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22蠱毒(3)

「チクショ〜さらに別の部屋に行かれちまった」


沢山の虫を蹴散らし、移動した先の部屋には誰も居なかった。いや正確には人は居なかった。


この部屋は中央に闘技場の様な物があり出口が11箇所ありそれぞれの出口の前に異形な姿になってる昆虫達が透明な光で出来た箱で動きを抑えられて並べられていた。

一箇所の出口が色が違うのでおそらくこいつらを倒して生き残ればあの出口に進めるのだろう。

距離的にテルトが居るのはその扉の先。今はこいつらを片すのが優先という事の様だ。

俺がどうやら最後だった様で俺が定位置についた事により、虫達を覆っていた光の箱が全て消えた。

それに伴い昆虫達が一斉に動き始めた。


それにしてもどういう仕組みなのかね〜

カブト虫、クワガタ、カマキリ、ムカデ、蠍、蛾、蜂、毛虫、カニ…

こいつら進化しすぎじゃないか?

カブト虫はツノがほとんど鉈というか刃のついた鈍器に近くなんでも真っ二つに出来そうだ、クワガタは動き見てるとニッパーだなこりゃ多少太くても切断しちまいそうだな。

カマキリはさっきと同じ鎌が四本だし、ムカデは体が鉄の輪っかで出来ててトンネルの外側みたいだ。

蠍は強そうだね〜装甲硬そうだし、こっちのハサミはペンチか切るよりは挟んで逃がさないってところか?

さらに尻尾は定番毒付きの針がありそうだね。

蛾は見た目普通だね、これはさっきの経験で言えば鱗粉が凄いのかな?蜂は動きが早いねホバリングするし尻の針が凄い硬そうになってる。

そして不思議なのが毛虫か?体が柔らかそうなのに生き残ってる…攻撃手段は表面の毛か?わからん…暫くは様子を見ていた方が良いだろう。

カニは…あんなでかいハサミでよく体が支えられてるよな3倍くらいあるぞ…片側だけ特大ハサミで昔のTVで見たシオマネキって奴に似てるな。


えっ?

何でこんなに冷静に分析できてるのかって?

それはね俺がこいつらに比べれば小さいから見向きもされてないんだよね。

カブト虫はクワガタと力比べが始まって鉈の様な鈍器なツノをニッパーの様な顎が挟んで一進一退をしてるけど他は混沌としてるね。

蛾をカマキリが捕まえて、暴れた蛾は鱗粉を撒き散らし、錯乱した毛虫がのたうち回ってるのに巻き込まれて、カニとムカデの装甲に穴開けてる。どうやらあの毛は酸を含む様だ。

蠍も蜂も毛虫を嫌って針を打ち込もうと狙ってる。


ちょっとあれだね10mクラスの毛虫とムカデが絡み合って暴れるとこっちにも被害来そうだよね。とりあえず蛾の鱗粉を止めようかな…

『ウォーターラインズ』

蛾の羽めがけて熱水の糸が何本も襲って辺りを濡らしていった。

鱗粉は水気を含み拡散を抑えていった。

その間に蛾はカマキリに頭を食われて絶命していた。


毛虫の方も集中攻撃を受けてもうほとんど動いていなかった。

しかしその抵抗は凄まじかった様で強力な装甲を持っていた連中はかなり穴だらけになっていた。

ほとんどが毛虫に向いていたので相手のいなくなったカマキリが背後から遅い蠍の尾を切り落とした。さらに蠍が振り向く前に羽を使い飛び蜂を強襲地面に叩き落とした。

しかし攻撃に入った時には隙ができるもの。空中にいるところをカニの巨大なハサミが体を切断していた。

毛虫を締め上げトドメを刺したムカデは上空に伸びカマキリを切断したカニの爪に巻きついていった。

ムカデ的にはカニのハサミが脅威なのかもしれない。

もう一本のカニのハサミはたいしたサイズはないのでさほど脅威ではない様だ。

チャンスとばかりに蠍がカニに攻勢をかけている。

あっ…蜂がムカデに踏み潰されて息絶えてた…何だろう事故死みたいで可哀想に感じてしまった…


なんかあっという間にカブトとクワガタのサシの勝負と三つ巴が出来ちゃった…

何だろうこの疎外感…

寂しくなんかないんだからね!


