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1年目の一日㋱

ある日の朝8時。

完璧に学校は遅刻だが気にしない。誰も怒る人なんていないからね。

下の階で騒ぐ声が聞こえる。なるだけ無視を心がけるが静かな朝には不向きな雑音になっている。

仕方がないから僕はパソコンをつけ自分の世界にこもる。


ケータイが揺れた。開くとメールがきていた。

「今日、大事な事があるから午後からでもいいからきて」

親友とも呼べる学級委員からのメールだった。理由もわからず行くのは自分にとっていやな事である。

それはまぁ、わがままの部類ではあるんだろうが、何せ急に呼び出され、朝から雑音だらけだというのに、いらだちを覚えない人のほうが珍しいはずだ。

「なんで?」

無機質なメールを返す。よほど暇なのか、返信は1分も立たずして帰ってきた。

「職場体験の内容決めるのと転校生がきたんだよ!」

喜んでいるような絵文字をつけてやってきた。

まず悩みを1つずつ解決しよう。

一つ目:職場体験・・これは僕が元々行きたかったやつ。気になってたんだよね。やってみたいなって。将来なりたいものなんてないんだけど、音楽の関係につけたらって思って。ギターと歌とダンスはできるから。まぁ、自慢に聞こえるかもしれないね。


二つ目:転校生・・こんな時期にと感じてしまう。なにせ今は2年の夏休みまじか。っていうか1週間後が夏休みのはずだ。

まぁ、変わり者がいるのだと流してしまおう。それがいい。

「転校生って女?」

そこが重要である。ってまぁ恋愛したいとは思わないが一応聞いておくのがルールだと思う。

「女と男。双子らしいぞ。容姿端麗だ。」

すこし興味を引いた。午後から行こうと決意が固まった。

しかしまだ9時半。昼までは3時間ある。どうするか・・。

いつの間にか下の階の雑音が静かになっていた。窓を開けていたため心地の良い風が吹いてきてベットニ寝転んでいると眠気を誘われた。うとうとと、目を閉じたその時

階段を上ってくる音。怒りを込めたようなずっしりとした足音が聞こえる。聴きなれたが恐怖に委縮してしまう。「あいつがきた」と心の中の自分に告げた。

ガチャとドアノブがゆっくりまわされた。心拍数が異常事態に警告を促すように騒ぎ立てている。静かな空気をはじけさせる足音と雑音にしかならない心臓が空気を張り詰めさせる。

遊翔ゆうと

静かに名前が呼ばれる。その声は無機質なつくりで独特の低い声を醸し出している。

息を、心拍数を、声を、恐怖を、押し殺すことしかできない。ばれたらおわりだ。

隙間から見えるそれは実に不思議なものだ。

目の焦点があっていない黒の瞳。まばらに茶色く長い髪、笑ったまま硬直したように釣り上がった口。



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