14有名人?
ゴールデンウィークってなんですか?
「これはどうしたんだ?なぜお前が持っている?」
そう言うと一本の剣を手に取り俺に問いかけてくる武具屋のロレッタさん。
「魔物の腹から拾った事しか記憶が無い」
「そうか…これ借りて良いか?確か褒賞が出ていたはずだ。」
「ああ。構わんぞ。他の鑑定はどうする?」
「今使いの者を出すからその間に進めるさ」
ロレッタさんは隣の家に行き何か伝えて戻ってきた。そこからジャンル毎に分けて武器防具をレア度別にして説明をしてくれた。
売るにはもったい無いベースとして改造した方が良いものもあるようで、邪魔じゃ無いならしまっとけと言われたのも有るが、なかなか良い状態の物も多く、買取はなんと金貨1枚にもなった。
どうやら貴族向けの装飾武具が多かったようだ。そうなるとあのミミズ貴族の討伐隊丸呑みしたのだろうか?ミミズの中に有ったもの全部鑑定した方が良いのかな?
考え事をしているとテルトが店内を物色していた。ロレッタさんも遣いがすぐ来るだろうけど暇なら見てくれといろいろ出してきた。
お言葉に甘えて物色するとどっかの狩りゲーム見たいな武器が有ったのには驚いた。いろいろ試しに持たせてもらったが自分の身長より有りそうな分厚い剣を振り廻したり、両手斧を持って振り回したが俺には向かないようだ。
そりゃそうだ使ったこと無いもん。結局ロレッタさんの店には予算内で俺の使える武器が無かった…
ショックを受けて凹んでいると…
「待たせてすまない。おや?また君達か!?」
振り向くとそこにはスルピーノさんが立っていた。
適正武具が無いことで凹んでいた俺は蚊帳の外で話が勝手に進んでいた。
どうやらあの剣はシュワルツ伯爵家の家宝の剣のようで、行方不明となっていた長男が持って魔獣討伐に赴いたそうだが長い事帰って来なかったようで、これで世襲が正式に決まりこの地区の政治が動き始めるそうだ。
そのための褒賞も上乗せされて出るようだ。
ちょうど明日ギルドでもらう事になってるからそこに一緒に貰えるように手続きしてくれるとスルピーノさんは言ってくれた。
何か知らんが思った以上にお金が手に入ってしまうのかもしれないな。
とにかく明日になるのを待つしか無いのかな?
スルピーノさんも帰り俺たちも何も買うものが無いからお暇する事にした。テルトに声をかけ店の入口に向かっていった。
しかしこれだけ種類あればどうせならゲームで使い慣れた銃槍や軽弩も欲しかったな〜
ピピッ
なんだ?メガネが何かピックアップしてるぞ?槍?しかも処分セール品だぞ?壊れたか?
合成素材?これになんか足せって事か?銀貨1枚なら騙されたと思って買っておくか?
俺はメガネに導かれ槍を手に取った。
バチーン
手に取るとまるで静電気でも起きたような衝撃が走った。
しかし何も起こらなかった。
ロレッタさんに銀貨を一枚支払いもらって帰ってきた。
宿に帰るとタガの外れた俺は猿とかしたが詳細は割愛します。
翌日
ギルドに向かうと着くなりスルピーノさんに連れられ、馬車に乗せられてしまった。
コトコト馬車に揺られて1時間。
でっかい屋敷の前に連れられてきてしまった…馬車を降りるとそこには黒いロングスカートのメイドさんとビシッとした格好の執事さんが両側に並んでお辞儀して出迎えておりました。
これは大変なところに来てしまったようです。
テルトは昨日買った服でビシッと可愛くなってるから良いけど、俺はありきたりな町人のままで大丈夫なのだろうか?
スルピーノさんに連れてこられてるからそのままでいるとしよう。今更何もできないしね。
コンコン「カイル様。ギルド長をお連れしました」
先導してくれたメイドさんが声をかけて「入れ」と中から声が掛かり俺たちも中に通された。
「よく来てくれた。ケント殿」
中にいた青年が近付き握手をしてきた。
「そなたの腕を見込んで私の騎士団に入らないか?」
「カイル様すでに我が猟団も勧誘中ですので」
なぜか始まるスカウト合戦…
「あの〜どう言う事でしょうか?記憶が無いのでまったくついて行けないのですが…それに記憶が戻るまではレホの村で過ごそうと思っております。あそこは何か思い出せそうなので」
「そうかその方の女も狐人族ならレホの村は差別もあるまい。だが実に惜しい中央の偏屈共が余計な差別を持ち込みよってこの地も腐敗が酷い。一層の事剣も手に入った事だし南部の開発を手がけようか?」
「カイル様本当ですか!?南部に拠点ができればギルドとしても秘境探索のリスクが下がります。それに開発の名目で亜人奴隷を連れて行けば差別主義者共から徴収も可能ですよ」
なぜかカイル様とスルピーノさんは盛り上がってしまい中央から何を引っ張るとか誰を連れて行くとかそんな話が始まってしまった。
「な〜テルト俺たち何しにきたんだろうな?」
「早くお金貰って帰りたいね〜」
2人で出された紅茶をちびちび飲みながらこの国の政治が混沌としているのを聞いていた。
「いや〜すまんこちらの話で盛り上がってしまった。国の縄張り争いが酷くてね、君達が持ってきた剣でやっとチャンスが回ってきたのだよ。待ちくたびれただろう。早速褒賞の話に移ろうか。まずは剣から行こうか。シュワルツ伯爵家より家宝奪還で金貨20枚、私個人より金貨5枚だ」
「では私の方で魔獣に関してです。まずは双頭犬は領主カイル様より金貨1枚ギルドより金貨1枚こちらは魔石は別にしております。続いてキングランドワームですがこちらは領域外の魔獣ですが危険度も高いのでギルド本部の基準に基づき金貨3枚とこちらは魔玉が出ましたので換金せずに持ってきました」
「ここまで純度の高い魔玉は滅多に出ない持っていて自分の武具改造に使った方が良いと思うぞ」
そうなのか…魔石、魔玉は改造に使えるのなら集めてみるか…金貨も合計すれば30枚だしこれだけあればしばらく生活できそうだよな?良しとしよう。
「アドバイスありがとうございます。では魔石と魔玉はそのままでいただきます」
テルトの顔を覗き込むと頷いてくれる。これで良かったようだ。
「ケント君そのうち君を勧誘にレホの村まで行くから、それまでに記憶を戻しといてくれたまえ」
「カイル様抜け駆けはずるいです。こちらもレホの村にギルドを正式に出すからケント、猟団も検討してくれ」
「あの〜なんでそんなに俺にこだわるんですか?」
「「今キングランドワームを狩れる者は君しかいない」」
2人してハモりましたよ…俺とんでも無い事して目をつけられちゃったみたいです…
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