23蠱毒(4)
さて足をもぎ取り追い詰め過ぎた蠍が暴れまくって、胴体に攻撃が効きにくいから口に槍を突っ込みますか。
蠍にトドメを刺すべく残ったハサミを牽制しつつ間合いを詰めた。
蠍は攻撃が単調で払うと突くしかしてこない。
これなら払うの時にハサミを上に跳ね上げその隙に口に槍を入るとしよう。万が一に備えて触雷もスタンバイしておかないといけないな。
払う突く突く払い突く。さっきからこのリズム。蠍も動きに精彩を欠き始めているからこのリズムに合わせて飛び込むとしよう。
払う、突く、突く、いまだ!
槍を地面から頭の上まで斜に構え、接近してきたハサミの払い攻撃をロケットの発射台から打ち出したように自分の上空をカッ飛んで行った。
大振りの一撃は見事バランスを崩し大きく隙を作った。
ハサミを横から上方向に逸らしたことにより顔面が無防備に晒された。
この出来た隙で槍を構え直し気で纏い、蠍の口に突き刺した。
深々と1m程突き刺しハサミの間合い内側に入りさらに触雷で追撃。
ビリビリビリ
うぉー!?あぶね〜!
蠍のハサミが感電したことにより強烈な速さで襲ってきたが殴られる寸前で運良く止まった。
どっか神経を刺激して勝手に動いたらしい。
あのまま振り抜かれたと思うとゾッとする。
蠍の動きが尾の方まで感電したような動きになってきたのでさらに槍を50cm程押し込み、槍の先端が急所まで届いたのか一際大きく震えて沈黙した。
槍を引き抜き念のため警戒するが体が崩れ落ちたまま動く事は無かった。。
蠍の沈黙が確認された。
いよいよ絡み合ったまま動けないカニとムカデであるが流石に警戒はしてくるがハサミを封じるのに精一杯なムカデと攻撃手段を封じられたカニ。
それにこの硬そうな2つに俺はどうやったらダメージを与えられるかね?
とりあえず近付いて観察するとしますかね?
ズドーーン
うぉ〜!あぶね〜
カニのやろ〜近付いたら締め上げられてる大バサミをムカデごと叩きつけてきたよ。
ムカデも若干ダメージを受けてるようだし、攻撃できないやつは放っておいて身近な俺にターゲットを移したようだ。
それならそれでムカデはこのまま動けないだろうし、カニの相手でもしてチャンス待とうかね?
それとも何か魔法で一気に片そうか?
そう言えばファン○ルになるハサミもあるけど、この硬い連中にはあまり使いたく無いな〜刃こぼれしそうだしな〜ってこんなのんびり考えてる暇無いんだよ。
テルトを早く探さないといけないんだから、魔法で二匹一気に始末してやる。
モバイルシャワーヘッド由来の『ウォーターラインズ 』
高温仕様の水の線が何本もカニとムカデに当たっていくがどっちの装甲も破る事は無かった。
しかしカニの表面で赤く変色したところが出てきた。
熱ダメージが入ったようでカニは一段と暴れ始めてしまった。
しかし俺は徐ろに跪き、濡れた地面に手を触れた。
『触雷』
手から発した電気は濡れた地面を伝ってカニとムカデを痺れさせた。
まるで最高出力の低周波治療器をやったように脚も腕も変な方に動いて身動きが取れなくなってるようだ。
ストレートアイロン由来の『ヒートプレス』
ついでだから麻痺して動きが遅いのを利用して、拘束にヒートプレスを掛け二匹同時に挾み最高温度で圧してみた。
バキバキ
ジュー
ウワッ臭っ
なんとも形容し難い臭いが漂ってきた。ドブ臭い様なのと牛乳拭いて放置した雑巾の様な、それでいて腐敗した魚の様な生臭さ…
ヤバい具合悪くなってきた…下手な生物兵器より強力では無いか?これ…
ブシュー
ウワッ!なんか汁拭いた…なんかスライムに試した時思い出した…
これってもしかして中の水分沸騰して噴き出したのかな?
そうなると改めて恐ろしい魔法だね…おや?そろそろ終わりかな?
カニは見事に赤く茹で上がった様に生命反応は感じられなくなっていた。
ど〜ん!
二匹は拘束が解けるとともに崩れ落ちた。
二匹とも口から得体の知れない液体吐いてるよ。
うえ〜汚いけどこいつらの硬さは利用出来るから回収だけはしないといけないけど嫌だな〜
戦闘も終わり魔物達を回収終わるといよいよ扉が開いてテルトが居るであろう部屋の道が開かれた。
マップを確認するが敵の表記は無いが、グレーの点が等間隔に並んでいて、1番右端にテルトが居る。
それと1つ動き回っている点がある…
こいつは部屋に入ると敵に回るのか?わからん。
とにかく部屋に行こう
なんだよこれ…
通路を抜け部屋の入口にたどり着き、陰に隠れる様にして中を覗き込むとそこには壁沿いに並べられた女性達が吊るされていた。全員全裸で両手両足は開かれた状態で壁に張っている蔦に固定されていた。
その前には3mクラスの蜘蛛が一匹女性の前に何かを運んで作業をしていた。作業の度に何かをされたであろう女性は絶叫しているのだがこちらからは何も見えない。あまり想像したく無いことをしているのかもしれない。
それにこの蜘蛛テルトが祠に閉じ込められていた時と同じ様な鎖が伸びている。もしかしたらこのダンジョンに拘束され使役されているのかもしれないが現段階では救助対象にはならないだろう。
肝心のテルトは気を失っているのか頭が垂れ下がった状態で壁に固定されていた。まだ腕だけ固定されてるだけでまだ何もされていないのかもしれない。
テルトから視線を隣に移すと…
良かった。
隣には見覚えがある尻尾の娘がいて、どうやら猫系の獣人の様でこの娘も腕だけ固定されていた。
先程の蜘蛛と一緒に地面に飲み込まれた娘の様だ。
そうなるとこの部屋には出口が見つからない。
もしかしたら蜘蛛が空間を転移するみたいな事をしないと出られないのか?
「イヤぁァァァぁぁぁー」
ボトボトボト
突如女性の絶叫が響いた。
先程何かをされていた女性である。
足元には大量の蟻が産み落とされていた。蜘蛛が何かをやり始めると、黒い霧の様なものが集まってきて足元の蟻を覆っていった。すると霧の中から1m位のデカイ蟻が現れ、溢れていった。
何匹かは目の前にいる蜘蛛に襲いかかるがあっという間に喰らい尽くされ、小さいかけらの様なものだけ吐き出し、集めていた。
他の蟻達は突如現れた魔法陣に吸い込まれて、何処かに消えていった。
次に蜘蛛は集めたかけらを持って隣の女の前に行って、一本の脚を女の腹に当て小さな魔法陣を作成した。
すると集めたかけらが腹に出来た魔法陣に吸い込まれていった。
なんだよこれ…
「メガネ何か解るか?」
心の中でつぶやいてみると
「解析中」
と表記され状況把握してくれる様だ。
俺は通したら良いのだろうか?




