102復興支援城下町
荷車二台を引っ張って進む装甲車は道幅を見ながら慎重に進んでいたのだがタウザンフォールが近づくにつれ、ナタリー指導の道拡張部隊の頑張りでスムーズに通過出来て、しかも滝裏洞窟を通らず山頂に回り込んで進める道も作られて移動は快適だった。
ソウワルガが近づくと整備された道はなかったが衝撃吸収の機能が良かった様で軽快に飛ばせていた。ソウワルガが近付いて一旦装甲車はしまい竜車二台で街に入り街が混乱しない程度で買出しと情報収集を行っていた。
ところがどこで噂を聞きつけたのかナフラツ行きの馬車(竜なんだけどなぜか馬と広まっていた)があると噂が出回り一攫千金狙いの冒険者が乗せて行ってくれと駆けつけてきていた。荒くれ者も多いがこういう時は頼りになる。
ナフラツ周辺も危険だから護衛してやるって売り込みだったがこれはこれで使えそうだな。第一便で使ってみて試してみよう。
二台の竜車に分乗して前の独立四輪に俺達とゴルドに数人の冒険者、もう一台のエア浮上式にジャック達ファーストメンバーとガロード、なぜかソウワルガのギルド職員で出発した。
道中魔獣や魔物の群れが襲って来たが冒険者達もなかなかの腕前で問題無く、このままナフラツを拠点にして冒険者生活をしていくそうだ。
移動は思っていたより冒険者が頑張ってくれていたので大容量の搭載量でも問題無く走る四つ足の竜が飛ばしてすぐに着いてしまった。
途中でゴルドが冒険者を気に入りボロボロの剣で苦戦していた連中に持ち込んでいた剣を渡したのも影響があった様だ。
ナフラツに着いてからは冒険者やギルド職員と別れて一旦メリス家のウォルターに会いに行こうと思っていた。だがその前に活動拠点を整備するのが先になるかな?
「ジャックにゴルドここ任せていいか?建物出せそうなところ探して整備しといてくれ。ガロードはどうする?輸送の采配は任せるから自由にしてくれ」
「わかった。シャロル何人か連れて街中を偵察しといてくれ。ゴルド俺達はまずは瓦礫の撤去で空き地作りか?」
「おうそうだな。早いところ武器を出してやらんと戦ってる連中もきついだろうて」
「それなら荷台で簡易販売でもしますか?こちらもすぐに移動よりは魔物を捕まえて餌にしてあげたい頃ですから」
「おう。なら使わしてもらうぞ販売価格は魔物一頭で先着2名は確保しておこう」
こっちは大丈夫そうだねでは現存する1番大きな建物に向かうとしよう。
ナフラツは一度魔物に蹂躙され再奪還した地だけあって、街壁は所々穴が開いていまだにその穴から侵入してくる魔物もたまに居る。住宅は軒並み崩壊して一部貴族の屋敷などが現存していてその中でも1番まともな所をメリス家が入り陣頭指揮をしているので今はそこに向かっている。
騎士団も一度崩壊していたが生き残りをかき集めてアレックス・バトラーが中心になり再結成して騎士団詰所、ギルド兼宿泊所の警備が行われているそうだ。まだこの地は主要な建物がそのくらいしか無いが徐々に冒険者が集まって来ていて自分達の生活域を作っているそうだ。
そんな話を収集しつつ目的のメリス公爵家にたどり着いた。
メリス家では誰もが走り回っている様だった。忙しそうだったが侍女を捕まえてウォルターにケントが面会に来たと伝えてもらった。
一室に案内され待つこと数分。
「ケントもう戻ってきたのか?驚いたぞ」
「いや〜仲間に相談したらなんだかんだみんな協力的で必要そうな物資もそこそこ集めて来ましたよ」
「すまない感謝する。本当なら父と妹にも紹介したかったが今はあいにく席を外していて俺しかいないのだすまぬ」
「気にするな。それに竜車を扱ってるやつと鍛冶屋も連れてきて、薬草があれば俺が回復薬作れるから遠慮無く行ってくれ」
「本当か!?騎士団の武器も磨耗が激しく輸送も追いついていない。しかも怪我人が続出で治療も追いついていない。早速で申し訳ないが紹介してくれぬか?」
「ああ構わないが怪我人がいるならそっち先の方がいいんじゃ無いか?」
「そうだな今手持ちはあるのか?それならすぐにでも騎士団の詰所についてきてくれないか?」
「ああ行こう。アーネすまんがゴルドとガロードに連絡しといてくれないか?」
「かしこまりました」
ウォルターと共に別棟というか隣の健在な建物に向かい広間に寝かされた沢山の包帯ぐるぐる巻きの人達が所狭しと並べられていた。中にはいつ死んでもおかしく無い状況の者もいて、状況を確認後ウォルターに言われる前に動き始めた。この時時空バックはジャックに預けてあったので手持ちがあまり無かったがそれでも数本上級回復薬を普段から持っている分があったのでざっと辺りを確認しトリアージして危険度の高い者に上級回復薬を置いていき手の空いている者に飲ませるかそこまでの力も無い者には振掛けるなりして治療を頼んだ。次に重症を負っている手足の欠損している者に欠損再生剤を投与。この時点ですでに治療を行った者は50人を超えていたので、さすがに手持ちが尽きてしまった。
まだまだ怪我人は多いが回復薬が追いついていない。
重傷者は回復しても復帰まで暫くは時間がかかるのでいきなり戦力にはならないが死の危険性からは回避に成功はしていた。あとは中級回復薬で治療でもなんとかなりそうなものも多いので時空バックを取りに行って材料の薬草から中級の製造をやる事になりそうだ。上級は数に限りがあるしまだ怪我人が増える可能性があるから暫くは温存かな?
あとここにきてありがたい誤算が2つ有った。
まずはテルトが人体構成を把握出来たようで魔法で回復促進を行えるようになり、すぐは治らないが治りが早くなる魔法が使えるようになってくれて、軽症の者を中心に治療を行ってくれた。
もう1つがリーブなのだが龍の涙に薬効が認められ回復薬として使用可能レベルに達したそうだ。まだ効果は薄く症状の緩和程度だがそれでも今後に役立つ変化だった。
ただ一部の変態を増産してしまっているのはどうにも出来なそうだ。
聖女と崇める者やあからさまなに美少女の体液をなんて呟く病んだ連中もいたのだが一旦三途の川に送ってやろうか?
意外にも自分が嫉妬しているのに驚くケントだった。