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クラスメイトの美少女と無人島に流された件  作者: 桜井正宗
第三部:ハーレム生活Ⅰ

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知り合いのトレジャーハンター

 高校の授業はまだ再開していない。

 無人島での出来事が、連日ニュースで取り上げられ、大事件となっていたのだ。


 この事件は、学年主任・橘川が主犯とされ、大々的に報道された。


 ネット掲示板でも大炎上に近い状態で、特に橘川や倉島の情報が晒されまくっていた。恐ろしい世界だな、ネットは。



 そんな状態が一ヶ月は続いていた。



 そうか、あれから一ヶ月か。

 俺は無人島で女子十五人と暮らしていたというのにな。そのうち二人とは、数時間程度の関係だったけど。


 あれから、みんなはバラバラになった。

 最後に会った『織田 (ヒカリ)』と『織田 (ルナ)』は行方不明だ。理由は分からない。


 今のところ連絡が取れるのが天音、北上、千年世、リコ、大伊の五人だけだった。他は入院中だの、面会謝絶だの、引き籠っているだの……あまり良い情報は聞かない。



 近くのカフェへ移り、俺はコーヒーを味わった。



「……美味い。こんな美味いもんが、当たり前に飲めるとかな」

「そうだね。こんな甘々の飲み物が飲めるだなんて……幸せなことだね」


 スターライトバックスのトリプルチョコレートフラペチーノを本当に幸せそうに味わう天音。その隣で俺を見つめる北上。

 そういえば、北上は迷彩服だな。やっぱり、サバゲー女子なんだ。


「それで、北上さん。話ってなんだよ」

「ええ、学校は事件のせいで当分は再開しませんし、暇なんですよ」

「ほう?」


「そこで考えたんです。財宝探しにでも行かないかなと」

「――は?」


 まてまて。

 北上は今、なんと言った!?


 俺は耳を疑い過ぎて、北上の言ったことが信じられなかった。



「ちょ、ちょっと待ってよ、北上さん。やっと本州に戻れたのに、逆戻り!? 馬鹿じゃないの!?」



 さすがの天音も声を荒げてキレていた。そりゃそうだ。せっかく日常に戻れたのに、わざわざ地獄へ戻る必要あるのかね。


 俺なんか、天音と北上と一緒に過ごせるだけで十分だというのに。



「大丈夫です。今度はちゃんと装備を整えて行きますから。それに、行方不明者がまだ残っているかも」

「政府の発表によれば、生存者は194名。内死亡が33名。行方不明が66名……らしい」


「一ヶ月経っても尚、行方不明者が66名もいるのですよ。きっと、どこかの島で生き永らえているのかも」


「そんな馬鹿な。俺たちの島はいろいろ流れ着いていたから、なんとかなったけどさ……他の島はどうか分からない」


 もうあの島にも生存者がいたとは思えなかったし。その気配はもなかった。大体、海上保安庁とかレスキュー隊が突入して、散々探し回ったらしいからな。


 もう俺たちの出る幕はないはずだ。



「それで、お宝探しか」

「いいではないですか。三人で山分けして大金持ちになるんです」


「大金持ちねぇ~」



 俺はあまり乗り気がしなかった。

 なにか嫌な予感がしたからだ。

 だけど、お金は必要だ。


 学校もやっていないし、バイトをしようにも……ニュースの影響で身バレとかリスクも高い。


 となると財宝を探す方がいいのかな。



「やっぱり乗り気ではなかったですよね」



 しゅんと落ち込む北上だが、分かりやすい演技を。なにかあるな。



「北上さん、なにを隠している」

「バレましたか。実は今日、知り合いのトレジャーハンターを呼んであるんです」


「「ト、トレジャーハンター!?」」


 俺も天音もビックリして声を上げた。



「どうぞ、来てください」



 北上が呼ぶと、その人物が後ろにいた。い、いつの間にいたんだ!?


 しかも、その顔には見覚えがあった。



「ま、まさか……大伊さん?」

「そ、そうよ。なにか文句ある?」

「いやないけど……」



 トレジャーハンターではないよな。

 ていうか、私服姿の大伊さん……すげぇ可愛いな。

 スカート短くて、いわゆる地雷系ファッションだ。意外すぎるって。



「まったく、北上さんってば冗談は止して」

「申し訳ありません。ちょっと場を盛り上げようとして」

「も~」


 なんだか二人は仲良さそうだな。


 俺の隣に大伊が座ったが――これはいったい、どういうことだ?



「ちょっと、北上さん。早坂くんが困ってるでしょ。詳しい説明を求む」



 天音が代わりにツッコんでくれた。



「ええ。大伊さんはこの一ヶ月の間に原付免許、小型特殊免許、船舶免許、危険物取扱者など様々な資格を取得したようです」


「マジかよ。すげぇな、大伊さん」


 思わず天音と共に拍手をしてしまった。

 本人は照れて俯いていた。可愛すぎかっ。


「つまり船に乗れるというわけです」

「……なるほど。って、まさか!!」

「大伊さんに操縦してもらい、宝島へ向かいます」


 んな無茶な!!

 しかも大伊さんも「え!? 嘘!?」みたいな表情で北上を見つめているし、本人に説明していなかったんかーい!


「あのな、北上さん。船はどうするんだよ」

「大丈夫です。知り合いの漁船を借りますから」

「ぎょ、漁船……」


 漁船で宝島まで向かうのか。んな無茶な。



「大伊さんはどうなの?」

「その、天音さん……私は正直、反対」


「「ほっ……」」


 俺も天音も大伊の言葉に安心した。



「だけど、お金持ちにはなりたいじゃん? 一生遊んで暮らせるお金があれば……みんなも助けられる」


「大伊さん、そのみんなって」


「ウチの篠山、大塚、野茂……千年世さんや桃瀬さんや琴吹さんたちのこと。私も含めて、だけど」


「どういうことだい?」


「私はこの一ヶ月、資格の取得に邁進していた。でも、それはあの出来事を少しでも薄めて忘れるためだった。でも、それは無理だった。病院へ行けば、みんなが放心状態で心が病んでいた。立ち直れない子が大半なの」



 みんなを助けたい一心で――だったのか。そこまで思ってくれていたとは。



「少し考えさせてくれ。結論を出すにはまだ早い」

「そうだね。とにかく私と北上さんは賛成。あとは早坂くんと天音さん次第だね」



 これは非常に難しい問題だ。

 さて……どうしたものかね。



 今日のところは解散となり、俺はこのことを家へ持ち帰ることにした。

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