにした。
こっちはアイテム類がいっぱいあったのでそのまま近場から探すことにした。
拾った剣で何箇所か壁をさすが岩のようで刺さる気配がない。
奥の壁にもつなぎ目のようなものがあるが刺さる気配もない。
今度は逆の壁に向かうことにした。
歩きながら鑑定と現在位置を確認するが腹の中としかでない…
認めたくなかったがやはり何かの腹の中のようだ。
移動を始め半分も過ぎると、足元には石が増えていった。
あまり考えたくなかった事だが現状を認識しないと脱出できないだろう。
きっと先ほどいた方がお尻で今向かってる方が口なのだろう。
口に近い方ほど固形物が多いのは丸呑みしたのを暴れてダメージを与えて動けなくし、垂れた体液でも吸収しているのだろう。そうなると今は食後の休憩ってとこか?
やはりそう考えると急いだ方がいいだろう。
口と思わしき場所に到着するがやはり厳重に封鎖されており、内側から開く術はないように思われた。
しばらく歩き回り、側面、上面、底面と物をどかして確認するがどこも同一構造なのか変化がない。それに密閉空間のせいか酸素が薄いしサウナのように暑い。全身から汗が噴き出しかなり体力を消耗してしまった。一旦休憩しようと腰を下ろし壁に寄りかかった。
ピトっピトっピトっ
何かが身体に張り付いてきた。
ベローん
ゾワゾワゾワ
途端に全身鳥肌がたった。
なんとも表現しがたい生温かい感触の中に命を削り取られるような肉食獣に睨まれてるような冷ややかな気配で総毛立つとはこの事を言うのではないだろうか。体は反射的にその場からとびのいた。振り返ってみるがその場には何も水分を吸収するような器官は見当たらなかった。
その辺りを触れてみるが単に岩の感触しかなかった。
もう一度背中をつけてみる。
しばらく経つとまた舐められたような感触が残る。またも反射的に飛びのいてしまった。
今度は手の平だけを同じ時間触れさせてみるが反応がない…
やはり岩だけに感度が鈍いのだろうか?
ここでふと思いついた。もしこの舐めるのが養分の吸収行為なら毒を塗ったらどうなるのかと…
ちょうど肌に触れてさほど害はないが体内に入るのは注意が必要な薬品を持っている…
これは試す価値があるだろう…ただあの舐められる感触に耐えないといけない…一度だけやってみよう。
早速武具ベルトに入れてあったパーマ液を取り出した。制服代わりのワイシャツに浸していった。
そのパーマ液に浸したワイシャツを羽織り壁に背を預ける。
暫くするとベローん。ゾワゾワゾワ。不快な感触が襲ってくるが耐える。何度か舐められるのを耐えると止まってしまった。ワイシャツを見ると水分が無くなっていた…
何も変化がないがもう一度やってみる。不快な感触が襲ってくるが耐えているとまたワイシャツが乾きとまってしまう。
パーマ液が尽きてしまったがカラー剤もついでに使ってみた。
ベローんベローん。
クソ〜気持ち悪いがさっきより舐めるペースが早い。カラー剤の方が美味かったのか?それならあるだけ食わせてみるか?手持ちを全部使い舐めさせ全部舐め終わった頃ついに変化が起こった。
ゴゴゴゴゴ
壁がクネクネと動き始めた。
ところが単なる移動をし始めた程度でさほど影響はないように感じたその時。
絶叫が響き渡った。
それに伴い壁が上下左右動き回り中も収縮し激しく動き回っている。
どうやら効いていたようだ。図体がでかいから効くのに時間が掛かっただけのようである。
ゴン!ガン!ドスン!
暴れ方の激しさが増してきた。それに合わせ俺も中では壁に叩きつけられなす術もない。
さすがにここまでのたうち回ると体が保たない。
ダメだ。意識なくしそう。
グゴ〜
壁が突如立ち上がっていった。そして光が入ってきた。上からも下からも…
チャンスだ今なら出れる!
しかし今ある足場はついに垂直になった。
これが意味するところは補助具無しの垂直落下。
胃がフワッと持ち上げられ股の間のものはキュッと縮み上がった。
「のわ〜〜〜〜」
25mほど落とされて幸い下が砂状だったので大した衝撃も無かったが頭上から拳大の石が降ってきた。手で受けるのも痛いし何も無いよりはいいだろうと時空バックを開いて頭上に降る石をバックに吸わせて回避した。
石も止み、バックを手早くしまい、いざ光に向かい走り出すと壁が凄い勢いで振られた。
バサ〜〜
ドン!
俺はどうやら噴き出されたようだ。強かに背中をぶつけ、降ってきた砂に埋まり身動きが取れない中黒い影が急速に迫ってきた。
マジ!?
とんでもないサイズのミミズが真上に落ちてきた。
次あたりヒロイン登場できるかな?
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