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それから
「あなたはだぁれ?」
「すっっっっっっっっっっっっごいおうたじょうずだね!」
僕は聞かれた名前を答えるより先に目を輝かせて力いっぱい拍手をしていた。
僕らが仲良くなるのにそんなに時間はかからなかった。
彼女も僕も音楽が好きでいつの間にかお互いの家に遊びに行く仲になるほどだった、
僕の家に来た時は僕がピアノを弾き彼女が歌った、逆に彼女の家に行ったときは一緒に歌ってたまに踊ったりもした。後で知ったのだが彼女の母がダンススクールの講師だったのだ。
彼女といる毎日は楽しくいつの間にか小学生も卒業していた。
中学校では一緒に合唱部に入った。男子が少なく少し恥ずかしかったが彼女と入れれば大したことではなかった。
合唱部ではなぜか伴奏をやることになってしまった。先輩に遠慮して何度も断ったのだが最後にその先輩が「弾くより歌うほうが好きなのよ」と言って強引に伴奏役にさせられてしまった、今思えばあれは部のことを考えてのウソだったのかも知れない。