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クラスメイトの美少女と無人島に流された件  作者: 桜井正宗
第三部:ハーレム生活Ⅰ

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どっちか選んで!! アイドルvsヤンデレ

 洞窟はそれなりに広いが、暗闇が広がっている。

 ヘッドライトで照らしても先が見えないな。


「みんな、懐中電灯を使ってくれ」


 シェントスの3000ルーメンのハンディライトだ。これなら先まで見えてかなり明るい。足元もバッチリ見える。


 さきほどのトーチカの方を照らしてみる。



「……完全に崩れてしまいましたね」



 北上の言う通り、出入口は埋もれてしまった。……って、これでは帰れないのでは!? 焦っていると、天音が震えていた。



「ねえ、早坂くん。どうやって帰るの?」

「あー…困ったね」

「困ったねって! 閉じ込められたってこと!?」


「そういうことになるな」



 大伊さんたちも頭を抱えた。

 こんなつもりはなかったと。


 俺もだけどね。これは想定外だったが、仕方がなかった。危うく殺されるところでもあったわけでして。


 命があっただけでもヨシとしたい。


「嘆いている時間はありませんよ、哲くん」

「ああ、そうだな。今は財宝を優先にしよう」


 留まっている暇はない。

 俺は先頭を歩いていく。

 みんなも察したのか俺の後をついて来てくれた。


 とにかく前へ……進むしかない。



 * * *



 歩くこと三十分弱だろうか。

 腕時計を確認すると、それくらいだった。もう深夜の午前三時だ。眠すぎる。


「よし、ここで休憩にするか」

「うん、さすがに歩き疲れたよ……」


 脱力する琴吹は、ヘロヘロになっていた。しかも、もう寝てるし。

 俺と北上を除く女子たちは、もう限界だ。


 まともに眠ってもいないし、ここらで休憩にしておくか。


「哲くん、そろそろ」

「分かってる。いったん、ここを拠点にして眠ろう」

「それがいいでしょう。寝不足のままでは思考が鈍りますから」



 俺も荷物と共に腰を下ろした。

 随分と多くの装備やら食料を詰め込んでいるから、重いんだよな。4~5kgのモノをずっと背負っていたから、背中が汗だくだ。


 リュックにセットしてあるハイドレーションのストローを伸ばし、俺は水分補給した。これが便利で助かる。



「それ、便利だよね」

「天音も飲むといい」


 俺はストローを渡す。すると天音は動揺して頬を赤くした。


「……っ。早坂くん、それ、その……」

「あぁ……間接キスなら気にするなよ。今更だろ」

「そ、それはそうだけど」


 なんてやっとると、北上が久しぶりに病んでいた。いつの間にかナイフを取り出し、俺に向けてきたんだ。


「哲く~ん……天音さんとイチャイチャしすぎです」

「うあっ! 北上さん、いきなりだな!」


 ここ最近は落ち着いていたのに、この無人島に来ると再発するのか!?


 天音もビビッて青ざめていた。


「ちょ、北上さん。なんでナイフを向けるの!」

「天音さんがいつもずるいからです。あたしだって哲くんと間接キスしたいです。というか、もっとえっちなことだって……」


「そ、そんなハッキリ言わないでよ。ねえ、大伊さんたちもそう思うよね――って、寝てるしー!!」


 残念ながら、大伊も琴吹も、そして草埜も眠っていた。起きているのは、俺と北上、天音だけだ。


 北上はナイフを持ったまま、更に接近。


 俺の喉元に穂先を向けた。

 ……久しぶりに命の危険を感じた瞬間だ。



「き、北上さん。勘弁してくれ」

「そうはいきません。今日こそ、どっちが哲くんに相応しい女の子かはっきりさせないと」


 目が死んでるぞ、北上さん。めっちゃ怖いんですけどぉ!!


「ちょっと、北上さん。早坂くんが困ってるでしょ!」

「天音さん、この際だから聞きますけど……哲くんと、どこまでしたんですか」


「えっ……。どこまでって……なにを?」


「そんなの決まっています。キスとかです」

「んなッ」



 顔を真っ赤にして慌てる天音は、そんなこと聞くう!? みたいな表情で動揺しまくっていた。



「どうなんですか、ハッキリしてください」

「……キ、キスくらいしてるし! わたしだって早坂くんが好きだもん。それくらい普通でしょ」


「なるほど。天音さんの覚悟や気持ちはその程度でしたか」


「な、なんですって!?」


「あたしは啓くんを愛してます。大好きです。この身を捧げる覚悟があるんですよ。彼の為ならなんだって出来る。どんな辛い時も支えます」



 甘く、とろけるような声で北上はそう気持ちを吐き出すように言った。そこまで俺を思ってくれているだなんて、嬉しい。


 だけど、ナイフがっ!



「そ、そんなのわたしだって一緒よ。全部好きだし、えっちなことだって……したい」



 ……天音、それ、マジかよ。

 意外と望んでいたんだな。知らなかったよ。

 天音みたいな清楚系は、そういうのあんまり興味ないと思っていたが……そうではないらしい。


 てか、二人とも火花を散らしていた。


 この光景、デジャヴだな。



 でも、二人の気持ちは嬉しいし……俺も天音も北上も好きだ。どっちを選ぶとかできない。けど、いつかは決めないといけないのかなぁ。



「啓くん、どっちを選びますか」

「ど、どっちって!?」

「あたしか天音さんです。どっちとえっちしたいですか!!」



 なんで、ちょっと怒ってるのぉ!?

 ……あと言い方!!

 直接的(ストレート)すぎるだろう!!



「まてまて。ここで?」

「はい。ここで、です」


 めっちゃ真剣な眼差し……マジかよ。天音ももう後には引けないという表情で目をグルグル回していた。息も乱れているっぽいし、大混乱だ。



「お……俺は二人が良いんだ。選ぶとか……そういうのは、まだ先送りにしたい。俺はね、財宝を見つけてお金持ちになったら……天音、北上さんの三人で海外で暮らしたい」



 そうだ、俺が今目標にしているのは、それだ。どうせ日本ではまともに暮らせないだろう。なら、海外に高飛びして……どこかの辺境の街とかで家でも買って余生を送るのもいいだろう。


 その時、ひとりではなく、天音と北上がいればそれでいい。もちろん、ついてきてくれる女子がいるのなら……みんな迎えたい。



「そうだったのですね。啓くんの将来が見えなかったので……ちょっと心配だったのです」

「北上さん……」

「そういうことなら仕方ないですね。傍には居ていいんですよね」

「ああ、北上さんも天音も一緒だ」


 俺がそう言うと、二人とも安堵していた。俺が言わずとも隣に来てくれた。いつしかのよに挟まれ、手を握られた。温かい。


「今は財宝を見つけて、それから島から脱出する方法を模索しないとね」


 天音の言う通りだ。

 今は身内同士で争っている場合ではないぞ。


 この洞窟内に来ると通信機器は全部圏外だ。通信衛星・スターゲイザーシステムすらも届かなくなる。



「いったん寝てから考えよう。天音、北上さん、おやすみ」


「うん、おやすみ」

「おやすみなさい」


 二人とも俺に頭を預け、安心しきっていた。

 今は眠ろう。

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