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大陸史3
美しさも、自由も、可能性も、金や権力も、愛さえもナギは生まれた時から全て姉に奪われている。
今では、この国で彼女を意識するのはこの老婆だけである。
ナギのその宿命はあまりにも残酷で、老婆は孫のような王女の不幸を時々こうして嘆くのだった。
「ナギ姫、良く覚えておいで」
幼い王女の歩む道が悪路であると、老婆にはわかっている。
だからこそ、言わずにはおれないのだ。
「人はね……幸せでありたいなら、そうある努力をしなければならないんだよ。
他の誰かから与えられた幸せは、きっかけにすぎない。
ちゃんと自分のものに出来るかは、本人の努力次第だ」
幼い王女の幸せを願い、老婆はその小さな身体を抱きしめた。