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あの世とこの世の境ってどんなトコロ?


 目が覚めたら、柔らかい草の上だった。


 ぽかぽかとした春の日差しのような温かい日差し(?)が、身体を温めてくれる。


 身体を起こし、頭上を見上げると真っ白だった。


 空の色は無い。

 純白の天井。


 手に当たる感触は柔らかくさわさわしてる。

 見ると、緑の草だった。

 芝生みたいな感じだか、とげとげしていなくて葉っぱも少し大きめだった。


「ナニコレ?」


 どーなってんの?


 キョロキョロと周囲を見回すと、大きな樹が1本ぽつんと在った。

 CMとかで出てくるようなアレだ。この~き~なぁん~~の~き~♪とか歌っちゃうアレな感じのものだ。


「ここどこよ?」


 あたしがぼそりと呟くと。


「あの世とこの世の境ダヨ」


 目の前に顔が降って来た。


「ぎゃぁ!!」


 思わず、びっくりして倒れ込む。

 逆さの顔は、美少年だ。

 何故かふよふよ浮いていて、逆さになっているだけだった。

 くるんと、上下を引っ繰り返して美少年は緑に足を着いた。


「あはは~、ごめんごめん、びっくりさせちゃっタ?」


 屈託なく笑う美少年には、邪気が無い。

 服装は古代ギリシャ風の所謂、神話の神様が着ていた服に似ていた。

 髪は紺碧、瞳はエメラルドグリーン、肌は小麦色、服はクリーム色の布地だった。


 こんな美少年見たこと無い!! 間違いなく夢だな、夢。

 拝んだ事も無い美少年をガン見して、眼福だな~ってほにゃ~っとしてると。


「お~~い?もしもーし、ぼくの言ってる事、理解してル?」


 手を振り振りして、あたしを見詰めてる。


「え?あ、いや、見とれてました」

 正直に答えると、美少年は笑ってくれる。


 か、可愛い……。

 思わず抱き締めたくなる可愛さだ!


「あはは~、ありがと~。キミみたいな子初めてダヨ」

「それは、褒めてるのかな?」

「うん、そーダヨ」


 にこにこ笑って、あたしに手を差し出して起き上がる手伝いをしてくれる。


 うわぁぁぁ~~。

 いいの? いいの?


 ドキドキしながら、その手を取ると思うよりも強めの力で引っ張られる。

 ちゃんと立って、目の前の美少年をたっぷり黙視してから正直な感想を述べる。

 

「夢としては、極上な夢だわ」


 過酷な現実逃避をする為にも、アニメやアイドル、果ては俳優までいろいろハマった。

 BLだってオッケーな、根っからのミーハーなあたしとしては、この夢は極上だわ。


「だから~夢じゃないってバ」

「へ?」

「キミ、死んだんだヨ」

「え?」

「もっかい言うね、キミは死んじゃったノ」

「うそーん」

「嘘じゃないよ。見るも無残な感じでご臨終ダヨ」

「……」


「思い出してみなヨ?」

「ええと……確か、自殺未遂メール貰って……」

「そう、車でオトモダチのトコロへ向かってテ」

「信号で止まってたら、後ろからダンプが突っ込んできて……」

「そうそう、そんで死んじゃったノ」


 美少年があまりにもサラッと告げるものだから、毒気を抜かれてしまい。

 怒るとか、嘆くとか、喚くとか出来なかった。



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