父と兄の攻防戦(笑)
な、なんじゃこりゃあああああ!!!!????
と、思いっ切り心の中で叫んだ私。
いやもう、どびっくりですよ。
王都ってどこもかしこも観光都市だね!
中世ヨーロッパに迷い込んだ様な、街並みが広がっているだけじゃなく。
アマハ家の自宅(?)も、お城ですよ。豪邸です。
お姫様気分を味わえるけれど、庶民からしたらちょっと怖い感じです。
入り口のホールも大きくて、なにここホテルじゃないん? って思うほど。
飾ってある花瓶とか割ったら、損害多そうで怖すぎ~~~ぃ。
入り口で「お帰りなさいませ」と待ち構えていたメイドと思わしき人もいたが、その内何人がアンドロイドなのかは傍目には解らない。
実質、半数以上はアンドロイドだとは思う。
機密保持の為とかで、信用の出来る人間しか周りに置けないんだとまえにぼやいていた事があったし。
美術館の様な回廊を歩き、父様と兄様の待っている部屋へと案内される。
「こちらでございます」
感情の入らない声で、メイドがドアの前に立つ。
「何か御座いましたら、お呼び下さい。ご主人様」
「解ったわ」
口調と任務をこなしている体からして彼女はアンドロイドだ。
ぺこりと頭を下げて、身体を反転し何処かへと歩いていく。
コンコンコン。
母様が木製の扉のドアを叩く。
慌てた様な音が聞こえ、扉が勢い良く開かれる。
「お帰り、二人とも!」
満面の笑顔で、父様のレオン・ルシェルシュ・アマハが両手を広げて待ち構えている。
「ただいま、レオン」
父様の頬にちゅっとキスをして、母様は父様と抱き合う。
金髪、青瞳の、小麦色の肌と違和感無い均整の取れた体格の美丈夫と、美女の二人が抱き合う姿は絵になるなぁとのんびり見てしまう。
「ここに来るまで問題はなかったかい?」
そう聞きながら、父様が母様に頬にキスのお返しをする。
「ええ、何も問題なかったわ」
「それはよかった」
うんうん、と頷いてから父様は母様から手を離し、私の方へ視線を合わせる。
うっ! ヤバイ、美形パパがロックオンしたぞ!
思わず、足が後退しそうになる。
「ナツキ、どこ行こうとするのかな?」
父様は微笑んでいるが、どこか咎める口調だ。
「え、どこにも行かないよ?何言うのかな?父様は」
あはは、と笑って誤魔化す。
「じゃぁ、おいで」
父様は私の背に合わせる様にしゃがみ込んで、腕を広げた。
うううう。
ハズイよー。公開処刑だよねコレ。
ええい、飛び込まなければ更なる悲劇(笑)が待っているんだから度胸を決めるのよ、私!
「ただいま、父様~」
笑顔を貼り付け、腕の中に飛び込む。
すると、軽々と抱き上げられ。
「会いたかったよ~。愛しい娘」
私がほっぺにキスする前に、父様からの熱烈な、ほっぺにチューが降る。
「~~~~っ! くすぐったい~~」
私が腕の中でじたばたしてると、父様の足元でごすっと音がする。
「痛いぞ、コウ」
サファイアの瞳が父様を睨んでいる。
白金の髪をかき上げて兄様、コウ・ルウィン・アマハが言った。
ごすの音源は、兄様の足蹴りだった。
「父様こそ、独り占めはダメだって言ってた筈だ!」
成長した兄様は私を奪い取れる位の身長を得ていたので、私を父様から奪い取る。
「大丈夫だったか?」
「……えっと、うん」
貴公子の笑顔を向けて来る兄様に、どきまぎしながらこっくりと頷く。
「元気そうで安心したよ、お帰り、ナツキ」
「うん、ただいま。兄様」
兄様の頬を両手で添えながら、軽くちゅっとキスを送る。
嬉しそうな笑顔で笑う兄様は、ステキだ。
これが、私限定ってトコロが嬉しい気持ちもあるが、先行きが不安にもなる。
シスコン街道まっしぐらは……ね、イタダケナイよホント。
「コウ!お前だけずるいぞ!!ナツキ、父様にもして!」
美形パパの顔が歪む。
――――泣きそうになんないでよ。私が悪いみたいじゃない。
「……父様」
ちょいちょいと手招きして、近付いた父様の頬にキスをする。
「ナツキ~~ぃ」
父様が破顔して私を抱きしめようとするのを兄様が、ひょいっと避ける。
父と息子の間に火花が散る。
お人形宜しく抱き上げられている私は、逃げようがないので困る。
助けを求めるように母様を見ると、楽しそうに笑っている。
間違いなく、面白がっている。
収集つかなくなる一歩手前まで、観戦する気だ!
誰か助けて~~~~~~~~~っ!!
私は、心の中で叫んだ。
兄様&父様が出てきました~。