俺をハブにしたの後悔させてやる!


どうせ動けなくなってるなら発動に時間かかるの使ってやる。


ストレートアイロン由来の『ヒートプレス』

まずはカブトとクワガタに両側巨大鉄板で加熱してやる!


3mクラスの二匹が組み合って頭の辺りが丁度挟め、もう動くことはできない様だ。しかもクワガタの手助けになったのかカブトのツノは切断されていた。

鉄板は固定が終わったのか次第に赤くなり始めた。

だんだん蒸気が上がり、まるで焼き立ての鉄板ステーキの様にジュウジュウ言い始め、二匹の後ろ足はもがいていたが次第に力無く垂れ下がっていた。


さて今度はこの三つ巴か…

さすがにこれは挟めないよなぁ〜

下手に手を出せば全部こっちにも来そうだもんな〜

って言ってるそばから蠍がこちらに気付いて振り向き、こちらに接近してきた。

カニとムカデは締め付けるムカデとオオバサミを開こうとするカニの我慢比べになってるから、こっちは放っておいても平気だろう。その間に蠍とじっくり対応できそうだからこっちの対策考えるとしますか。


急ぎたいところだけど焦ってもロクなこと起きないし急がば回れ、1個づつ確実に減らしていこう。生き残ってるくらいだから個体能力は高いのが確実。

そのくらいの気持ちで挑んでいいだろう。

さてお互い間合いの探り合いに入ってきた蠍だが幸い尾の針は無いから、危ないのは正面の二本のハサミ。

こんなのに槍を取られたら一発で砕かれるだろう。そうなると回り込んで関節などのつなぎ目を狙うしか無いか…

おっと!


いきなり突進しながら時間差ハサミ攻撃。横に回り込み回避するが残った尾を振り回し進路妨害で正面をキープしてきた。

こいつはなかなか侮れない。

何とか足止めしてつなぎ目の弱いところを探さないといけないが…何か手は無いだろうか…

あの装甲に魔法がどこまで通用するかわからないし、地面から飛び出す系の魔法効くのかな?

でも刺さらなくても行動阻害には使えるのかな?

それなら範囲系のヘアブラシ由来の針の筵(ニードルシート)で行動阻害してみるか?

針の筵(ニードルシート)


蠍を囲う様に細い針が沢山出てきて、1m程の長さが脚の前後を埋め尽くし砕いて進むにはパワーが足りない様だ。

中には脚の関節部分に突き刺さったりしているのでうまくいった様である。

ただ胴体を傷つけるにはさすがに難しかった様である。


さてこの隙に針が少ない右側に回って、ちょうどいい距離にある蠍の左半身を槍に気を纏わせ脚とハサミを攻撃してみた。

脚はあっという間になくなりハサミも胴体を付け根可動部分に刃を滑り込ませたら難なく落とせた。この時意外と邪魔してくるのが先端の無い尾の部分。

ここも可動部分中心に隙を見て突き入れると次第に行動が鈍くなり沈黙させることに成功。

このチャンスに胴体に攻撃するもさすがに装甲が厚すぎてダメージを与える事が出来なかった。

仕方なく少し遠目だが蠍の右半身側に移動。

同じ様に脚とハサミに攻撃を入れるが一瞬の隙に取れかけだったハサミを振り回し自分が傷つく事も厭わない暴れっぷりをし始めた。

ちょっと追い詰めすぎたかな?

後が無いと思ってとにかく暴れることに集中したようだ。

これが窮鼠猫を噛むってやつですかね?

うーん?

脚は落としたがこんなとこで時間取られるのも惜しい。


ならば装甲の少ないところで急所に近いところは…口か…?


これしか無いだろう。正面からハサミを牽制し隙をついて口から槍を突き込むしかないだろうな…


果たしてどうなることやら…



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