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二話

 ホルスが村長の家に辿りつくと既に二人のホルスと同年代の子がいた。

 

「あ、ホルス君こんにちはー」

「二人とももう来てたんだ」


 間延びした話し方でホルスに真っ先に挨拶した少女は、多少痩せてはいるものの、可愛らしい顔立ちをしており、緩くウェーブした明るい茶髪が胸元まで伸びている。

 身長はホルスよりも多少低いほどで、同年代ならばそれでも大きいほうだろう。もう一人いたホルスと同年代の少年は、椅子に座りながらうつらうつらと船を漕いでいる。

 

「ほらほら、レイ君も起きてー。村長さんきちゃうよ?」

「んあ? おぉ、やっとホルスもきたか!」

「おう、おはようレイス。こんにちはミナ」


 ミナと呼ばれた少女は嬉しそうにはにかみ、レイスと呼ばれた少年は慌てて口元の涎を拭っている。

 この三人が今年祝福を受けることになる子供達だ。レイスはホルスやミナよりも小さく、百三十に届くかどうかといったところの赤茶色の髪がところどころ跳ねているのが活発そうな印象を受けさせる少年だ。

 この二人がホルスがよく一緒に遊んでいる、所謂幼馴染といった関係だ。

 

「おや、ホルスも来たか。ふむ、では明日のことを説明しようかの」


 ホルスが二人に近づいたところで奥からこの村で村長と呼ばれている、初老の男が出てくる。手には湯気の立った器が四つお盆のようなものに載せられていることから、どうやら湯を沸かしていたのであろう。

 

「村長さん、お邪魔してます」

 

 ホルスが挨拶をし、席を勧められたところで器に注がれた白湯を勧められる。村長――アーネストは一息ついて、三人を見回してから口を開いた。

 

「さて三人とも、明日は祝福の伺いの日であることはわかっていると思う。まぁ、特になにかしなくてはいけないこと、などはないのだがね。祭りの主役なのだから、楽しみなさい」


「はい」

 

 三人が異句同義の返事を返すと、嬉しそうに目を細めるアーネスト。

 

「ただ三人には神様がたへの生贄へ火をくべてもらうだけだ。祝福自体は朝には受けられているだろうから、昼間のうちはその祝福に慣れなくて戸惑うかもしれないから、そこは注意しておきなさい。ちなみに三人は祝福してほしい神様の希望はあるのかな?」


 まぁ、希望が通るわけではないのだが、と続ける。それに大して真っ先に口を開いたのはレイスだ。

 

「俺は戦の神様の祝福がほしい! 町に行って騎士になるんだ!」


 夢を見る目、と言うのだろうか。キラキラとした星を目の中で大量にたたえるレイスは、夢を追う少年なのだろう。剣を握る振りをしながら、両手を頭の上から振る動作をする。

 

「私はー、そうですねぇー光の神様が祝福してくれたらうれしいかなー」


 にへらっと音がしそうな笑みを浮かべるニナがいった神は主に、治癒を司る神の系譜として知られているものだ。この世界にある神殿の神官にも光の神の祝福持ちが多いのは、常に人から必要とされる、といった背景があるのだろう。

 二人が答えてから、ホルスに視線が集まり、彼は苦笑いをしながら肩をすくめた。

 

「僕は、出来れば炎とかが良いかな。次男だし、いつかは村を出なきゃいけないだろうから」

「ふむ、まぁ冒険者になるにしろほかの町に行くにしろ、確かに炎の神の祝福持ちは得であろうな」


 主に攻撃を司ると言われる炎の神の祝福もちは少ない。逆に光の神の祝福持ちの方が多いほどであり、その利便性から、炎の神の祝福を受けた人間は色々なところで重宝される傾向にあるのだ。

 

(それに、折角の異世界なんだから! 魔法を使いこなして胸躍る冒険をしなくては漢ではない!!!)

 

 実は冷静に見えて、内心はこれでもかとはしゃいでいる、前世と合わせたら三十路の漢ホルス。いつまでも浪漫を追い続ける男である。

 

「はっはっは。まぁ、神様は気まぐれというからなぁ。強く求めれば与えられるかもしれんしのぅ? それと、祝福を受けた神様の名前は恐れおおいものだ。あまり他人に漏らすでないぞ?」


 それでは、といい三人に家に帰るように促すアーネスト。最近は日が落ちるのが遅くなったとはいえ、日が完全に落ちてしまっては子供だけでは危ない。

 このような村では道の整備も十分には出来ないし、何よりお隣さんといっても十分以上離れていたりするのだ。

 

「はい、それではまた明日」

「お休みなさーい」

「あーお腹空いたー。村長さんお休み!」


 三者それぞれに挨拶をし、赤く染まった道を各々の家に向かって足を勧める。

 明日への期待を三人とも隠しきれずに。気まぐれな神が、どうか自分の願いを聞き届けてくださるようにと。

 

中々書くのって難しいものですね……

次は主人公がちょとしたチートになる予定です!

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