可愛いニャンコは好きですか?
「うにゃーん」
明るい鳴き声が、私の足元からした。
視線を落とすと、猫風な黒豹のソードが頭を私の右足首に擦り付けている。
「ソード……なんでさっき助けなかったのよ?」
私はソードを抱き上げて文句を付けた。
ただの八つ当たりなんだけど。
それでも、邪魔をしてくれてたら口説かれる事態にはならなかったかもしれないし。
すりすりと頬にすり寄るソードの可愛さにぐらつきながら、ふかふかの体を優しく抱いていた。
あーもー、このもふもふ感たまらなーい!!
ぎゅーってしたいわー。
邪な事を考えながら、柔らかな毛並みに頬を埋める。
「あの二人は要注意人物だから、観察していたんだ。助けに入って、ボクの存在がバレるのは困るからとりあえず猫の振りで通したんだよ。ゴメンね」
私だけに聞こえる様に、キャラメルヴォイスが耳元で囁いた。
「んー。まぁ、隠密行動するなら、あまり近寄りたくないかも……あの二人には」
無駄に絡まれていたさっきの事を思い出いながら、私は眉根を寄せてぼやいた。
危機管理も察しも行動力もどんだけあんの?って突っ込みたくなりそうな程には、標準装備されていそうな第二皇位継承者サマと専属騎士サマ達。
ため息を小さく吐いて、ソードに言う。
「戻ろっか?」
実のトコロ、レッドゾーンにいく位には、私の精神力やらヒットポイントに至るまで削り取られた気分だったので、この後のんびりお庭の散策なんて到底出来そうに無かったのが本音。
「そだね~。今日は部屋に戻って休もう。ココには、また来ればイイよ」
ソードは私を促すように言った。
「うん、そうしよう。ありがと、ソード」
もふもふ感を堪能しながら、私はそっとお礼を言う。
私は、癒しの黒豹ソードを腕に抱き、庭園を後にした。