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対抗戦を切り抜けろ! 3

200,000PV突破!! 大大大感謝です。

有り難う御座います。

 ずらりと列を成す、王立聖騎士団の灰色の騎士の制服を着た見習い達。その中の中央の二列が、足並みを揃えて左右に外側へ斜め一歩ずれる。

 割れて人が通れる道が出来上がり……その先に白い騎士服に身を包んだ女性が、堂々としかも優雅に歩いて来る。


「げぇ……」

 顔を青くして、悲鳴の様な声を上げるレーツェル。

「ちっ……」

 渋面を作りながら、舌打ちせずにはいられないカグラ。

 共通しているのは、とても嫌そうな雰囲気だった。


 そうこうしている間に、その女性は顔が分る位に近付いて来ていた。

 周囲に居た生徒の半分位が、その女性を見て息を呑んでいた。後頭部の天辺位で一つに束ねた、肩甲骨付近までの長さを持つ銀の髪が緩やかなカーブを描いている。意志の強い銀蒼色の瞳に、不敵な笑みを湛える唇、人を魅了する美貌と、鍛えられた美しい肢体を兼ね備えた人だった。

 腰には二振りの剣を佩いていた。左に細身の銀の剣、右には幅広なバスタードソードの様な黒い剣が異彩を放っていた。


 そして……その顔は似ていた。

 カグラと、レーツェルに。


「お招き感謝します。シエン先生」

 にこやかに微笑み、そう言う美女にシエンは笑顔を返して告げた。

「こちらこそ、御了承有り難う御座います。ニーナ副騎士団長殿」


「…………ぇぇと」

 思わず、カグラとレーツェルの間を行ったり来たりと目が泳ぐ。

 カグラのお母様でレーツェルの叔母様で、無双的な方ってことですか!?


 嫌そうな雰囲気の二人を無視して、ニーナ副騎士団長はシエンと会話をしていた。

「騎士団としても、見習いの修行になりますからお申し出は嬉しかったです。どこかの誰かさんに有望な騎士を盗られた上、一部の見習いは血筋でズルが出来ると勘違いしているのですよ。ですから、わたくしとしましては、明確にしておきたい案件でしたのでとても感謝しています」

 ふふふと声を出して笑う、ニーナ副騎士団長のその目は笑っていない。



 背筋が寒くなる様な微笑みに、ガチでコワイなどと思っていると。

 横ではそのチクチクとトゲがある会話を聞き、カグラとレーツェルは少し顔色が悪くなっていた。

「悪夢だ……」

「あれって僕等に対する嫌味が含まれてるよね?」

「後半はこの際だから、自分が手を下さずに叩き潰させて、反省して貰う気満々としか思えん」

「うわぁ、面倒くさー」

 溜め息を吐きつつ、レーツェルがぼやく。


 カグラとレーツェルは顔を見合わせる。

副騎士団長ははうえは確実に俺達を引きずり出すつもりだ」

「だろうね、僕が一時的に騎士団を抜けるのもお怒りの様だし」

騎士団長おじうえの許可取ってないかもな」

「あぁ、そうだね、騎士団長ちちうえは許可して無いと思う。許可してたら、僕に連絡が来るだろうし」

「せめて宰相ちちうえ付で、どっかに行ってくれれば良かったと思う」

「それは言える~」

 ぼそぼそと愚痴り合う二人。


 何と言うか……二人の苦労が垣間見える瞬間だった。


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