先にキスしてっ
外食を済ませた俺たちは、ホテルへ戻った。
あんまり外でウロウロしていると補導されかねんからな。
それに、俺たちは命を狙われている。夜ともなると、更に危険だ。
だから早々にホテルへ戻り、各々部屋へ戻っていた――はずだった。
「……むむぅ」
部屋へ戻る際、天音が強引に俺の手を引っ張った。連行された俺は現在、天音の部屋にいた。ふかふかのベッドの上でひとりぼっち。
天音はシャワールームで体を清めているところだ。
……ドキドキする。
つか、どうせなら一緒に入っても――いや、狭いか。
しばらく待つと天音がバスタオルを巻いた状態で出てきた。
「……あ、あんまり見ないでよ」
「お、おう……」
凄く色っぽい。分かっているけど、エロすぎるって。
本当に何度見てもスタイルが抜きんでている。さすが元アイドル。
今度は俺の番。
シャワー室へ向かい、体を丁寧に、隅々まで洗う。
そして、部屋へ戻る。
天音がベッドの上で俺を待っていた。
やっぱり、その為……だよな。
「シ、シよっか…………」
「……そんなに溜まっていたのか、天音……」
「だ、だって……みんないるし、タイミングないじゃん……。それに、これから長野へ行くんでしょ。多分、シている時間ないしさ……」
顔を真っ赤にさせ、正論を言う天音さん。まったくもってその通りである。
この分だと、こういう機会はもうしばらくはないだろう。それこそ、海外へ移住してからになるかもしれない。
そうだな、今がその時だろう。
という俺も、随分とご無沙汰なので……欲求不満といえばそうだった。
「じゃ、じゃあ……遠慮なく」
「う、うん」
テレビの音量をあげておく。
声が漏れたら大変だからな。
それから俺は、天音をベッドに押し倒した。こんな風にホテルでするのは初めてかも……。
そっと肩や腕に触れていく。
白い肌がつやつやで弾力がある。別次元の肌質だな。
「すごい……」
「く、くすぐったいよぅ」
「次は胸に……」
「そ……そこはまだダメ! 先にキスしてっ」
「そうだな」
天音はキスからでないと気持ちが入らないらしい。ので、俺は丁寧に気持ちを込めてキスをした。
久しぶりの甘いキスだ。
「……ん」
時間を忘れ、何度も何度も唇を奪い続ける。
これだけでも十分幸せ。
でも、この更に先へ進みたい。
バスタオルをはがしたい。
「天音、取るぞ……」
「…………ど、どうぞ」
久しぶりなせいか緊張で手が震える。未だに俺は慣れないというか、いつも無我夢中だからな。今日は忘れられない夜にしたい。
だから、俺は天音を愛する。ずっとずっと時間の許す限り。
「今日はたくさんシしような」
「うん、いっぱいシて」
そうして俺は天音を愛し続けた。
・
・
・
気づけば朝を迎えていた。
本当に不眠不休でヤっちまった……!
我ながらよく体力がもったものだ。だが、天音は満足そうだ。という俺も幸せすぎて眠気など吹っ飛んでいたほどだ。
「大丈夫か?」
「ちょっと眠いけどね。そろそろ寝る?」
「そうだな、寝不足はキツイ」
「じゃ、一緒に寝よっか」
「おう、そうする」
今からなら三時間は寝られるかな。
北上さんに交渉して集合時間を伸ばしてもらおうかな。




