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好きになるのなら命がけで! SIDE BOYS

「はあ~~~~っ。疲れた~~っ」

 豪奢な二人掛けのソファーにどっかりと座り、思いっ切り息を吐き出すレーツェル。

 少し前の緊迫感を削ぎ落とす様に、肩の力も抜き去ってだらっとする。


 そんなレーツェルを見ながら、カグラは反対側に置いてある対のソファーに腰を下ろすと。

「自業自得だろう」

 バッサリと一刀両断した。


 じと目でレーツェルは、カグラを見詰める。

「ひどっ。少しは労われよ! カグラの為なのもあったんだぞ。それを……」


「そもそも、頼んでない。彼女が自分からどうこうして、婚約者になった訳でもない。過剰反応し過ぎた」

「だけど、カグラを守るのは僕の役目だ」

「それで、理事長に釘を刺されてれば意味ないだろうが」

「うっ……」

「でもって、彼女の態度から俺達に近付きたくない雰囲気が出ていた。嫌疑は晴れたろ?」

「……そうだけど」

「他に何かあるのか? それこそ、陛下に文句を言うしか無くなるぞ。何せあの人が婚約騒動の黒幕だからな。あの人の許可が無ければ、婚約を白紙撤回出来ないぞ」


 カグラの言葉にレーツェルは天井を仰ぎ、不満そうな声を出した。

「う~~。解っているんだけどさー。だからこそ、どんな相手か見定めたいだろ?」


「どんな相手ねぇ……そうだな、フォトなら一応あるが見たいか?」

 うだうだ言うレーツェルを仕方なさそうに見遣りながら、カグラはそう問い掛けてみる。


「え? 写真あるの!?」

 目を輝かせる様な勢いで、コロッと変わってカグラを見詰める。


「……ふぅん。やっぱり、気になるんだ?」

 意味深にカグラは、レーツェルから目を逸らさずに言う。


「き、気になるだろ! やっぱり!」

 反射的に言い返すレーツェル。


「そうだな。お前にしては思いっ切り、気にして構う位だしな」

「……そうかなぁ?」

 釈然としないという感じでレーツェルは首を捻る。


 カグラは服の内ポケットから、携帯端末を取り出すと指先でちょいちょいと弄る。端末が音声を発した。

『声紋確認をします』


 カグラは淡々と告げる。

「解除」

『確認完了』


 ピピと言う音と共に、端末のディスプレイ上に3Dホログラムが出る。

 長いふわふわの金髪、瞳はエメラルド、白い肌に華奢な体つきと、淡いピンク色のワンピースを着た笑顔の可愛らしい少女の姿。


「これが彼女、ナツキ・ルウィン・アマハだ」

 カグラは、レーツェルの前に端末を差し出す。


「……っ」

 食い入る様に彼女を見詰めるレーツェルを、カグラはじっと見下ろしながら観察する。


「か、可愛いな……」

 レーツェルの眼が輝いている様に見える。


「ねぇ、カグラ、このフォトを僕の端末にコピーしてくれない?」

 カグラにそう頼むレーツェルの視線は、ホログラムに釘付だ。


「……ダメだ。これは機密扱いのものだからな」

「そっか、残念」

 あからさまにがっかりするレーツェルを見て、カグラは嫌な予感しかしなかった。



――――これは、まさか、レーツェルの初恋か?




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