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エピローグ

 街の復旧を始めて、早二日、アレクが持って行ってしまった石畳も今では元どおりだ。騎士達も特に大きな怪我もなく、住民に怪我をした者はいなかった。だが、それよりも大きく心の傷を負ったように見える。

 アレクは、何でも屋として有名人だった。街を歩けば声を掛けられる、気さくで、多少気難しくはあっても、芯を持った好青年であった事に間違いはない。その彼が、あらゆる禁術を駆使し、国に刃向かった。何処と無く裏切られた気分になる者も少なくないだろう。その中で一際ダメージを負っていたのはその国のトップだった。

 今日もまた、町娘の格好をして酒場で酒を飲んでいた。その隣には少し顔を隠したユリウスも一緒だ。巻き添えを食らった形ではあるが、これも幼馴染のよしみだ、少しくらい付き合ってやらねばなるまい。

 いつもアレクが座っていたとマスターが指した椅子に腰掛けて、急に泣き出した時は流石に驚かざるを得なかったが。

「これ、やっぱり美味しいね」

「お褒めに預かり光栄です」

「そんな硬くならないでよ。今はただのニアだから。ねえ、私のカクテルも作ってもらう事って出来るの?」

「既にそれに近いものならございますよ、試してみますか?」

「えぇ、お願い」

 祝いの席で腹が膨れるほど飲んできているおかげか、彼女に酔った様子は一切見受けられない。

(まぁ、酔って貰っても困るんだがな)

 昨日もここにきていたせいで業務が滞っているどころの話ではない。神官も大臣達も口々に不平不満を言ってはいるが、その実、彼女に直接言う者は誰もいなかった。ニア、ユリウス、アレクの三人の関係を知っている者からすれば余計に口に出しにくいものだろう。

 だが、遠慮など知らぬ男もいる。

「ここにいらっしゃいましたか。戻りますよ」

「フィスト…、もうちょっとだけ、ダメ?」

「ダメです」

 ゴッ!「いったぁぁ………」

 ゲンコツが頭頂部を割る。鉄拳と呼ばれるだけあって、その拳はかたく、痛い。

 頭を抑えてカウンターに沈むニアをみてユリウスは苦笑いしながら、起こそうとするフィストを制した。

「これはニアが自分で立ち直った時に言おうかと思っていたんだが、君の部下がせっかちなおかげで、今聞けるぞ」

「何がよぉ〜…」

「アレクの伝言。聞きたくないか?」

「きく!」

 椅子からも立ち上がってユリウスに詰め寄るニアの頭を抑えて、ユリウスはその言葉を伝えた。

「またな、だそうだ」

「またな…?」

「あぁ、不条理でもなんでも、気に入らない事を全部ひっくり返して、必ずここに返ってくるそうだ。だから、再開の言葉を、俺たちに残してくれたよ。さぁ、どうする国王。あいつは一人前の、いや超をつけてもいいほどの立派な魔術師になったぞ。君はこれでいいのかい?」

 コト、とグラスが置かれる。カクテルとは思えないほどの透明感だ。

「これが…そのカクテル?」

「いいえ?水ですよ。お仕事、なんでしょう?なら少しは飛ばさないといけませんからね」

「…そうだね。よっしいっちょやったりますか!」

 ぐい、とグラスを傾けてカウンターに叩きつける。

「マスター、また来るからね!」

「お待ちしています」

 酒場から出て、くぅー、と伸びをする。アレクが去っていった方向に見向きもせず、彼女もまた、自分の道を歩き始めた。

どうも初めまして如月です。

コンテストに出すのは初めてです。自分としても納得のできる作品が…出来ませんでしたね。ひっじょーに自分の中で中途半端です。くそ、インターンなんて…。

とは言いつつ、書いたからには読んでいただけるとすごくうれすぃです。無事こっちが書き終わったので(完結とは言い難いですが)転生騎士に戻ります。書かなきゃ(使命感

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