16テルトの心
ブクマがあると喜んで続きを書いてます
ありがとうございます
熊を討伐してから、気の操作で武器まで移動出来ることが分かって、戦い方が理解出来てきた。
これは数をこなすしかない。
一旦ネルドの町まで先に移動して宿を取ってから、近隣で近接戦闘の訓練をしていった。
やはり刃先まで自分の手の一部と想って、意識を通わせると槍が薄っすらと輝いていた。
それに普通で刺したのと、気を纏わせたのだと切断力や貫通力が違った。
でも基本的な槍の操作なんて知らないので、全然活かせていない実感はあるが、相手の攻撃をいなして間合いを取るには使い勝手が良さそうだ。
今の感じなら槍で中距離を維持して魔法って手もあるし、無理に近距離はしなくても良いかな?
いざとなれば鍔迫り合いで触雷も使えそうだしこのスタイルは良いかもしれないね。
それに今なら移動砲台テルトが居るから、中距離で壁役がいた方が戦闘力上がりそうだよね?
一方その頃テルトは…
(ケントが自分の世界に入っちゃった〜つまらない〜)
接近戦の練習として先制攻撃で弱らせてはいるが基本的に見てるだけ。
まだ半分も力が解放されてなく自分の出来るのは各属性のボールや矢など初級の攻撃方法くらい。
ケントと触れ合って封印が少しづつ解けてはいるが、まだまだ魔力も少なく下位の魔獣とやり合うのがやっとである。
それにしてもケントとは不思議な人物である。
いくら異世界から来たとはいえ戦闘センスはまるで無し。しかも魔法なんて使えない状態なのに内在していた魔力は見た事もないほど濃密でそれでいて底が見えないほど溢れていた。
あまりにもその魔力が美味しそうで頂いた時はサッパリとしているのに奥行きのある濃厚な味わいでありながら後にあるのは清涼感という不思議な感じであった。
あまりにもその味が衝撃的で夢中になって吸い取っていたらケントは気絶しちゃったけど、私の封印がそれだけで解けちゃったのには驚いちゃった。
それからいろいろちょっかい出して魔力を少しづつ貰いながら魔法を使いたいって言うから、わざと襲いながら弄ったら私もかなり活性化しちゃった。でも一回だけで魔法が使えるようになったのは不満だな〜しかも私が見た事もない魔法をバンバン使うんだもん。悔しくなっちゃう。本当は毎日ちょっとづつ使えるように計画してたのが無駄になっちゃったわ。
でも良いの。予想外に誘惑が効かず悩んでたらチャンスが来たの。偶然だったけどきっかけさえあればこれからもお願いできるし、魔力回復に必要な行為って事にしたらケントも納得してたし、これからも封印関係無しにいろいろしちゃおうかな?ウフッ
レホの村を拠点にするって言ってたし、静かなところで2人っきりで過ごすのも良いわよね?
そのうちあいつらへの仕返しに協力してもらうのにしばらくは良いよね?
放っておくと今みたいに自己鍛錬に夢中になっちゃうし強くなりそうだわ。優良物件ってやつかしら?
今は目立ちたくないって通常の冒険者に見えるように武器の戦闘訓練してるけど…
魔法で武器を覆うって…もうそれ普通じゃないの気づいてるのかしら?
でも強くなるなら良いかしら?私も参考になる事多いし、それに魔力操作で出力変更がここまで使えるなら私の魔法も今の出力で威力を上げる事の参考になるわ。後でコツを聞いてみましょう。
彼奴らに挑むには私もいろいろ学ばないといけないしね。
「お〜〜い!テルト〜〜今日はもう戻ろうか〜〜?」
あっ!ケントが呼んでる!
でももう宿に帰るなら少しストレス発散させて貰おうかしら?
ケントの魔力操作見てて思いついた事あるし、ケントならダメって言わないはずだし、感想聞くのも良いわね。
「ねぇ〜ケントぉ〜あなた見てたら魔法を試したくなっちゃった。見てもらっていい?」
「いいよ〜じゃあ向こうに魔物居そうだから行こうか?」
これこれ私が気になるのがこれ!なんでわかるのかしら?私も気配探知は結構出来るのに何も感じないのよね?
「なんでわかるの?」
「ん?あ〜言ってなかったっけ?このメガネがね教えてくれるんだ」
「そうなの?貸して?」
「ごめんね。これ呪われてるのか外せないんだ」
「ふ〜ん」
テルトは信じられないのかケントのメガネを弄ったり外そうとしたりしてみるがビクともしない。呪いの魔法を検知してみるが掛かってはいないようである。それでも気になって至近距離で観察しているテルトにケントはドキドキしてしまい、悪戯も含めテルトの唇に自分の唇を軽く重ねた。
チュっ
メガネの観察に意識を向けていたテルトは突如訪れた唇の感覚に意識を向けても何が起きたのかしばらく解らなかった。
目の前には悪戯を成功させて微笑んでるケント。
自分の唇に指を触れ次第に脳が覚醒して情報を整理していった。
(なになに?何が起きたの!?)
(もしかしてケントがキスしてきたの!?)
そこに思い至ったテルトは予想外に顔が熱を帯びるのを感じた。
(やだ〜自分からするのはなんともなかったのにされるのってこんなにキュンとしちゃうものなの!?)
(こんな気持ち初めて私どうしたらいいの?どうなっちゃうの?わからないわ)
「さあもう行こうか」
ケントはそう言うと私の手を握り魔獣のいる方へと歩き始めた。
(なんで私こんなにドキドキしてるのかしら?でも懐かしい感覚なのよね〜)
(そうか!改造される前の人として扱われている時に味わった感覚だ!改造されてからは道具としてしか扱われず、封印されてからは長い事1人でいたし、人として扱ってくれる事に喜んでるんだ)
(そっかーこの人ならあの時の少女だった頃の人として持っていた感情に素直になっていいのよね?でもこの人の魔力もらって洗脳されただけかしら?)
(でもいいわ!騙されてたっていいわ。もう忘れてた幸せな気持ちが思い出せただけで今は十分よ)
(このまま宿に戻ってケントを襲いたいけど、せっかく見つけてくれた魔物でこの嬉しさを表現しましょう)
その頃テルトの心の変化を解らなかったケントは…
やっべ〜不意打ちのキスでいつもの仕返しにと思ってやったけどテルトは嫌だったのか!?
魔法の威力がとんでもない事になってる…
確実にオーバーキルだよ…
ストレス溜まってるのかな?
今この娘に捨てられたら俺生きていけないよ…
もっと尽くさなきゃ…
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人名考えるのが結構大変。
何かいい方法無いかな?