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無事に生還! しばらく鹿児島で情報収集

 船のチケットを手に入れ、鹿児島へ戻ることに。

 いよいよ種子島を脱出だ。


 港に船が到着。しかし、俺も天音も……古森さんも足を止めた。



「……トラウマが……」


 天音がぽつりとつぶやく。

 そう、この前も宝島でも船が沈んだからな。信用できなくなっていた。

 しかし、この船に乗らねば鹿児島へ行くことができない。


「大丈夫だ、天音。天候も調べた限りでは問題ない。今日は泳いで種子島まで来れたんだ。急な悪天候になる心配もないはずだ」


「そ、そうだよね」


 納得する天音だが、妙に心配そうだ。

 すると古森さんが声を掛けた。



「天音さん、大丈夫よ。すでに仲間の刑事に連絡してあるから、いざとなれば駆けつけてくれる。海上保安庁も動いてくれるわ」


「そっか! ありがとうございます、古森さん」

「いえいえ。私も無事に帰りたいからね」


 最初こそツンツンしていて大丈夫かなと思ったが、古森さんは話せば分かるタイプだった。まさか、ここまで味方になってくれるとは嬉しいね。



「行くよ~!」



 と、大塚さんが先に船へ向かう。俺たちも背中を追っていく。


 ついに乗船した。

 あとは祈るだけだ。今度こそ頼むぞ……!


 ・

 ・

 ・


 船は順調に先へ進む。

 片道1時間40分ほど掛かるようだ。これなら悪天候で不幸な目に遭うこともないだろう。


 到着するまでの間に、情報収集を続けた。

 この前の沈没事件のことを。


 北上さんたちの情報がどこかにでも転がっていればいいなと思ったが……行方不明者の報道だけで、収穫はなかった。



「スマホをありがとうございます、大塚さん」

「いえいえ。でも、お友達が心配ね」

「そうですね。けど、生きている気がするんです」


「信頼しているんだね」

「はい。彼女たちは強いですからね」



 そうだ。みんな必ずどこかで生きている。きっとどこかで合流できるさ。


 そうして船は『鹿児島港』に到着。


 無事に辿り着いた……!



「おぉ!」

「やったな、天音」

「うん。港の光景が見れてよかった。戻ってきたんだね……」


 うれし涙を零す天音。胸をなでおろし、安堵(あんど)していた。

 俺も、ようやく街並みを見れて嬉しかった。

 ここまでこればもう天気なんて関係ない。


 とはいえ、警察や櫛家――八咫烏が動いているはず。目立つ行動は控えたい。


 船から降り、大地に足をつけた。



「……ふぅ。やっと……」



 肩から脱力する古森さん。今まで散々だったもんな。それに、未だにシャツの格好。上手く誤魔化してここまできたが、そろそろ他人の目線も辛くなってきた頃合いだろう。


 だが、一台の車が近づいてきた。あれは覆面っぽいな。


 予想通り、中から刑事らしき男性が――って、まさか!


 あの若い刑事はまさか。



「おーい、古森。迎えに来たぞ……ん!?」



 その刑事も俺の存在に気づいて足を止めていた。



木下(きのした)さん!」

「キ、キミは……早坂くんじゃないか! 天音さんも」



 木下刑事。北上さんの知り合いの人であり、裏から支えてくれる協力者だ。主に『オーハ島』でお世話になった。

 こんなところで会うとはな!



「ちょ、木下。彼らを知っていたのね」



 古森さんも驚きを隠せないでいた。だよなぁ。



「ま、まあな。というか、古森……なんでシャツ一枚?」

「いろいろあったのよ。いろいろ」

「な、なるほど。珍しく色っぽいな」

「見るな! ヘンタイ!」



 顔を赤くしながらも、古森さんはこちらへ来た。



「お別れですかね」

「うん、ありがとね、早坂くん。それに天音さんも」


「いえいえ。またどこかで会いましょう」

「そう言ってくれて嬉しいわ。木下に改めて聞いておくから」

「ぜひ、そうしてください」



 天音とも挨拶を交わし、最後に大塚さんに礼を言っていた。後日、船代は返すと約束して――。


 木下刑事の車へ乗り込む古森さん。ここで彼女とはお別れだ。



「わたしたちも行こう」

「そうだな、天音。北上さんたちを探すぞ」


「みんなが心配。一刻も早く、合流したい」

「ああ、まずは金を作るぞ。そしてスマホだ」


「了解っ」



 方針は固まった。

 大塚さんに礼を言い、俺たちは鹿児島の街中へ向かうことに。

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